■開発の背景とねらい |
近年、都市の廃棄物処理に関して、廃棄物の量的な増大や質的な多様化に伴う処理コストの増加、中間処理場や最終処分場の逼迫の問題などが生じるなど、その処理方法の見直しが必要となっています。そこで、各方面でリサイクル型の資源循環型社会への転換に向けた取り組みがなされるようになってきました。
リサイクルの促進を進めるために、積極的な分別回収の徹底やリサイクル処理施設等の整備などを実施する際には、分別回収や処理施設整備に伴うコストの増大や処理施設・設備の環境性、最終処分場の延命化やリサイクル化などを総合的に評価、検討する必要があります。しかし、従来は廃棄物処理全体としての経済性・環境性に関する定量的な評価・検討ができなかったため、行政や地方自治体は単独施設の環境・機能面のみを考慮した廃棄物処理の計画・推進を行わざるを得ませんでした。
この様な背景からNTTファシリティーズと荏原は、対象地域における廃棄物処理計画案の経済性、環境性などを総合的、かつ定量的にLCA評価する計画支援ソフトウェアを開発しました。
さらにこのソフトウェアでは、計画案の中から地域特性や様々な与条件を加味した最適案を抽出することが可能です。 |
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■開発したソフトウェアの特徴 |
●廃棄物処理系全体の評価が可能 |
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このソフトウェアでは、計画対象地域における一般廃棄物の発生から最終処分に至る処理系全体のコスト、環境負荷などを定量的に算出することができます。 |
●ライフサイクルにわたる評価(LCA評価)が可能 |
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処理施設をライフサイクル(建設から廃棄まで)で定量的に評価(LCA評価)することができます。 |
●経済性、環境性を考慮した総合評価による最適計画案の抽出が可能 |
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このソフトウェアでは、計画対象地域における廃棄物処理計画案の経済性、環境性などを総合的に評価・比較し、最適計画案を抽出することができます。 |
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■開発したソフトウェアの概要 |
●「Windows95」対応可能 |
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このソフトウェアは、そのOSを「Windows95」としたことにより、高い操作性や汎用性を提供します。 |
●ソフトウェアの構成 |
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ソフトウェアは、初期データ算出部、LCA計算部、及び最適案抽出部から構成されています。 |
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初期データ算出部 |
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初期データ算出部は、対象地域データを入力することで、ごみ処理量とLCA評価に必要なデータを算出します。 |
LCA計算部 |
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LCA計算部では、算出した初期データをもとに、インベントリ分析及びインパクト評価を行います。算出項目は、CO2等の大気関連項目、BOD等の水域関連項目、固形有害物質等です。 |
最適案抽出部 |
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最適案抽出部では、環境性や経済性などを総合的に評価した最適計画案を抽出します。 |
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>>ソフトウェアの画面 |
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■今後の予定 |
今後は評価実施例を蓄積していくとともに、地方自治体向けに廃棄物処理施設・設備の企画提案、コンサルティングなどの場で有効に活用していく予定です。 |
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「Windows」は、米国Microsoft
Corporationの米国およびその他の国における登録商標です。 |
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「LCA」(ライフ・サイクル・アセスメント)は、製品及びサービスが環境や資源に与える負荷(環境負荷)を、その全生涯、いわゆる「ゆりかごから墓場まで」にわたって、つまり、原材料の採取から、輸送、素材製造、製品加工、輸送、使用、再使用・リサイクル、廃棄の全過程にわたって、定量的に分析・評価する手法です。 |
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「インベントリ分析」(データ調査)は、ライフサイクルの各過程での物質、エネルギーのインプット及びアウトプットの詳細な調査・データ収集であり、インプットあるいはアウトプットされる全ての原材料、エネルギー、生産物、廃棄物などの量を確定し、その一覧表を作成することです。 |
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「インパクト評価」(環境負荷影響評価)は、インベントリ分析により得られた環境負荷量を人間あるいは生態系への影響として分析・評価することです。地球環境の面からのインパクト評価には、化石燃料消費、生物資源消費、鉱物資源消費、オゾン層の破壊、酸性雨、地球温暖化等があり、地域環境の面からでは、エネルギー消費、水資源消費、大気汚染、水質汚濁、廃棄物等があります。 |
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