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東日本大震災から10年、これからの「自助」「共助」「公助」を考える

2021年3月24日

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 東日本大震災の発生から10年が過ぎ、災害対策の内容も刻々と変化しています。災害時において個人、そして企業にはどのような防災対策ができるのでしょうか。今回は、自然災害の発生に備えた「自助」「共助」「公助」の取り組みについて考えます。

情報・知識の備えで災害時のリスクを把握

 東日本大震災以降、今後発生が予想される南海トラフ地震や首都直下地震に備えるため、国や地方自治体は「公助」の観点から、避難所として利用可能な公共施設の耐震補強工事や電源供給体制の整備、また、沿岸部への巨大な防波堤や防潮堤の設置といった対策や支援などを行っています。

 こうした取り組み以外に、被害を最小限に留める行動として、一人ひとりが災害を自分事と考え、自らの命は自らが守る「自助」、その上で助け合う「共助」の必要性が東日本大震災以降、広く認識されるようになりました。

 自助において重要になるのは、まず情報や知識による“備え”、そしていざというときに身の安全を守るための対策です。

 災害時に迅速かつ適切に行動するためには、日頃からの情報収集が重要になります。ある調査によれば「地域の自然災害リスクを把握しておくと、災害発生時に避難行動を取る割合が大きくなる」という結果もあります。事前に知識を備えておくことで、自分が住んでいたり、働いている場所のリスクに対する理解が深まり、災害が発生した際の行動にも差が出るのです。

 地域のリスクを把握するための情報源として役立つのが、各自治体が作成しているハザードマップです。ハザードマップを見ると、その地域における地震や津波などの危険度がわかります。情報を集め、リスクを把握することで初めて、災害発生時の避難計画を立てられます。

 これまで自治体がそれぞれまとめていた災害についての情報を、国が集約する動きもあります。国交省の「わがまちハザードマップ」はそうした流れから生まれたサイトで、全国のハザードマップ公表状況を確認することができます。

家具や什器の固定で、転倒や落下による被害を避ける

 大規模な地震が発生した場合、身の安全を守るために重要なのは、家具の転倒対策です。

 東京消防庁が、近年発生した地震による負傷の原因を調べたところ、約30~50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。家具や什器類の転倒は、けがの原因となるだけでなく、通路をふさぐことによって、避難の障害になる可能性も無視できません。また、火気の近くで転倒した場合、二次災害として火災を引き起こすことも考えられます。

 家具の転倒は、高層の建物で特に注意が必要です。東日本大震災では、建物の高層階ほど転倒の割合が多くなったという報告がありました。これは、周期の長いゆっくりとした大きな揺れ、いわゆる「長周期地震動」が一因と考えられています。

 基本的な対策としては、家具や什器類を床や壁に固定する、転倒・落下してもけがをしないように、生活行動範囲や避難経路などから離れた場所に家具や什器類を設置する、といったことが考えられます。

企業・自治体・住民団体で進む共助の輪

 共助については、企業の積極的な取り組みが期待されています。上場企業の時価総額上位100社を対象に、東日本大震災後の行動について調査したところ、約9割の企業が支援を実施していたそうです。支援の内容は、寄付が84%と最も取り組んでいる企業が多く、物資提供が55%、人材の派遣が29%と続きました。

 これまでの災害を教訓に、企業が取り組む共助の内容も変化しています。大規模災害が発生した際に、企業が緊急避難場所として敷地を開放したり、食糧・飲料水などの物資提供を行う防災協定を、自治体や住民団体との締結する企業が増えています。

 また、東日本大震災では首都圏で多くの人が帰宅困難に直面しましたが、こうした経験を受けて災害時に水道やトイレを提供する「災害時帰宅支援ステーション」の協定に参加する店舗もあります。

 個人や企業といったさまざまなレベルで、自助と共助の取り組みが進めば、災害に対して強靭な社会が形成されていくことでしょう。東日本大震災から10年が過ぎた今、あらためて自然災害への対策を見直し、自助と共助について何ができるのか、検討してみてはいかがでしょうか。

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