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平成13年9月6日   

国内初、ポータブル型交流無瞬断切換装置を開発
~サービスを停止することなくデータセンタ―等での交流給電系の切換が可能


NTTグループの総合エンジニアリング・サービス企業である株式会社 エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ(代表取締役社長 布谷龍司、以下 NTTファシリティーズ)は、高信頼給電を必要とするデータセンター等において、無停電電源装置(UPS)※1の更改や給電ケーブルの収容替えに伴う給電系の切換えをデータコム装置※2等への給電を継続したままで実施したいとの要求に対して、安全かつ確実に無瞬断※3で切換え可能とするポータブル型交流無瞬断切換装置を開発しました。
従来、データコム装置等への給電系の切換えは給電を停止させて行うのが一般的でしたが、サービスの中断が生じ重要なサービスを提供する装置ではほとんど実施できませんでした。また、給電を継続させた状態では短絡事故等の危険が生じるため、電源切換えは非常に困難とされてきました。
NTTファシリティーズは高信頼給電を支えてきた無瞬断切換技術のノウハウを活かしポータブル型として本装置を開発し、国内では初めて本格的に交流電源の無瞬断切換え運用を実現しました。データセンターをはじめ、交流電力の無瞬断切換えを要求するユーザに対して、高信頼の切換サービスとして展開していく予定です。



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交流無瞬断切換装置(試作品)
《 開発の背景 》
 インターネット等の加速的な普及に伴いデータセンターの構築が急拡大していますが、それらサービスの信頼性を維持するために電源設備の果たす役割は大きくなっています。一瞬の給電断は、データコム装置を停止させサービスに多大な損害を与えてしまうことから、電源設備は24時間365日、無瞬断での給電が不可欠となっています。
データセンターの構築にあたっては、高信頼な給電システムの実現のため設計・建設を実施していますが、構築を完了しサービスを開始した後では給電系統の切換えが大変困難となります。しかし、インターネット等各種サービスに対する加速的な需要増から、サービス開始後にデータコム装置の追加増設が発生し、当初計画していたUPS容量を超過することとなり、UPSも追加増設が必要となる場合が多く発生しています。また、その他、データコム装置およびUPSの追加増設に伴って、サービス単位、またはユーザー単位にそれら装置および設備を整備するために給電ケーブルの収容替えを要求するユーザーが多くなっています。この際、UPSからデータコム装置を搭載するラック(途中、UPS用分電盤またはラック分配用分電盤)間の給電ケーブルの切換えが必然的に発生します。これら装置増設、ケーブル収容替え工事に対してサービスを停止させることなく無瞬断で実施するために本装置を開発しました。(図1~図3参照
《 技術的ポイント》
 
1. 自動同期検出切換機能の搭載
  本装置には、切換元と切換先の異なるUPSからの給電を無瞬断で切換えるための電気的条件となる同期※4を自動的に検出して瞬時に切換える機能を搭載しています。
2. 接続端子確認機能の搭載
  本装置には、切換元と切換先の各給電ケーブルの相(U.V.W)※5が確実に一致しているかを確認する機能を搭載しています。
《 本装置の特徴》
 
1. 自動同期検出切換機能
  異なるUPSから出力する各給電ケーブルを無瞬断で切換えるためには、相互のUPS出力が同期していることが条件となります。
本装置は各UPS出力が同期していることを検出して、自動的に瞬時に切換える機能を有しているため、無瞬断切換えが確実に実現できます。なお、同期していない場合は切換えない保護機能※6を有しています。
2. 接続端子確認機能による信頼性の向上
  本装置の切換運用上同じUPSから、正式に給電を行う本ケーブルと、本装置を経由して暫定的に給電する仮ケーブルの切換えが必要となります。この切換えも無瞬断で実施することから本ケーブルと仮ケーブルを一旦付き合わせることとなりますが、各ケーブルの相が完全に一致していないと短絡事故となり、UPSが停止すると同時にデータコム装置が停止してサービスに支障を来す問題があります。
本装置は、同一UPSでの給電切換え時に相が完全に一致していることを監視しており、不一致の場合は切換えない保護機能を有しているため、より安全に確実な切換えが実現できます。
3. ポータブル化
  データセンター内は、UPSやその他電源設備、およびデータコム装置を搭載するラック等が密集した狭隘な場所であることから、本装置は小型化にする必要があります。また、本装置をデータセンターの構築時に併せて予め固定的に設置して運用する方法が考えられますが、この場合では、切換える給電系統が限定されることや、さらにUPS容量は切換え相互の容量を加えておく必要があるなど、イニシャルコストの増加につながります。
当社では、高信頼給電を支えてきた無瞬断切換技術のノウハウを活かして、切換え回路に高速スイッチング特性を有する半導体素子を適用するなど小型化しポータブル型とすることにより、広範囲に渡る運用ができ、さらにイニシャルコスト増加を伴うことなく電源の無瞬断切換えが実施できます。
4. 無電圧作業の実施
  無瞬断での給電切換えにおいて、データコム装置へ給電を継続している既設UPSに本装置からの仮ケーブルを接続する場合は活線作業※7となりますが、作業誤りを起こすと感電や、短絡事故によりUPSの出力停止からサービスに支障を来すといった危険が伴います。それを回避するためには、無電圧接続機能を有したUPS、および、分電盤またはラックを使用し、無電圧の状態で作業することで安全に切換え作業が可能となります。当社では、これらのシステムを仕様化しています。
なお、やむを得ず活線作業となる場合は、通信用電源の長年の構築・保守で蓄積したノウハウを活かし、感電や短絡事故を起こさないように活線作業で実施していきます。
《 今後の展開 》
  切換え対象となる設備容量や作業スペースを考慮して、小容量・省スペース化を図った機種について開発を進め適用領域の拡大を実施していきます。
《 用語の説明 》
 
※1 無停電電源装置(UPS)
  通常は、商用から電力を入力して、電力変換回路を経て負荷へ高品質で安定した電力を供給するとともにバッテリーへ電気エネルギーを充電する。また、停電時は、バッテリーに蓄えた電気エネルギーから同様な電力を無瞬断で供給を継続する電源装置。
UPS : Uninterruptible Power System
※2 データコム装置
  ルータ、サーバ、スイッチ(データ高速切換装置)など、インターネット等の各種サービスを提供するために必要となるデータ伝送装置群の総称をいう。
※3 無瞬断
  電力の供給を止めないことをいう。
※4 同期
  異なる各電源の「電圧」「周波数」「位相」の各値がすべて一致していることをいう。
「電圧」「周波数」「位相」の何れかに差異が生じている場合に切換えると、電圧変動やノイズが発生するなど、給電に悪影響を与えることとなり負荷設備が停止することがある。
※5 相(U.V.W)
  電源には、一般的にU.V.Wの三相3線式で給電するものと、U.Vの単相2線式で給電するものがあり、三相3線式の場合はU.V.Wの各相が120度の位相差、単相2線式での180度の位相差を持っている。また、各相をショート(短絡)すると、電源が停止する危険がある。
ただし、異種電源の給電切換えでは、各種電源を付き合わせないため切換元と切換先の各相が不一致であっても同期条件であれば、負荷に支障を来すこと無く切換えが実施できる。ただし、負荷にファン等の回転方向に規定があるものについては、さらにU→V→W→Uといった相の順序を合わせる必要がある。
※6 保護機能
  回路の動作異常や、電圧など外部要因の異常を検出して、装置の機能動作または出力に支障を来す場合は、自動的に動作を止めて安全な状態を維持する機能をいう。
※7 活線作業
  電源設備から負荷装置に給電している状態で、電気が印加されている箇所へ別の新規ケーブル等を接続する作業をいう。
電気に直接触れて作業するため、作業を誤ると感電や短絡事故につながることから、絶縁手袋の装着や作業周辺に絶縁シートを施して作業しなければならない。また、熟練された作業者により実施する必要がある。
《 その他関連資料 》
  >>表-1 交流無瞬断切換装置の諸元
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室
MAIL:pr@ntt-f.co.jp
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予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。

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