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ビジネスコラム

太陽光発電の次の一手「自家消費型」の構築メリットとは

2019年2月27日

 太陽光発電の普及を支えてきた「固定価格買取制度『FIT』(以下FIT)」からの自立が求められる中、従来の売電型太陽光発電のビジネスモデルから自家消費への移行が模索されています。今、自家消費太陽光発電の構築に取り組むことは、社会や企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。今回は、太陽光発電の現状と自家消費太陽光発電を構築するメリットについて考えます。

FITなしでこれまでの太陽光発電は語れない

 297.8万kW 。これは2017年度に導入された非住宅用の太陽光発電設備の導入量です。2012年度の導入量は96.9万kWだったと言いますから、約3倍も増えたことになります。さらに、2012年度~2017年度の6年間における導入量の合計をみると、3173.2万kWにも達しています。そうした太陽光発電の普及を支えてきた制度がFITです。

 FITは、太陽光発電や風力、地熱、水力、バイオマスといった再生可能エネルギーの導入を促進するための制度です。具体的には、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定の期間、一定の価格で買い取ることを国が約束。それにより、導入後の減価償却や利益確保を容易にしたのです。

 制度発足前は、多くの企業がイメージアップやCSRを目的に、再生可能エネルギーを導入していました。FIT開始後は、売電を前提とした導入が一気に増加することになります。冒頭でお伝えしたように、特に太陽光発電の普及は目覚ましいものがありました。

 しかし、制度の根幹である買取価格は下がり続けています。2018年度の買取価格は、非住宅用太陽光(10kW以上2,000kW未満)で18円/kW。2012年度の40円(10kW以上)から、約半分以下にまでなっているのです。

 なぜ太陽光発電の普及を後押ししていた買取価格を下げるのか疑問に思う方もいるかもしれません。それには理由があります。

 買取価格の原資は一般家庭が支えています。家庭の電気料金明細書をみると、電力会社によって多少異なりますが「再エネ発電賦課金」といった項目があります。2018年度の賦課金単価は「2.90円」。その額が家庭で1kWh使用するごとに徴収され、FITの買取価格を維持するために利用されています。

 賦課金単価は、太陽光発電設備の増加にともなって上がり続けており、まずは、そうした家庭の負担を減らそうという目的があるのです。

 さらに、政府の手厚い保護下では滞りがちな企業間競争を促し、再生可能エネルギーの発電コストを低下させようという狙いもあり、実際に太陽光発電の発電コストは年々下がっています。

 買取価格が下がることで、売電を目的とした太陽光発電は急速に減少しています。現在、次なる活用法が模索されているの状況で、打開策の1つに、再生可能エネルギーによる発電コストが既存電力と同等か、下回ることを指す「グリッドパリティ」があると考えられています。

発電コストは世界・国内で急速に下がっている

 太陽光発電に関わるコストは、この十数年で世界的に急速に下がっています。

 世界を見ると、各国で再生可能エネルギーの導入が拡大しています。2015年度に導入された発電設備の半分以上を、再生可能エネルギーが占めているという調査結果もあります。その中で、世界の発電コストは急速に低減。2013年度上半期の時点では15.1円/kWhでしたが、2017年度上半期には9.1円/kWhとなっています。

 一方日本における発電コストは海外と比べて高いといわれていますが、それでも最近5年間で半減しています。2012年度は40円/kWhでしたが、2017年度には19.6円/kWhまで低減されています。その勢いはこれからも続いていきそうです。

 経済産業省は現時点で、事業用太陽光発電の発電コストを、2020年に14円/kWh、さらに2030年には7円/kWhと一桁台にまで引き下げることを目標に掲げています。民間機関の調査で、2030年には5円/kWh程度まで低減されるという試算もあります。

 発電コストが一定の基準まで下がれば、企業は電力を買うよりも、自ら電力をつくって使用した方が、コストを削減できます。

メリットで考える自家消費の構築

 企業が自家消費型の太陽光発電設備を構築するメリットは、経済性や企業価値、利用する電気を選べるという面から考えることができます。

 自社で発電した電力を自らが利用することで、電力会社から購入していた電力量を減らし、電力の購入費用を節約することができます。

 さらに、電気の基本料金という点でも有効です。法人の電気料金プランは、過去1年間で最も多い月の電気使用量(デマンド)を基準に決定します。このデマンドをもとに年間契約のプランを結びます。

 例えば、オフィスで空調機が多く使われる夏季、工場で生産設備の稼働が増える繁忙期など、電力使用量が極端に増える時期があると、それを基準に契約しなければならず、電気の基本料金も上がってしまうのです。そうした時期に太陽光発電を活用し、電力使用量を低減することで、基本料金の安い電力プランを維持できます。

 太陽光発電を自ら生み出し、それを活用することは化石燃料に対する自社の依存度を減らすことにもなります。世界で脱炭素化に向けた取り組みが進む中で、企業の化石燃料利用に厳しい目が向けられるようになっています。一方で、再生可能エネルギーを活用する企業などに対して積極的に投資しようという流れも生まれています。企業が自家消費型の太陽光発電を導入し、それを消費者や投資家にアピールすることで自社の価値向上につなげることができるのです。

 さらに、電力を安定供給できる化石燃料の補助的な役割として、再生可能エネルギーが使われるようになっています。逆に、再生可能エネルギーは時間や季節に左右されるため、それだけに頼ると需要のピーク時に電力が足りなくなる恐れもあるので、それを補うために化石燃料を使用するといった調整方法も取られるようになっています。自家消費に取り組むことで、利用者は需給の状況などに合わせて電力を選ぶことができるようになるのです。

 このように、再生可能エネルギーの活用方法が見直される中、自家消費の存在感は日に日に増しています。グリッドパリティの実現が迫る今、自家消費の構築について真剣に検討すべき時がきたと言えるのではないでしょうか。次回は、構築のポイントを紹介します。

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