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ビジネスコラム

未来へ加速する技術!モータースポーツの世界

2018年11月14日

 モータースポーツの世界では、高効率エンジンやセンシングなど、最先端のテクノロジーが日夜投入される開発競争が繰りひろげられています。そうした技術は、レースの勝敗を左右し、さらに私たちの生活も変えようとしています。今回は、レーシングカーの性能を向上させ、公道を走る一般車や生活にも影響を与えてきた技術を紹介しましょう。

モータースポーツが一般車に与えた影響とは

 モータースポーツでは、ドライビングテクニックだけでなく、レーシングカーの性能も重要です。そのため、最新の技術が次々と投入され、強化されています。

 レース用に開発された技術は、特殊であり、公道を走る一般車とは関係性が薄いように思えるかもしれません。しかし、モータースポーツに参戦する自動車メーカーは、ライバルたちと速さを競い合う中で、量産化にもつながる技術力を高めています。実際に、そこで育まれた技術の中には、一般車に搭載されている技術も少なくありません。

 フォーミュラカーは、コックピット部分であるサバイバルセル、一般車のエンジンにあたるパワーユニット、ギアボックスという3つのエレメントで構成されています。

 サバイバルセルは、ドライバーの生命を守る一番重要な場所です。しかし、1970年台まで、軽量化のためにアルミ合金が使われており、強度の面で不安がありました。1980年代以降、「カーボンファイバー」が使われるようになり、車体はより軽く飛躍的に丈夫になりました。普及の課題だった価格も年々下がっており、近年では、一般車にもカーボンファイバーを使うケースが増えています。

 ドライバーは、サバイバルセルの中でギアボックスの操作を行いますが、一瞬でも遅れが生じるとライバルに大きな差をつけられる可能性があります。そこで、1990年代から採用されるようになったのが、「パドルシフト」という技術です。

 パドルシフトは、ハンドルのホイール部分に配置されたパドルスイッチを使い、ギアを操作することができます。これによりドライバーは、シフトレバーを握ることなくギアチェンジができるため、操作の時間を短縮し、運転のミスを減らすことができます。

 このように、モータースポーツの中で生まれた技術は、レーシングカーのスピードや安全性に貢献するのみならず、一般車の利便性にも影響を与えているのです。

レース中に生成される膨大なデータによってレーシングカーを進化

 モータースポーツでは、開発した最新鋭の技術をレースの中で磨き上げていきます。そのときに重要な役割を果たすのが“データ”です。

 トップカテゴリーのレーシングカーは、常時情報通信を行い、センサーから各種データを収集するようになっています。最高峰のレースでは、200以上のセンサーが搭載されたレーシングカーを使用しているものもあります。それらで、エンジンやタイヤの状態、ブレーキ、サスペンションの動き、気温や風速をリアルタイムに計測。さらに、ドライバーの健康状態なども監視しています。

 エンジニアチームは、収集したデータをもとに、過去データや予測モデルと比較しながら、タイヤ交換のタイミングをいつにするか、エンジンに異常はないか、空力特性を最適化するためにどのようなチューニングが必要なのかなど、レース中のアクションを決定しているのです。それらのデータはレース中のドライバーにも共有され、コーナーに入る際の角度や速度を判断するなどのドライビングテクニックに有効活用されます。

 レース中に生成されるデータは、1時間で100GBにも上ることがあるといいます。レース後は、そうしたデータを分析してレーシングカーの改良や開発、次のレースの戦略策定などを行うのです。

 モータースポーツのセンシング技術は、自動車の分野にとどまらず、さまざまな分野で活躍しています。例えば、データ分析のノウハウを、空港における航空管制のシミュレーションに使用したり、医療現場で患者のデータを収集するウェアラブルセンサーなどに活用する事例も登場しています。

HV・EVの新たな実験場

 近年、自動車の環境性能に注目が集まっています。それは、一般車の世界だけではなく、モータースポーツの世界も同じです。

 2014年には、世界最速を決定するレースで、エンジンに代わって「パワーユニット」の搭載が義務付けられました。これは、エンジンと2種類の「ERS(エネルギー回生システム)」を組み合わせたものです。

 パワーユニットでは、ERSを使ってブレーキ時に発生する運動エネルギー、排ガスが持つ熱エネルギーを電気エネルギーへと変換して再利用します。つまり、レーシングカーがエンジン駆動から、エンジンとERSを併せ持つHV(ハイブリッド)カーへと生まれ変わったのです。運動エネルギーを利用したシステムは、すでにハイブリッド車の一部で採用されています。

 さらに、同じく2014年からは、電気自動車(EV)のフォーミュラカーによるレースもはじまりました。EV自体の技術がまだ発展途上ですが、最高速度が300km/hを超えると予想されるレーシングカーの登場も間近に迫っています。

 EVは、利用促進を目指す国際ビジネスイニシアチブ「EV100」が2017年9月に発足するなど注目度が高まっています。今後、EVレースに新たなテクノロジーが投入され、それが一般車にフィードバックされれば、EVの普及に弾みがつくはずです。

 モータースポーツは、その競技性につい目がいきがちですが、新たなテクノロジーを支える実験場として観戦してみるのも面白いのではないでしょうか。

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