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開発の背景 |
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UPSは情報通信をはじめ、電算処理、医療、および一般オフィスなど幅広い分野で普及しています。
また、現在の負荷設備においては、情報通信にみる多種多様にわたる新規通信サービスの高度化など、24時間、365日、高品質な電力であるインバータ給電が必要となってきており、現行UPSの機能である無瞬断交流給電に加え、保守時や装置故障であっても商用電源に依ることなくインバータ給電が可能な高信頼形UPSが必要となっています。
NTTファシリティーズでは、それら要求に応じた高信頼形UPSの商品化に向けて、双方向電力変換技術の適用、および低コスト化を図った研究開発に取り組み、今回、現行の単一方式UPSへ双方向電力変換技術を適用した高信頼形UPSを実現しました。 |
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従来の技術および問題点、課題 |
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従来の整流部、インバータ部、蓄電池、バイパス回路等からなる単一方式UPSは、整流部またはインバータ部が故障した場合や保守点検時においては、入力である商用電源がバイパス回路を介して直接負荷に供給されるため、この時に入力である商用電源が停電すると、必然的に負荷がダウンしてしまう問題があります。
参照:現行UPSの構成および課題
これら問題を解決するUPS方式としては、N+1台構成の並列冗長方式UPS※1、および単一方式UPSを2台構成とした現用・予備方式UPS※2がありますが、単一方式UPSに比べ、コストにおいて約3倍、また、設置スペースにおいて約2倍以上となる課題がありました。
※1:並列冗長方式UPS
2以上の複数台の単一方式UPSおよび切替部から構成され、UPSの定格容量となるN台に、さらに同容量の単一方式UPSを予備として1台追加したN+1台の構成。同期運転している全台数により負荷にインバータ給電する。なお、1台故障した場合はN台によりインバータ給電を継続する。
※2:現用・予備方式UPS
2台の単一方式UPSおよび切替部から構成され、現用UPSとホットスタンバイしている予備UPSに分けられる。現用UPSが故障した場合は、ホットスタンバイしている予備UPSへ無瞬断にて切り替えられインバータ給電を継続する。 |
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開発技術のポイント |
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(1) |
高信頼形UPSの動作概要 |
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1.通常時・停電時
参照:高信頼形UPS機能動作(通常時・停電時)
従来のUPSと同様に整流部、インバータ部、切換部を経由して負荷にインバータ給電している。整流部からの直流出力は、インバータ部へ給電するとともに、バックアップ蓄電池へ充電している。なお、双方向電力変換部は直流電力から交流電力へ変換するインバータ運転にてホットスタンバイ状態となっている。
また、停電時は、蓄電池に蓄えられた直流電力によりインバータ部、切換部を経由して負荷にインバータ給電が無瞬断にて継続される。
2.インバータ部故障時
参照:高信頼形UPS機能動作(インバータ部故障時)
切換部が瞬時に双方向電力変換部側に切り替わり、インバータ給電が無瞬断にて継続される。双方向電力変換部は、インバータ運転にてホットスタンバイ状態となっていることから安定した交流電力が供給される。
3. 整流部故障時
参照:高信頼形UPS機能動作(整流部故障時)
バックアップ蓄電池に蓄えられた直流電力がインバータ部へ供給されることにより、インバータ給電が無瞬断にて継続される。
次に、双方向電力変換部は交流電力から直流電力へ変換する整流器動作に切り替わり、SW3がオンされるとともにインバータ部およびバックアップ蓄電池に直流電力が供給され、引き続きインバータ給電が継続される。
以上のように、通常時インバータ給電を行っている整流部、インバータ部が故障した場合であっても、商用電源に切り替わること無く、高品質な電力であるインバータ給電が無瞬断にて継続できることことを可能としました。 |
(2) |
信頼度向上と低コスト省スペースの両立 |
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現行の単一方式UPSのインバータ給電信頼度は、約2万時間であり約2.2年に1度インバータ給電が停止し商用電源へ切り替わる可能性が有ります。
しかし、N+1台構成の並列冗長方式UPS、および現用・予備方式UPSでは、予備UPSに無瞬断で切り替える動作により25万時間(約28年)以上のインバータ給電信頼度を有しています。
今回開発しました高信頼形UPSでは、双方向電力変換部を予備回路として、単一方式UPSに組み込んだことにより25万時間以上のインバータ給電信頼度を実現しています。
さらに、従来の変換技術においては、その予備回路は整流部とインバータ部の2部構成となることに対して、双方向電力変換部は整流器動作とインバータ動作の両方の動作が可能であることから1部構成となり、高信頼の実現とともに低コスト、省スペースの両方を実現させました。 |
(3) |
ユニット構造によるメンテナンス性の向上 |
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整流部とインバータ部、双方向電力変換部の各主要回路を切離し着脱可能なユニット構造とすることにより、点検・整備などのメンテナンス時は、双方向電力変換部への回路切替を行うことでインバータ給電を継続したまま、整流器ユニットまたはインバータユニットを引き出した作業が可能となるなど、メンテナンス性の向上を図りました。 |
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今後の予定 |
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本製品は基本的な開発を終了し、現在50kVAと100kVAの商品化仕様を検討中で、平成11年第2四半期に市場への提供を予定しています。さらに、市場のニーズを踏まえ本製品の適用容量を拡大していきます。 |
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図:高信頼形UPSシステム構成概要
表:高信頼形UPSの定格および特性 |
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【本件に関する報道機関からのお問合せ先】 |
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NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp |
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