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NTTファシリティーズ

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CSR報告書 2018

社会インフラのレジリエント化

超高層ビルの長周期地震動を緩和するアクティブ制振システムの開発

東日本大震災をはじめとする近年の大規模地震の続発をうけ、超高層ビルなどで大きな揺れが長時間続き様々な被害が生じる「長周期地震動」が注目され、その対策が急がれています。
NTTファシリティーズでは現在、長周期地震動による被害の軽減を目指し、新しい制振技術として、AIを活用した「アクティブ制振システム」を開発しています。同システムは従来の地震対策に用いられてきた「パッシブ制振」と根本的に考え方が異なっています。パッシブ制振は超高層ビルが地震で揺れた際の建物の変形をダンパーで抑えるという考え方です。一方で新開発のアクティブ制振システムは建物が大きく揺れることそのものを制御する技術です。建物に設置したセンサーから情報を得たAIが建物をできるだけ揺らさないようにダンパーの減衰力を電動アクチュエーターで逐次制御します。これにより、超高層ビルの揺れそのものを抑制し建物の被害を減らします。同時に居住者に伝わる地震の揺れも少なくなるため安心感を提供できます。
このように、地震被害のリスクを最小限にコントロールするだけでなく、超高層ビルの居住者や利用者に寄り添った効果を生み出すアクティブ制振システムには、重要インフラ施設をはじめ多くの活躍の場が想定されます。

アクティブ制振システムの導入効果イメージ

アクティブ制振システムの導入効果イメージ

文化・芸術施設のレジリエント化~NHK交響楽団演奏所リニューアル工事

近年、地震の頻発をうけ、耐震面から建築基準法の改正が行われています。文化・芸術施設も例外ではなく、機能性と耐震性・安全性の両立の一層の強化が求められています。
このような中実施されたNHK交響楽団演奏所リニューアル工事で,NTTファシリティーズは設計・監理を担当し,メインの練習室である第1演奏室において,天井面と壁面を対象に落下防止対策の検討、計画を行いました。
リニューアルに際しては、大空間の第1演奏室の天井が、建築基準法が定める「特定天井(6m 超の高さにある200平方メートル超の吊り天井:構造躯体と同様のプロセスによる定量的な耐震設計が求められる)」に該当するため、天井・飾り天井・反射板の3層で構成される天井面にワイヤーケーブルとネットによる落下防止対策で安全性を確保する計画としました。また、これに伴い内装を木質化・不燃化するとともに、壁面についても防音壁の室外側にあるコンクリートブロック壁を撤去し、耐震性の高い乾式壁に改修することにより安全性を担保するなど、非構造部材の落下・転倒などから人命を守るための建物全体の安全性のさらなる向上に努めました。
音楽ホールの性能を必要とする特性上、リニューアルでは、建物に本来備わっている優れた音響性能を損なわないように、落下・転倒防止対策を行う必要があります。この実現には、天井面に一般的な落下防止用のワイヤーケーブルとネットを設置することで、既存の浮き構造による優れた音響性能を維持しつつ、美観を損ねないようワイヤーケーブルやネットも極力目立たない形で敷設する必要がありました。このため、天井面の衝撃荷重を計算し直したうえで、計画していたワイヤーケーブルのピッチを実測によって現状に合うよう柔軟に変更し、落下防止対策を行いました。

安全性と音響性能、景観にも配慮した天井

安全性と音響性能、景観にも配慮した天井

街区のレジリエント化~寺家町周辺地区防災街区整備事業

兵庫県加古川市の寺家町は、古い町並みの性格上、木造建築物が密集する商業・住居混在の街区でした。このような状況を改善し街並みをレジリエント化するため、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(密集法)」に基づき実施された地域再開発プロジェクトが「リトハ加古川」(寺家町周辺地区防災街区整備事業)です。関係権利者が共同で行った同事業において、NTTファシリティーズは設計および監理を担当しました。
同事業では、老朽化した建築物の撤去、幅員12mの市道寺家町31号線(防災道路)の新設、共同住宅棟や高齢者用施設棟、自走式立体駐車場棟の新築等を、関係権利者や事業コーディネーターとの協働により行っています。また、敷地内に防火水槽や雨水貯留槽の設置、共同住宅棟屋上に緊急救助用スペースを確保する等、「安心・安全な街づくり」へ配慮した計画としています。
災害に強い街をつくる一方で、周辺の街とのつながりも重視しました。配置計画では、建物を分節することで市民が利用できる通り抜け通路を確保しています。また、「各店舗の個性が出せるように」という関係権利者等の強い要望に応え、建物低層部の店舗群は、各店舗が独自の“顔”を持てるようにファサードを個別にデザインできる仕組みとしました。リトハ加古川は街区の2面が既存商店街と向き合う形となっており、新旧店舗相互のにぎわい効果も期待したレジリエント化となっています。

リトハ加古川 外観

リトハ加古川 外観

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