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ビジネスコラム

水害被害を最小限にするための基本対策とは

2018年9月19日

 前回は、頻発する大雨の現状と大規模化する水害の動向を紹介しました。水害のリスクが高まる中で、いま企業にはどのような対策が求められているのでしょうか。その基礎となる「ハザードマップ」の活用法とともに、企業が取り組むべき「事前対策」のあり方について解説します。

被害最小化はリードタイムの確保が重要に

 企業が水害の被害を最小限にするためには、その特徴について理解しておかなければいけません。

 水害の特徴としては、広範囲に被害がおよぶという点があげられます。例えば、最大規模の台風によって、東京都で高潮と洪水が同時に発生した場合、都内17区約212km2が浸水するという想定もあります。

 水害は、直接的な被災期間が長いのも特徴です。浸水の場合は数日~数週間続くケースもあり、先の東京都の想定では浸水が1週間以上も継続する区域があるとしています。復旧が遅々として進まなければ、その分企業が受ける損害も大きくなります。

 このように水害は、広範囲かつ長期的な被害をもたらします。一方で、他の災害よりも、発生前に防災に役立つ情報が入手しやすいという面もあります。例えば、地震と比べると、水害の場合、自治体による警報や「台風情報」、「大雨注意報」、1~6時間先までの見通しを示す「降水短時間予報」など、様々な情報にアクセスすることができます。

 水害の被害を最小化するためには、そうした情報を収集してリードタイムを確保し、適切な対応や避難に役立てることが重要になります。

ハザードマップで明らかになる水害リスク

 水害対策の情報源として、特に注目をしたいのが「ハザードマップ」です。これを活用することで、自社の水害リスクを明らかにすることができます。

 ハザードマップとは、自然災害が発生した時に被害が予想される区域を記した地図のことです。そこには、被災が想定される区域とともに、避難場所や避難経路が記載されています。国や市町村が作成しており、ホームページ上や印刷物のかたちで閲覧することができます。

 市町村ごとにいくつか種類があり、大雨に関連するものとしては「洪水」「内水」「高潮」「土砂災害」のハザードマップがあります。このうち、内水は、平坦地にたまった雨が排出できずに浸水被害を引き起こす内水氾濫のことです。近年、アスファルトに覆われた都市部では雨の排出機能が低下したことで、内水氾濫の被害が問題となっています。これにより、地下街などへの新たな被害が生まれています。

 ハザードマップでまず確認をしておきたいのが、「どのくらい浸水するのか」という部分です。ポイントは、どの区域が浸水するのか、どれぐらいの深さまで水がくるのか(浸水深)。浸水の想定区域を見れば、自社の位置する場所が水害を受けやすいのかを把握することができます。

 浸水深は、従業員の帰宅や避難を考える際の指標にもなります。一般の家屋では、浸水深が50cm未満の場合は床下浸水、50cm以上になると床上浸水する恐れがあります。50cm程度の浸水で、歩行が困難になり、車が浮いてしまう可能性があるといいます。

 ハザードマップによっては、浸水の到達時間や継続時間が記載されているものもあります。「いつ浸水するのか」が分かれば、いざという時も心に余裕を持って判断や行動することができます。それに加え「いつ復旧するのか」が把握できれば、事業への影響や復旧計画について時間軸に沿ってより具体的に考えることができるはずです。

3つに分けて考える水害の事前対策

 自社の水害リスクを把握した後は、事前対策の検討に入ります。

 事前対策は、「物理的な対策」「組織的な対策」「法務的な対策」に分けて考えることができます。

 物理的な対策でまず大事なのは、オフィスの立地に水害リスクの高い区域を避けること。既存のオフィスが水害リスクにさらされている場合には、移転も視野にいれるべきです。

 さらに、防水扉や土のう、止水板、堤防を使い建物を守る「浸水防御」、サーバー、電気室などのインフラを浸水しやすい低層階に置かないという「インフラ対策」も大切になります。例えば、建物内でサーバーを管理している場合は、安全な場所に設けられたデータセンターにアウトソースすることも検討するべきでしょう。こうした対策によって、建物をはじめとした事業継続に不可欠なものを水害から守るのです。

 組織的な対策としては、いざという時に従業員の安否を確認するための連絡網や、行動の指針をまとめたマニュアルの整備、それらに加えて、重要な業務を絞り込み、継続するための体制を作っておくことも重要です。

 毎年のように記録的な大雨が日本列島を襲う今、被害を想定した法務的な対策も欠かせません。水害によって被災することを見越し、物損に備えた損害保険への加入、取引先との契約条件を今一度見直すことも大切になります。

 水害はリードタイムを確保しやすいという特徴があるため、今回紹介したような対策にしっかりと取り組むことで、被害を低減することができます。もし水害が発生した場合には、何よりも人命を最優先し、適切に避難を行うことが重要です。そのためにも、事前対策が必要になりますので、まずはハザードマップを確認し、自社でできることから対策に着手してみてはいかがでしょうか。

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