CSR報告書 2018

安全でスマートな社会づくりへの貢献

世界規模で社会のICT化が進む現在、その波はファシリティづくりにも大きく影響を及ぼしています。特に、NTTファシリティーズでは、安心・安全な日常生活に寄与することと、自然エネルギーの活用も含めた低炭素社会の実現に寄与することが、次世代のファシリティのキーテーマとなると見据え、研究を進めてきました。その成果は、各地で進むスマートコミュニティの実証プロジェクトにおいて、さまざまな形で結実しています。

地方創生への積極参画

新地スマートエナジー株式会社の設立

NTTファシリティーズは、福島県相馬郡新地町が推進する環境産業共生型の復興まちづくりの実現に向けて、新地町及び11(注1)の企業・団体とともに「新地スマートエナジー株式会社」を設立しました。
事業取組としては、石油資源開発株式会社が2018年3月に操業開始している相馬LNG基地の天然ガスを活用して、新地駅周辺の新たなまちづくりと一体的に熱電併給等を展開するものです。なお、今回の取り組みには、福島県の15市町村が掲げる「福島イノベーション・コースト構想」を実現するため、経済産業省の「スマートコミュニティ導入促進事業」(注2)が活用されています。 具体的な内容は、以下の2つです。

(注1)
「新地スマートエナジー株式会社」設立者
福島県相馬郡新地町(町長:大堀 武)
石油資源開発株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岡田 秀一)
京葉プラントエンジニアリング株式会社(本社:千葉県市川市、代表取締役社長 福本 英敏)
日本電気株式会社(本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO 新野隆)
NECキャピタルソリューション株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 今関 智雄)
株式会社NTTファシリティーズ(本社:東京都港区、代表取締役社長 一法師 淳)
株式会社URリンケージ(本社:東京都中央区、代表取締役 渡邊 輝明)
日本環境技研株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長 福島 朝彦)
株式会社東邦銀行(本店:福島県福島市、代表取締役 北村 清士)
ふくしま未来農業協同組合(本店:福島県福島市、代表理事組合長 菅野 孝志)
あぶくま信用金庫(本店:福島県南相馬市、代表理事 太田 福裕)
相双五城信用組合(本店:福島県相馬市、代表理事 梅澤 国夫)

(注2)
「スマートコミュニティ導入促進事業」東日本大震災により従来の集中電源に依存した需給構造の脆弱性が明らかとなり、再生可能エネルギー及び蓄電池を中心とする分散型エネルギーシステムや分散型システム連携による面的な広がりをもった次世代のエネルギー・社会システム(スマートコミュニティ)の構築の動きが高まる中、イノベーション・コースト構想推進会議を構成する関係15市町村(いわき市、相馬市、田村市、南相馬市、川俣町、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、新地町、飯館村)で、災害に強いまちづくりとして再生可能エネルギーの活用を中心としたスマートコミュニティを構築するためのマスタープランの策定を支援し、策定されたマスタープランに基づくスマートコミュニティの構築に対して支援を行う事業のこと。

(1)地域エネルギーセンターの建設

JR常磐線新地駅周辺地区に地域エネルギーセンターを建設し、相馬LNG基地からの天然ガスを活用するガスコージェネレーションシステムおよび自営線やガス導管等の供給インフラを整備し、同駅周辺施設へ熱電併給を行います。さらにガスコージェネレーションシステムから排出されたCO2は近隣の農業施設で作物の育成促進のために利用します。

(2)CEMS(地域エネルギー・マネジメント・システム)を活用した地域エネルギーマネジメントの実現

公共施設等に災害時にも活用できる太陽光発電設備や蓄電池設備、ソーラー街路灯等を整備しつつ地域の電源や建物設備等の情報を管理し、管理施設のエネルギー需給バランスを最適化します。
これらの施策により同駅周辺においてエネルギーの地産地消と災害に強い持続可能なまちづくりに取り組んでいきます。

「イノベーション・コースト構想」は、東日本大震災によって大きな被害を受けた福島県浜通り地域等に、新たな産業基盤の構築を目指すものです。NTTファシリティーズは、同構想の実現に向けた大きな要素といえる地域のスマートコミュニティ化に参画することで、被災地の地域創生へと積極的に貢献したいと考えています。

スマートコミュニティ事業イメージ
スマートコミュニティ事業イメージ

秩父市とエネルギーを活用した地域創生に向けた基本協力協定を締結

埼玉県秩父市とNTTファシリティーズは、新エネルギーを活用した地域創生に向けた取り組みの推進を図ることを目的として2017年11月に基本協力協定を締結しました。
本協定は、以下の事項の実現を目指す取り組みの推進を目的としています。

  • エネルギー消費の将来を見据えた効率化
  • 新エネルギー導入の推進と地域内供給によるエネルギーの地産地消
  • 避難施設等の確保・非常時のエネルギー供給等による防災面での都市機能の向上
  • エネルギーに関する取り組みの推進を通じた地域経済の活性化

NTTファシリティーズは、かねてより「秩父市カーボン・マネジメント強化業務及び秩父市バルクリース省CO2 改修FS(feasibility study)業務委託」を受託し、同市が全国に先駆けて取り組む公共施設におけるファシリティマネジメント計画と温暖化対策実行計画の融合に協力しています。本協定を基に引き続き協力体制を強化します。

協力体制のイメージ

協力体制のイメージ

「VPPリソースアグリゲーター」としての取り組み

NTTファシリティーズは、資源エネルギー庁の補助事業である「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント(VPP)構築実証事業(*1)(VPPアグリゲーター事業)」に申請し、2017年度事業に続き2018年5月に一般社団法人環境共創イニシアチブから補助事業の採択を受けました。
VPPリソースアグリゲーターとして、需要家が保有する蓄電池、空調装置等のエネルギーリソースを活用したディマンドリスポンス(*3)を行い、アグリゲーションコーディネーター(*2)と連携して、社会に分散して存在するエネルギーリソースを調整力とするVPPの構築実証に取り組みます。
NTTファシリティーズは、本事業を通じて需要家側エネルギーリソースの規模を拡大、DR制御技術を向上させ、省エネルギーや再生可能エネルギー利用を積極的に推進し、脱炭素社会の実現をめざします。

*1 :需要家側のエネルギーリソース(発電設備や蓄電池、ヒートポンプ、ディマンドリスポンス等)を統合的に制御し、あたかも一つの発電所(バーチャルパワープラント)のように機能させ、電力系統の需給調整に活用する実証を行うとともに、定置用蓄電池の価格低減を図る。新たなエネルギービジネスの創出を通じて、再生可能エネルギーの更なる導入拡大、省エネ・負荷平準化の推進、系統安定化コストの低減を図る。
*2 :リソースアグリゲーターが制御した電力量を束ね、一般送配電事業者や小売電気事業者と直接電力取引を行う事業者。
*3 :需要家側エネルギーリソースの保有者もしくは第三者が、需要家側エネルギーリソースを制御することで、電力需要パターンを変化させること。

VPPリソースアグリゲーター事業イメージ
リソースアグリゲーター事業イメージ

IoTとファシリティ

駒澤大学 先進的なIoTを活用したキャンパスの効率的な運用

NTTファシリティーズは2013年より「駒澤大学開校130周年記念棟(種月館)」プロジェクトに参加し、記念棟及び低層棟の設計・監理を担当しました。駒沢キャンパス再開発の一環として、低炭素社会を見据えた環境性と有事に備える災害レジリエンスの両立をめざす両棟は、最新のIoT技術を多彩に活用し、国土交通省の「平成26年度(第2回)住宅・建築物省CO2先導事業」の採択を受けています。
まず環境面では、施設の性格上、長期休暇時は人の出入りも少なく稼働エリアも限定的になるなど、施設の利用状況に応じた制御が省電力化に有効です。この対策として、自然通風や自然光活用といった「パッシブ技術」に加え、IoTを活用したきめ細かい電力制御を採用。例えば各施設の温・湿度状況を監視しつつ空調機器を統合・自律制御する水冷式空調制御システム「SmartStream」や、人感センサや明るさセンサと連動した個別自動調光制御システム「FIT LC」などを用い、空調や照明といった主要な電力消費源に大きな節電効果を実現しました。また安全面では、免震構造の採用や非常用発電機の設置に加え、「揺れモニ」による速やかな安全度診断体制も準備し、東京都世田谷区の主要な一時避難施設としての役割に備えています。

IoTを随所に活用した、先進の施設設計
IoTを随所に活用した、先進の施設設計

価値を保ち、社会の期待に応え続けるデータセンターづくり

データセンターは、数十年にわたってユーザーひいては社会に機能を提供し続けるものです。従って、その価値を持続的なものとするためには、ユーザーニーズは勿論、社会の要望の変化にも柔軟に対応し続ける必要が生じます。そのためには、設計から増設、更改といった「ライフイベント」に柔軟かつ効率的に対処できる仕組みづくりが不可欠です。
現在建築中のNTTデータ三鷹第二データセンターは、このような観点に立ち、最先端の空調機器・システムの導入は勿論、先進的な設計手法を採用しています。具体的には、高度な解析技術を活用した建物全体のレイアウト検討を設計段階から実施する一方、建物の3次元デジタルモデルに設備情報や管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベース「BIM※」を積極的に用いた設計となっています。これにより、構築時には施設内の各種レイアウトや、工事上の不都合などを事前に確認できる一方、稼働後も定期的な設備管理や設備更改計画の策定が効率的に実施できます。

  • Building Information Modeling
BIM画面の一例
BIM画面の一例

研究施設へとIoTを積極導入した
ダイキン工業「テクノロジー・イノベーションセンター」

IoTの活用が本格化しつつある現在、施設のエネルギーマネジメントの中核システムとなるBEMSにも、更なるデータ活用を通じた機能強化へと社会の期待が高まっています。2015 年に竣工したダイキン工業「テクノロジー・イノベーションセンター」は、同社の強みでもある空調技術を駆使し、施設の省エネルギー性と屋内環境の機能性・快適性の両立を目指した技術開発拠点です。同センターのBEMSには、NTTファシリティーズのFITBEMSが採用され、BEMSの施設内に設置された数万にも及ぶセンサーや、設備、実験装置から、情報の収集と蓄積、分析、可視化を行っています。
同センターでは、顧客に対し、省エネルギー施策の導入有無による効果に関する、理論値・実測値を含めたきめ細かい差異シミュレーションの実施と、室内環境およびエネルギー性能の可視化を提供しています。ここでFITBEMSの持つ、①実験装置など様々な機器と接続し情報を収集管理できること、②収集したデータをもとにエネルギーシミュレーションによるベンチマークができること、③計測データやシミュレーション結果とデジタルサイネージが連携し多様な見える化が可能であること、といった強みか活かされており、次世代のビルディングIoTの可能性が日々模索されています。
これらの施策は内外で高く評価されており、同センターは一般財団法人省エネルギーセンターによる「2017年度省エネ大賞」省エネ事例部門 資源エネルギー庁長官賞(共同実施分野)を受賞しました。

リアルタイムでシミュレーションし、デジタルサイネージに表示されたエネルギー効率

リアルタイムでシミュレーションし、
デジタルサイネージに表示されたエネルギー効率

リアルタイムでシミュレーションし、デジタルサイネージに表示されたエネルギー効率

可視化された室内環境

安全性と環境性を高い水準で両立したオフィスビル「品川シーズンテラス」

社会の低炭素化ならびにレジリエント化の流れを受け、現在、オフィスビルをはじめとする大規模施設には、環境性能と安全性能との両立が強く求められています。このような中、NTTファシリティーズが設計を担当した、品川シーズンテラスが注目されています。
2015年5月にグランドオープンした同ビルは、首都圏の中核ビジネスエリアとして賑わいを見せる品川のランドマーク的なビジネス拠点を担います。その特徴として、まず先進的な省エネルギーシステムを積極的に導入している点があります。壁面緑化や太陽光発電はもちろん、大規模な太陽光採光システムや高度に制御された空調システム、下水熱を利用した熱供給システムなどを組み込んだ同ビルは、環境性能を評価する著名な評価制度であるCASBEEで最高のSランクを取得しています。また安全面の配慮も徹底されています。高い耐震性能を備えた免振構造に加え、非常時のライフライン途絶に備えた貯水槽や非常用電源を設置しビルの機能を72時間維持できるなど、BCP性能の確保が徹底されています。
NTTファシリティーズは同ビルの維持管理も担当しており、環境性能とBCPを高い水準で両立した街づくりを推進する上で重要な役割を担うプロジェクトとなります。
これらの施策は内外で高く評価されており、同ビルは一般社団法人電気設備学会による第28回電気設備学会賞 技術部門施設賞、ならびに、公益財団法人都市緑化機構による第37回「緑の都市賞国土交通大臣賞(緑の事業活動部門)」を受賞しました。

品川シーズンテラス

品川シーズンテラス

ウェルネスに貢献するファシリティ

働き方改革に資するオフィスシミュレーター

「働き方改革」が国を挙げて叫ばれる中、オフィスのあり方にも変革が求められています。例えば設計の段階で、新オフィスがどれだけ効率性や快適性に寄与できるかを知ることができれば、オフィスの改革も進めやすくなるはずです。
NTTファシリティーズでは、オフィスの使われ方やレイアウトを、定量的なデータをもとに検討・評価できる仕組みを「オフィスシミュレーター」を提案しています。同施策では、実際に働いている従業員のデータを利用することで、新しいオフィスでの従業員の行動やレイアウト変更による効果を検証・予測します。同施策は、検証結果をより正確なものとするため、事前に以下のような調査を行うことを特徴としています。

1.コミュニケーションモニタリングシステムを利用した「客観調査」

従業員にICタグ等を付けてもらい既存オフィスでの行動をモニタリングして「行動ログ」を収集します。この行動ログから、オフィス内の各スペースの使われ方や部門等組織間の業務上の近接度、業務時間の過ごし方などといった従業員の行動特性データが得られます。

2.「主観アンケート調査」

従業員や経営層に対して簡単なアンケート等の調査を実施し、既存オフィスでの課題や不満、新しいオフィスへの要望、働き方への意識などのデータを収集・分析します。

これらのデータに基づき,新しいオフィスでどのような働き方を実現するのかを検討し、レイアウト案を作成します。また同施策ではファシリティの稼働後も事後調査を行うことで、このような変化に合わせてデータやモデルを補正し、新しいオフィスにおける従業員の行動予測の精度を高めていきます。

オフィスシミュレーターが活きたオフィス設計「八洲電機本社ビル」

企業の本社ビルには、「経営の中枢」としての高い業務効率性と事業継続性は勿論、「企業のランドマーク」としての環境性や快適性が求められます。八洲電機が創立70周年を機に改築した新本社ビルはこれらのニーズを先進的な設備で実現しています。NTTファシリティーズは設計・監理などを担当しました。
同ビルでは、まず業務効率性の模索の観点から複数あった拠点を集約したうえで、施設で働く方々のコミュニケーションを更に促すため、マグネットスペースの分散配置、フリーアドレスの採用、全館無線LAN化などを徹底したフロア設計としました。
また事業継続性と環境性の観点も徹底した設計となっており、高い耐震性能、3日間の事業継続を可能とするための燃料を備蓄した非常用発電設備と防災備蓄品用倉庫や、自然換気、自然採光、太陽光発電システム、節水型衛生器具などを備えています。加えて照明設備では全館に環境配慮型照明システムとしてFIT LCも採用。IoTを積極活用した「快適な省エネ」を実現しています。こうした各種施策が評価され、CASBEE(新築)のAランク認証を取得しています。
これらの設備設計には、ユーザーの目線にたち、先進的な設備を効率的・機能的に配置するための工夫が必要でした。このため、オフィスシミュレーターを積極的に実施しました。具体的には、まず社員を対象とした主観アンケート調査を実施。旧本社ビルでのオフィス環境の重要度・満足度や、理想のワークスタイルに対する充足度を調査しました。また同時に、コミュニケーションモニタリングシステムを利用した客観的データの取得を実施。社員にICタグを携帯してもらい、組織間関係の近接度や、実際の行動や働き方、会議室などの稼働率といったデータを取得しました。これらのデータを基に執務エリアやコミュニケーションエリアなどの最適な面積の算出やスタッキング・ゾーニング計画を実施した結果、新本社ビルの運用開始から数カ月後に実施した主観アンケート調査では、事前調査に比べ全ての項目で改善がみられ、新本社ビルのオフィスレイアウトが社員に受け入れられていることが分かりました。

FIT LC 利用イメージ

FIT LC 利用イメージ

主観アンケート調査の結果

主観アンケート調査の結果

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