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予期できない災害から企業を守る「減災」の始め方

2017年8月23日

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 阪神・淡路大震災や東日本大震災をきっかけに、災害による被害を出さないようにする「防災」に加え、被害をできるだけ小さくする「減災」に注目が集まっています。災害時の被害を減らすために、防災だけでなく、減災も含めた多重的な対策が必要になっているのです。

 防災や減災に取り組むためには、まずどのようなリスクに備えるべきかを想定しなければいけません。近年、注目を集めているリスク要因としては、今後発生が予想される巨大地震と、気候変動とともに多発する雷害があります。巨大地震と雷害を例に、企業における「減災」に焦点を当てて考えます。

災害を防ぐ「防災」、被害を抑える「減災」

 「減災」とは、災害や突発的事故は完全に防ぐことはできないという前提に立ち、被災した場合の被害を最小限にするための取り組みのことです。一方、「防災」は災害の発生を未然に防ぐ、もし発生した場合には被害を出さないようにすることが目的になります。

 たとえば、津波を防ぐために堤防を築くことは防災。津波が押し寄せても被害を最小限に食い止めるため、避難所を整備したり、避難訓練をするのは減災ということになります。

 減災という考え方が注目されるようになったのは、1995年1月に発生した阪神・淡路大震災以降です。

 大規模な自然災害を前にして、被害を出さないための対策をとることは難しく、現実的ではないという考えが広がっていきました。そこで、あらかじめ被害が出ることを想定した上で、その被害を最小限にする減災が重視されるようになったのです。

 ただし、防災が不要だというわけではありません。どちらも大切なものであり、それぞれ性質が違うものです。

 企業における減災とは、自助と共助を基本に、人命の安全確保と経営資源を失わない力のことだといいます。そのため、BCP(Business Continuity Plan)の中で、想定事態、復旧計画、初動規定、対策体制、内部情報交換、外部情報交換、訓練計画など、万が一の際に、いち早く事業を復旧するための取り組みを考えておく必要があります。

 どのような対策によって事業を守ればいいのか、まずは被害の予測が難しい震災対策から考えてみましょう。

巨大地震の被害を軽減する減災対策とは

 阪神・淡路大震災、東日本大震災をはじめ、日本では数多くの巨大地震が発生してきました。最近では、2016年4月の熊本地震が記憶に新しいでしょう。

 今後も、首都直下型地震や南海トラフ地震、近い将来に起きる可能性が高いとされており、その被害も甚大なものになることが予想されます。しかも、こうした巨大地震の被害を事前の防災対策で完全に防ぐことは難しいとされています。

 たとえば、東日本大震災の主な被災地である東北地方では、津波を防ぐために堤防が整備されていました。しかし、津波の高さは、地震の規模や特徴だけでなく、海底や海岸の地形によっても変動するため、事前に詳細に予測することは困難でした。そのため、予想を上回る津波が堤防を乗り越え、大きな被害が生じたのです。

 減災とは、そうした事態が起きたとしても、できるだけ被害を軽減して早期に復旧できるように、事前に準備しておくことを指します。企業が取り組める減災対策には、食料や飲料水の備蓄、従業員の安否連絡体制の整備、避難・誘導・救助訓練の実施、パソコンなどの転倒防止、バックアップ電源の確保など、さまざまなものがあります。

 最近では、地震発生後にスピーディーにビルの被害状況や安全度を判定し、適切な避難対応をサポートしてくれるサービスも登場しています。

リスクが高まる雷から機器を守る減災対策とは

 震災と併せて意識しておきたいのが、近年リスクが高まっている雷害です。

 日本各地では地球温暖化などの影響によって、猛暑、豪雨といった極端な気象現象が見られるようになっています。それにともなって落雷も頻発するようになっているのです。

 落雷による被害は、「直撃雷」と「誘導雷」という2つの種類に分けられます。直撃雷は、地上の施設や物体に直接落ちる雷です。一方誘導雷は、樹木や電信柱、地表に雷が落ちた時に生じる異常な電流(雷サージ)が、電線を伝って建物内に侵入して機器などに影響を与える現象になります。

 特に近年は、雷サージのリスクが高まっています。その侵入経路は電線だけでなく、通信線にも及びます。そのため、IoTの普及にともない、パソコンだけでなく、さまざまな機器がネットワークにつながろうとしている今、雷サージが与える影響の範囲も広がり続けているのです。

 たとえばオフィスでは、落雷によってパソコンやサーバーなどの機器が破損することで、ストレージやデータの消失といったリスクがあります。工場では製造ラインの停止、流通・小売業ではPOSシステムの利用停止も考えられます。このように事業へのダメージが計り知れない雷害に対してどのように備えればいいのでしょうか。

 直撃雷については、避雷針などの設置による防災対策がとれます。誘導雷については侵入を防ぐことが困難なため、バイパスを作って雷サージを大地に逃がす「SPD(避雷器)」の設置が一般的です。さらに、電位の高いところから低いところへ流れるという電流の性質を利用し、電位をそろえることで建物への雷の侵入を防ぐ「等電位化(等電位ボンディング)」という対策もあります。

 また、雷で怖いのが「停電」です。パソコンのデータが消えたり、機器にダメージを与えたりする危険があります。予期せぬ停電や入力電源異常が発生した際に、一定時間電源を供給する「UPS(無停電電源装置)」を導入するなど、万が一のためのバックアップ電源を備えておくことが重要です。

 このような事前対策を行うことで、突発的に発生する雷害から、社内の機器や設備が守れます。

 企業を取り巻くリスクが予想しにくくなる中で、防災だけでなく減災を加えた対策が欠かせません。ぜひ多重的な対策を実施して、未知なるリスクに備えましょう。

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