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事業者と地域の架け橋になる「地域共生再エネ顕彰」

2022年3月16日

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 地域で再生可能エネルギー事業を継続的に運営するためには、地域住民や地方自治体との良好な関係構築が欠かせません。政府は事業者と地域の交流や情報共有に力を入れており、2021年度から優れた事業を評価・紹介する「地域共生型再生可能エネルギー事業顕彰(地域共生再エネ顕彰)」という新たな取り組みを開始しました。地域共生再エネ顕彰は、事業者と地域の関係性にどのような影響を与えるのでしょうか。顕彰事業の狙いや、社会に与える変化について解説します。

地域共生が再生可能エネルギーの普及に弾み

 地域共生再エネ顕彰とは、地域と共生しながら再生可能エネルギーの導入に取り組む優良な事業に対し、「地域共生マーク」の付与などによって顕彰する経済産業省の制度です。2021年7月に第1回の公募が行われ、同年10月の第2回公募を経て、2021年度は6つの事業が採択されました。

 再生可能エネルギー事業には、地域経済や環境、また景観に影響を及ぼす可能性があるので、事業を持続的かつ安定的に運営するためには、地域住民や地方自治体からの信頼を獲得することが欠かせません。

 政府は、再生可能エネルギー事業が適切に行われるようルールを整備するとともに、事業者と地域住民や自治体が良好な関係となる支援をしてきた的な関係構築に取り組んできました。2017年には再生可能エネルギーの事業者に住⺠との適切なコミュニケーションを努⼒義務化し、2021年から再生可能エネルギー事業の申請情報を自治体に提供するといった取り組みは、その一例です。

 近年、地域共生型再生可能エネルギー事業の好事例が日本各地で現れ始め、経済産業省では、そうした事業を評価・顕彰することで広く社会に紹介し、各地域へ水平展開することで、再生可能エネルギーのさらなる普及拡大に弾みをつけようと考えているのです。

地域の実情に沿っているかを自治体も評価

 地域共生再エネ顕彰の特徴は、事業者の審査に自治体が参加する点と、評価のポイントに地域貢献の項目があることです。

 審査の流れとしては、申請者が事務局に提出した応募書類について、まず自治体が評価を行います。自治体は事業が地域の実情に沿った内容になっているのかを評価し、それをもとに有識者からなる審査委員会が採択の可否を決定します。

 審査の際には、「安全性」や「住民理解」という基本的な項目とともに、「地域社会の産業基盤構築」「災害時の安定供給の確保」「長期的な事業実行計画」という“地域共生再エネ3要件”が重要視されています。

 地域社会の産業基盤構築は、雇用や産業の創出、事業収益の還元、環境意識の醸成、まちづくり推進といった地域貢献度、災害時の安定供給の確保については、災害時における電力供給、防災計画などの地域連携、長期的な事業実行計画は、事業継続に向けたFIT終了後の稼働方針などを要件としています。

 地域共生再エネ3要件に沿った事業としては、「再生可能エネルギーを活用した地域マイクログリッドにより災害時のエネルギーの供給を可能とする事業」「太陽光発電の自立運転機能により災害時に近隣への電力供給を可能とする事業」「森林資源を利用したバイオマス発電事業において、卒FIT後の長期的な事業計画を策定し、雇用創出や地域への利益還元を行う事業」といったものがあります。

こうした審査をクリアし、顕彰された事業は、地域共生マークが付与されるとともに、資源エネルギー庁のホームページなどで紹介されます。

地域共生型再生可能エネルギー事業が生む好循環

 地域共生再エネ顕彰に採択されることは、事業者にとって大きな魅力があります。地域共生マークを取得した実績から、事業が円滑に進むことやブランド力向上などが期待されます。また、資源エネルギー庁のホームページに取り組みが掲載されることで、高いPR効果も見込めます。

 2021年度に採択された事業を見てみると、地域に根ざしたさまざまな取り組みがあり、東北地方ではある企業による「風車で発電した電力を蓄電池に蓄え、災害時に防災拠点へ電力供給する」という取り組みが、地元資本による地域密着型の風力発電所として採択されています。

 別の企業では、地域の製材所で木材加工時に発生する樹皮を燃料として活用し、隣接する園芸団地でしいたけ栽培に熱供給を行いました。樹皮を燃料にして温めた温水を暖房用に、同じく樹皮を燃料にした蒸気を菌床殺菌用に供給するという取り組みが、木質バイオマス熱エネルギーの利用拡大を促進する事業として採択されています。

 今後、こうした事例を参考に、各地で地域共生型再生可能エネルギー事業が進むことが期待されます。地域と事業者が手を取り合うことで、再生可能エネルギーの普及が進めば、脱炭素社会やカーボンニュートラルの実現にまた一歩近くづくことができます。さらに、経済と環境の好循環を生み出すことができれば、地域経済の活性化や雇用の創出にもつながるのではないでしょうか。

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