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地震大国・日本を襲う巨大地震にどう備えるか

2023年3月15日

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「地震大国」とも呼ばれる日本では、数十年から数百年に一度というサイクルで、巨大地震が発生してきました。2023年以降も「首都直下型地震」や「南海トラフ地震」などの発生が懸念されています。それぞれがどのような被害をもたらし、そして地震による被害軽減のためにできることは何かについて考えていきます。

世界における地震の約10%が日本近辺で発生

 2023年2月6日、マグニチュード7.8の直下型地震がトルコ・シリアを襲いました。発生より1カ月以上経ちましたが、いまだ150万人近い人々が避難生活を余儀なくされています。地震の発生時刻が起床前の早朝4時(現地時間)だったことに加え、耐震性の低い住居用建物の倒壊が相次ぎ、被害が拡大したと考えられています。また、現地では気温が氷点下に達する過酷な環境下で、懸命な救助活動が行われました。

私たちの住む日本は「地震大国」と呼ばれています。日本の国土面積は全世界の0.25%に過ぎませんが、世界における地震発生の約10%が日本近辺に集中しています。また、マグニチュード6.0以上の地震に限ると、全体の約20%を占めているとの報告もあり、トルコ・シリアで発生したような巨大地震は、いつ日本で発生してもおかしくないのです。

 近年、日本に大きな被害を与えた地震としては、2011年3月の東日本大震災、2016年4月の熊本地震、2022年3月の福島県沖地震などが挙げられます。また、今年は関東大震災の発生から100年という節目を迎えます。その発生日である9月1日は「防災の日」と定められているように、関東大震災は近代日本において史上最大の地震災害と言われています。被災の多くは木造住宅の密集に起因する広範囲の火災だったことから、その後、東京では広い道路を確保する都市計画が進められました。

 2023年以降、日本国内で発生すると予測されている巨大地震には「日本海溝・千鳥海溝地震」、「首都直下型地震」、「南海トラフ沖地震」などがあります。日本海溝・千鳥地震は、東日本大震災と同じく東北地方太平洋側、または北海道南方を震源とする地震で、北海道や東北地方各地に大きな被害をもたらすと考えられています。

 人口集中地帯である東京とその近郊を震源とする首都直下型地震では、100兆円近い経済的損失が発生すると言われており、GDP(国内総生産)の約2割に達すると試算されています。また、地震発生後は首都中枢機能への影響が大きいことから、日本政府は事前防災、発災時の備えを推進しています。

 そして、日本海溝・千島海溝地震、首都直下型地震を上回る被害が発生すると考えられているのが、南海トラフ地震です。

南海トラフ地震では、巨大地震の連続発生の可能性も

 南海トラフとは、静岡県沖から宮崎県沖にかけてある水深4,000m級の深い溝のことを言います。この溝は、海側のプレート(フィリピン海プレート)が陸側のプレート(ユーラシアプレート)の下に少しずつ沈み込み、歪みが蓄積されます。陸側のプレートが沈み込みに耐えきれなくなり、限界に達して跳ね上がった際に発生する地震が、南海トラフ地震です。

 一度地震が発生しても、その後再び1年に数cmずつプレートが沈み込んでいくため、南海トラフに起因する地震は繰り返し発生してきました。その周期は、100〜150年周期です。前回の南海トラフ地震は1946年に発生した「東南海沖地震」で、中部地方から九州地方に至る広範囲に大きな被害を与えています。

 今後の南海トラフ地震の発生に関しては、「30年以内にマグチュード8〜9の巨大地震が、70~80%の確率で発生する」という予測が立てられています。また、ある国立大学では「南海トラフで一度巨大地震が発生した後、1週間以内にさらなる巨大地震が起こる可能性がある」との研究結果を発表しました。

 このような状況から日本政府は、2014年に「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」を策定しています。南海トラフ地震は、震度6弱以上または一定規模以上の浸水被害が見込まれる市区町村が30都道府県、737市区町村に及びます。同計画には、広域にわたって必要となる救助や支援への対応が盛り込まれています。また、現在は東日本大震災の発生から10年以上経つことを踏まえて、同計画の見直しも進めています。

地震被害軽減のためにできること

 このような巨大地震の到来に備えて私たちや企業はなにができるのでしょうか。まずは、「地震による揺れから身を守ること」が大切です。

 揺れへの対策として重要なのが、建物の耐震対策です。耐震化の重要性は、先日のトルコ大地震においても多くのメディアで報道され、日本でもさらなる対応が急がれています。また、地震の揺れよって発生する火災への対応も必要です。漏電を感知して電気を遮断する感電ブレーカーの導入などが具体的な対策としてあげられます。このほか、ライフラインが途絶したことを想定して、水や食料を備蓄しておくことも重要になります。最低3日間、可能であれば1週間分の水と食料を用意しておくことが推奨されています。

 次に挙げられるのが「適切な避難行動や日頃からの訓練」です。避難場所やルートの確認、いざというとき迷わないための日ごろからの訓練を怠らないようにすることが重要です。自治体が公開しているハザードマップの確認、「早めの避難」の心がけなども大切です。また、地震の発生後は交通機関の混乱が考えられます。渋滞の発生を防ぐために自動車での移動を自粛し、あわてて帰宅せず、室内にとどまることも考慮して行動する必要があります。

 企業としては、事業活動を継続するためのBCP(事業継続計画)を策定する必要もあります。

 BCPの策定において、まず従業員の安全確保が最も重要です。安否確認システムを導入や防災備蓄品の適切な保管、感染症対策なども視野に入れなければなりません。また、停電への対策も必要です。地震発生後は約5割の地域で停電が発生し、その後は1週間以上にわたって電力供給が不安定な状況が続くと想定されています無停電電源装置(UPS)や非常用発電機の導入、またいざというときに稼働するよう、定期的な点検も大切です。さらに、事業活動を早期に再開するためのバックアップオフィスの構築、非常用通信網の整備など業務を継続する体制を整えておくことも必要になります。

 近年では、地震対策をはじめとした防災に、最新のテクノロジーを活用する動きも増えています。ある企業では、VR技術を活用してオフィスからの避難訓練をバーチャル空間上で実施できるソリューションを開発しました。また、実際の災害発生時にどのような危険が身に迫っているのかを見える化し、的確な意思決定を支援するアプリケーションも登場しています。SNSへの投稿内容や気象データ、道路・河川カメラからの情報をベースに、AI解析や専門家によるファクトチェックを終えたデータのみを届け、災害で混乱した中でも的確な判断を下すことができます。

 このような「防災テック」へ期待が高まるなか、民間企業が持つテクノロジーをマッチングする場所として「防災×テクロジー官民連携プラットフォーム」を設置し、先進技術を取り入れた防災を推進しています。

 地震大国・日本で生活し、事業を継続していくために、災害などの不測の事態に備えることは必要不可欠な条件です。過去の巨大地震発生で得た教訓を生かすのに加え、ICTの活用や新たな技術の登場により、防災対策の幅は広がってきています。平常時の防災活動や災害発生時の被災害確認、復旧作業など、この機会に確認や見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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