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1.開発の背景 |
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大規模地震は、あらゆる構造物や設備機器などに被害をもたらします。地震時における機器の転倒は、機器周辺にいる人、緊急車両の通行阻害といった2次的被害の原因となります。
1995年に発生した兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を契機に、清涼飲料業界は自動販売機の据付基準を改定し、基準の遵守に取組んでおりますが、一層の安全性の確保に向けて、三国コカ・コーラボトリングとエイ.ブレインにて検討を進め、NTTファシリティーズが有する高度な耐震技術を取り入れて、3社が協働して地震時転倒防止システムを開発するに至りました。 |
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2.開発の特徴 |
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現在、自動販売機の据付方法は以下の3工法に大別出来ます。
(1) |
据付面に自動販売機の脚部を固定金具とアンカーボルト*3を用いて直接固定 |
(2) |
コンクリートブロックを活用し、ブロックと自動販売機の脚部を固定金具とアンカーボルトを用いて固定 |
(3) |
転倒防止用鉄板などの部材に自動販売機の脚部を固定金具とボルトを用いて固定 |
今回開発した「地震時転倒防止システム」は、(3)の転倒防止用鉄板などの部材を応用した固定方法をベースに、『JIS規格*4、屋内据付基準*5』に適合し、『より安全、簡単、求めやすい価格』を実現するシステムです。
『JIS規格、屋内据付基準』の適合については、三国コカ・コーラボトリングが採用している自動販売機とNTTファシリティーズが所有する高性能3次元振動台*6を用いた振動実験によりその性能を確認しました。 |
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3.システムの概要 |
本システムは、地面または床面上に設置する鋼製のベースプレート*7、そのベースプレート上に設置する転倒防止装置及び設置する自動販売機により構成され、転倒防止装置については、前面転倒防止機構とダンパー*8からなります。
前面転倒防止機構は、平時においては機器を安定して支持しますが、地震の際、機器に一定以上の揺れが生じた場合には機器全体を機器背面側に傾斜させます(前面転倒防止機構と機器とは結合させていないため、地震時に機器が装置から離れようとする場合には機器のみが移動することとなります。)。
また、ダンパーは、機器の背面に取付け、ダンパーの両端部がベースプレートと機器のそれぞれに固定され、機器の揺れを低減します。この前面転倒防止機構とダンパーで構成された転倒防止装置により、機器の前方への転倒を防止します。
さらに、設置場所が傾斜地や段差のある場合、従来は土台工事をしていましたが、地震時転倒防止システムと組み合わせて活用する、傾斜、段差に対応する台座も開発しました。
同システムと台座を組み合わせることにより、傾斜地・段差に設置した場合でも自動販売機の前方への転倒を防止できます。 |
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4.今後の取り組み |
三国コカ・コーラボトリングの販売地域(埼玉・群馬・新潟の三県)の一部エリアで、地震時転倒防止システムを導入する予定です。なお、価格、販売方法等については検討中です。 |
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5.用語解説 |
*1 |
免震
構造物と地盤との縁を切って、地震の揺れが構造物に伝わらないようにすること |
*2 |
制振
地震などにより構造物に入力されたエネルギーを何らかの装置や機構により吸収して、構造物に生じる振動を低減すること |
*3 |
アンカーボルト
柱・土台や機械類を取りつけるため、コンクリートの基礎や柱・壁などに打設するボルト |
*4 |
JIS規格
日本工業規格が定める自動販売機に関する据付基準(JIS B 8562-1996)
据付方法 |
固定金具及びあと施工アンカーにより固定する方法 |
耐震性 |
設計用水平(横方向)震度※ KH=0.4
設計用鉛直(縦方向)震度※ KV=1/2KH |
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※震度:重力加速度に対する地震の加速度の比率であり、気象庁の「震度階級」とは異なります。自動販売機の重量に震度を乗じた値が、設計に用いる地震時に自動販売機に生じる力となります。 |
*5 |
屋内据付基準(自主基準)
日本自動販売機工業会が定める自動販売機の屋内における据付基準(業界自主基準)
据付方法 |
(1) 固定金具及びあと施工アンカーで自動販売機の脚部を固定する方法
(2)自動販売機の脚部に転倒防止用鉄板を固定する方法
(3)上記により必要な強度を確保できない場合に補助固定の方法を例示 |
耐震性 |
設計用標準震度
1階・地階:KS=0.4 / 2階以上:KS=0.6 / 最上階・屋上:KS=1.0
設計用鉛直(縦方向)震度KV=1/2KH |
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*6 |
高性能3次元振動台
電気油圧サーボ方式の加振機とデジタル制御装置によって、世界最先端の性能を実現した地震シミュレーター(日本でトップレベルの性能を有する3次元6自由度振動台) |
*7 |
ベースプレート
自動販売機を固定するために使用する鉄板。(転倒防止用鉄板) |
*8 |
ダンパー
一般に、ばねやゴムのような弾性体などを用いて衝撃を弱めたり、振動が伝わるのを止めたりするための装置 |
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【会社概要】 |
■株式会社エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ |
本社所在地:東京都港区芝浦3丁目4番1号 |
代表者:代表取締役社長 布谷 龍司 |
設立:平成4年12月1日 |
資本金:124億円(授権資本金400億円) |
従業員:6,200名(H15.4.1現在 NTTファシリティーズグループ合計) |
事業内容:NTTネットワークを支える全ての建物、電源・空調システムなどの情報環境の企画・設計から施工、維持管理までを一貫して手がけてきた実績から生まれた、「IT×エネルギー×建築」の融合技術で、最適なファシリティソリューションを提供し経営をサポートします。 |
■三国コカ・コーラボトリング株式会社 |
所在地:埼玉県桶川市大字加納180 |
代表者:代表取締役社長 八藤 南洋 |
設立:昭和38年8月14日 |
資本金:54億7百万円 |
従業員:938名(H15.6.30現在 出向者80名含む) |
事業内容:清涼飲料水の製造販売 他 |
■株式会社エイ.ブレイン |
所在地:新潟市川岸1丁目48番地7 |
代表者:代表取締役 相澤裕吉 |
設立:平成4年7月1日 |
資本金:3千万円 |
従業員:13名 |
事業内容:建設資材、鉄道資材、自動車関連製品の販売及び施工
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【本件に関する報道機関からのお問合せ先】 |
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp |
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