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平成13年12月26日   

データセンター向け直流入力インバータを開発
~直流給電のメリットを最大限に生かせ、システムの柔軟な構築が可能~


NTTグループの総合エンジニアリング・サービス企業である株式会社 エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ(代表取締役社長 布谷龍司、以下 NTTファシリティーズ)は、データセンター直流給電化の一層の推進※1を図るため、一部の直流入力化されていないデータコム装置※2等に対して、低コスト、省スペースで高信頼な交流電力を供給できる直流入力インバータを開発しました。

本装置はデータセンターに設置された直流電源から供給される直流48Vを入力とし、定電圧、一定周波数の交流100Vに変換し出力します。したがって既設直流電源装置からの直流を電源とするためインバータ用蓄電池が不要となりますので占有スペースを従来のUPSと比較※注して50%以下に低減でき、省スペース、低コストとなります。また蓄電池が既設設備容量の一部となるためバックアップ時間も同一となり無駄のない設備構築が可能となり、保守管理及び取替え等運用上のメリットも生じます。また本装置は19インチラックマウントタイプのユニット形式(1kVA)として、最大5台(4+1台構成)による並列冗長運転※3を可能としているので負荷設備に合わせてユニットの増減ができ、負荷種別・容量によらずお客様の負荷設備に応じて柔軟な設置形態(単機、並列冗長、二重化方式等)をとることが可能です。

NTTファシリティーズは高信頼給電を支えてきたこれまでの各種ノウハウを活かし、データセンター等における電源システムとして、直流給電システムを提案し、電力消費の削減、設備構築費の削減、スペースの有効利用等、お客様のニーズにこたえていく予定です。
※注:UPSは1kVA、蓄電池保持時間180分、直流入力インバータは1+1台の並列冗長構成にて比較


開発の背景
 近年のインターネット等の加速的な需要増、設備拡大に伴い、設置スペース、設備消費電力も増加し、電源設備への省スペース化、低消費電力化が求められてきています。弊社ではこの問題を解決するためデータコム装置への直流給電化を提唱し推進しています。
ルータ、サーバ等のデータコム装置への給電は従来は交流が一般的であり、直流でデータセンターに設置するシステムを提案しても直流入力に対応していないデータコム装置が混在しざるを得ない場合があります。このような場合従来は、直流化をあきらめるか、一部のデータコム装置のために無停電電源装置※4(以下UPS)を別途設置する必要があり非常に不経済で、スペースにも無駄が生じていました。また各種新サービス開始に伴い、長時間の蓄電池を有する直流電源装置のみが設置されている通信ビル(エンジン未設置)にデータコム装置が設置される場合がありますがこのような場合、交流入力機器に対しても長時間のバックアップ供給ができるUPSを設置する必要があるため、コスト、スペースに無駄が生じていました。
これらの現状の問題点を解決するために、直流電源装置からの給電ができるように直流入力インバータを開発しました。本装置は直流-48Vを入力とし、交流100Vを出力する並列冗長運転が可能であり、本インバータは省スペース、電源容量の適正化を図るため容易に増減ができるようにユニット形式かつラックマウントタイプとし、システムの運用に柔軟に対応できます。また19インチラック等の空スペースに設置することが可能であり、別途設置スペースを確保する必要はありません。
図1:既存UPSとの比較 図2:運用性及び拡張性 参照)
本装置の構成と概要
  1.構成
 
(1) 直流48Vを入力とし、交流100V(単相・2線)、10Aを出力する定格容量1kVAのラックマウントタイプの「交流電源ユニット」
(2) 交流電源ユニットを2台(1+1台構成)搭載し、壁、柱、ケーブルラック等に固定して使用するための入出力部を備えた「交流電源ユニット枠」
(3) 交流電源ユニットを最大5台(4+1台構成)接続する“入出力部”と、負荷電流を計測、表示、過負荷警報を送出する“計測表示部”からなるラックマウントタイプの共通部ユニットである「入出力ユニット」
以上により構成され、設置場所、スペース、将来の負荷設備等を考慮し、(1)と(2)または(1)と(3)を組み合わせて使用します。
写真1:19インチラック搭載例 参照)
 
2.動作概要
  本電源装置は、負荷状態により電源ユニットの増減が可能な並列冗長運転方式です。
1台のみの単一運転(1+1台構成において1台故障時)の他、交流電源ユニット枠を使用した2台(1+1台構成)、及び入出力ユニットを使用した最大5台(4+1台構成)による並列冗長運転が可能であり、所定の周波数並びに電圧の精度を持った交流電力を負荷に供給します。また並列冗長運転時において、1台の電源ユニットが故障となった場合は、自動的に故障該当ユニットの運転を停止、外部に警報を送出し、残りの正常なユニットにて引続き交流電力を供給します。
本装置の特徴
  1.直流48V電源入力
  直流48V入力のインバータであるためUPSで必要なAC/DC変換部分が不要になりますので回路構成がシンプルです。また入力電圧がワイドレンジ(40.5~57V)であるため汎用直流電源装置から給電することが可能です。
 
2.ユニット形式
  本装置は、ユニット間通信ケーブル接続、入出力ケーブル、警報送出用ケーブル等をコネクタ方式にすることにより増減作業が容易にできるユニット形式です。したがって本装置は給電を継続したまま電源ユニットの増減作業を安全に実施することが可能になり、電源容量の適正化が図れます。また負荷種別・容量によらない柔軟な設置形態が可能となります。
 
3.ラックマウント及び壁掛けタイプ
  データセンター内は、近年のインターネット等の加速的な需要増、設備拡大に伴い、データコム装置を搭載するラック等も増加し、電源設備設置のスペースコストも無視できません。
本装置はラックマウントタイプ及び壁掛けタイプであるため設置場所の幅広い選択が可能であり、直流電源入力化とあいまって占有スペースを従来のUPS(1kVA)と比較して50%以下に低減できます。
※ 蓄電池保持時間180分、直流入力インバータは1+1台の並列冗長構成にて比較
 
4.並列冗長方式
  本装置は1台を冗長予備とし給電信頼性を向上させた並列冗長構成が可能です。交流電源ユニット搭載枠または入出力ユニットとの組合せで1+1台またはN+1台構成で使用することにより、1台の電源ユニットが故障となった場合は自動的に故障該当ユニットの運転を停止させ、残りの正常なユニットにて引続き高品質な交流を供給できます。
また並列冗長構成で使用する場合は接続負荷容量が定格容量(1台またはN台分)以下であることが条件となります。本装置は入出力ユニットの計測表示部にあるデップスイッチにより装置容量に合わせて過負荷警告レベル設定(電源ユニット搭載枠の1+1台構成は1台分に設定済)することにより負荷容量が設定値以上になると過電流を検出し、過負荷警報を外部に送出する機能を有しているため1+1台またはN+1台構成の並列冗長構成による高信頼給電を確保できます。
今後の展開
  インターネット等の新サービスの加速的な需要増、設備拡大に対応するため、交流給電と比較して信頼度、電気料金、空調コスト、スペース、拡張性、保守性等に優れている直流給電の推進や、エンジン未設置ビルへの長時間の交流電源バックアップが必要なシステムの増加が予想され、今後ますます直流入力インバータの需要が増えることが見込まれます。
こうした背景から今後主流になると予想される直流給電のメリットを最大限に生かせ、運用性及び拡張性に優れたシステムの構築ができる、高信頼、低コスト、省スペースが可能な電源装置として展開していく予定です。
用語の説明
 
※1 給電システムの直流化推進
データコム装置等の電源入力を交流から直流にして直流給電のメリットを生かそうとする動き。
交流給電システムと比較して直流給電システムは信頼度、電気料金、空調コスト、スペース、拡張性、保守性等に優れるというメリットがある。
現在、シスコシステムズ、IBM、サンマイクロシステムズ、ヒューレットパッカード等のルータ、サーバ、スイッチ等に直流入力対応の装置がある。
※2 データコム装置
ルータ、サーバ、スイッチ(データ高速切換装置)など、インターネット等の各種サービスを提供するために必要となるデータ装置群の総称をいう。
※3 並列冗長運転
2台以上の単一インバータを常時並列接続し、万一1台のインバータが故障停止しても当該機を瞬時に解列して、残りのインバータで負荷供給をおこなうことによりシステム機能を維持する方式で、1台冗長構成とすることでシステムの信頼性を向上させる方式。
※4 無停電電源装置(UPS)
通常は、商用から電力を入力して、電力変換回路を経て負荷へ高品質で安定した電力を供給するとともに蓄電池へ電気エネルギーを充電する。また、停電時は、蓄電池に蓄えた電気エネルギーをインバータに入力することにより無瞬断で供給をし続ける電源装置。一般にインバータは直流を交流に変換する回路をいう。
UPS : Uninterruptible Power System
その他関連資料
  表1-1表1-2 直流入力型交流電源装置の諸元
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室
MAIL:pr@ntt-f.co.jp
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