東日本大震災により、天井や吊式空調機器などの落下現象について多数の報告がありました。これらの事象は過去に経験したことがない事象のため、その原因が不明でした。特に100kgを超える空調機の落下は人命を奪いかねない危険性があるため、原因究明と対策方法の確立が急務でした。
吊り設備機器の落下原因究明と対策方法を確立させるため、当社保有の3次元振動台「DUAL FORCE」を用いて、落下再現実験、対策検証実験を繰り返すことで、その原因の究明と対策方法を確立することができました。落下原因の一つは、長時間地震動による吊ボルトの延性破壊であることがわかりました。また対策については、長時間地震動にも耐え得る接合部材や、要求性能レベルに対する対策方法の資料化、ブレースを取り付けることができない場所での耐震対策方法などを開発しました。
今後は、振動実験結果を用いた吊り設備機器の落下診断技術の開発や天井などの耐震対策技術開発への展開などを予定しています。これらの対策技術を用いて、社会全体の災害対策の向上に貢献したいと考えています。
物体に力を加えたときに、塑性変形(外力を除去した後に残る永久的な変形)が発生し、その塑性変形が大きくなり破断する現象。