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1.背景と開設のねらい |
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昨今はIT革命を背景に企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しており、次世代に向けた新しいビジネス戦略が求められています。その中で将来のネットビジネスのプラットフォームとなるiDCの役割が一層重要なものとなってきております。
iDCの信頼性は、ネットワーク、システム機器だけではなく、建物や電源・空調システムなどインフラとしてのファシリティも含めてトータルで考えることが不可欠です。
このようなことから、弊社ではシステム機器とファシリティ技術を実環境で総合的に、品質・技術検証ができる実験施設を開設しました。 |
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2.概要 |
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iDCシステムラボには5つのラボがあり、各ラボにおいてシステム機器と電源、空調、建物、監視、セキュリティ、EMC(※1)などとの関係について検証を行います。 |
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(1) |
パワーシステムラボ |
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ネットワークシステムでの直流電源システムの優位性を検証します。
システム機器と、交流・直流電源とのインターフェイス、増設方法、更改方法など24時間365日稼動に向け、高信頼で安全性の高い電源供給方法を検証します。 |
(2) |
環境・セキュリティシステムラボ |
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サーバースペース、19インチラック内などの冷却気流の最適化と環境全体の状態監視システムの検証を行います。また、最先端セキュリティシステムの検証として、バイオメトリックス(※2)を利用した個人認証や入退出を厳しく制限するマントラップ方式(※3)などについて検証します。 |
(3) |
EMCシステムラボ |
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電源設備、空調設備や照明設備から発生する電磁波ノイズがネットワーク機器に与える影響を調査し、アース、最適なシールドルームの構築方法など、EMC対策全体について検証します。 |
(4) |
オペレーションシステムラボ |
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ネットワーク監視や電源設備、空調設備などの設備監視、そしてセキュリティ監視など、システム全体での状態監視について検証します。また、設備機器のリモートコントロールや故障警報、計測データなどを集計し、分析方法についても検証を行います。 |
(4) |
ネットワークシステムラボ |
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ルーター・スイッチ・サーバーなどのシステム機器を運用した状態で、交流・直流電源の増設方法や更改工事の方法について検証します。二重床での情報ケーブルと電源ケーブルの干渉試験やシステム機器に及ぼす熱量などを調査し、最適な配線方式、空調冷却方式などについて検証します。また、回線を通したネットワーク機器の機能確認も可能です。 |
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3.検証による効果 |
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iDCのシステム構築方法や運用性の確認とともに信頼性向上及び低コスト化にフィードバックします。具体的には以下のとおりです。 |
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(1) |
高信頼化 |
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iDCを構成するシステム機器、ファシリティ設備、環境をトータルシステムとして検証することによる総合的な信頼性向上。 |
(2) |
低コスト化 |
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信頼性を考慮した最適設計・経済設計などによる低コスト化。 |
(3) |
保守性 |
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システム機器・電源・空調設備及びセキュリティシステム等の全体を一括管理するオペレーション技術の確立。止めることのできないシステム機器、ファシリティ設備のオペレーション、トラブルシューティングなどの実環境での確認。 |
(4) |
工期の短縮 |
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新工法を検証することによるiDC構築期間の短縮。 |
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4.今後の展開 |
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弊社の実験施設として夏までは、様々な観点からの検証を実施する予定です。 |
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5.用語の説明 |
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本文中 |
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(※1) |
EMC:電子装置から妨害電磁波が出ないようにすること、また、電子装置を妨害電磁波から守ること。
(電磁両立性) |
(※2) |
バイオメトリックス:生体認証。個人を識別する際に、身体的な情報などを判断材料として利用する技術。バイオメトリックスでは、個人に特有の身体情報を認証に利用することで、確実に各個人を識別することを目指す。たとえば、指紋、掌紋、声紋、網膜パターンといった身体的な特徴や、筆跡やキータイプの際の癖といった情報を利用して認証を行なう。
認証:ネットワークなどでセキュリティ機能を実現するため、アクセスを行なっているユーザーにアクセスの権利があるかどうかを検査する作業。 |
(※3) |
マントラップ方式:より高度な不正侵入防止システム。 |
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