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1.開発のねらい |
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IT、ユビキタス社会の進展にともない、情報通信サービスの多機能化、高速化、大容量化、高信頼度化への要求がますます高まっています。これらサービスの高度化は、機器発熱の増大、装置レイアウトの多様化、コンパクト化を進行させています。
このためiDCでは、発熱密度の偏在、局所的な高温領域障害が発生し、空調システムの課題となっています。一方で、増大するiDCの電力消費に対して、装置冷却用電力消費のさらなる削減も求められています。
そこで今回の開発では、対人用であるオフィス用空調で採用されているタスクアンビエント空調というコンセプトを、対装置用であるiDC用空調に適用しました。部屋全体(アンビエント)の空調に加え、局所(タスク)に冷却ユニット(以下、局所冷却ユニット)を配置し、多様化する各装置の要求に応える局所環境をつくりだします。そしてタスクとアンビエントを、コントローラを介し連携制御することにより、最適な空調の運用を実現します。
部屋全体を受け持つアンビエント空調は、従来からの二重床空調方式を採用し、局所的にタスク空調を適応させることで、従来の空調システムにない次の効果が期待できます。
効果1: |
局所的な高温領域の改善(局所的な発熱処理) |
効果2: |
発熱の偏在に効果的に対応することによりアンビエント(ベース)空調の容量を低減 |
効果3: |
装置逐次増設にともなう発熱量の増加に柔軟に対応 |
効果4: |
天井マウント方式の採用によるスペース効率の向上 |
効果5: |
タスクアンビエント連携制御によるエネルギー消費量削減とコスト削減 |
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2.システムの特徴 |
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(1) |
効果的&効率的な局所環境コントロール |
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局所冷却ユニットは、IT装置が収納されるラック架列間の通路上部に配置します。これによりエネルギーロスが少ない効果的で効率的な、IT装置の周辺環境のコントロールが可能となります。 |
(2) |
リスクを最小限にする局所冷却ユニット(ノンドレン*2) |
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局所冷却ユニットはIT装置近傍に設置されるため、漏水など装置に与えるリスクを最小限に
押さえ込む必要があります。そこで本ユニットは、冷却時に凝縮水を発生させないシステム構成と制御手法を採用しています。
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(3) |
省エネルギーを追求した高顕熱型 |
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局所冷却ユニットでは顕熱比*3=1(室内吸込温度:27℃DB、19℃WB)となります。これにより顕熱比が低い汎用パッケージエアコンと比較し、運用費が大幅に低減できます。従来の汎用空調機(店舗用エアコン)を利用した部分冷却に比べ効率が30%向上しています。 |
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3.今後の予定 |
NTTファシリティーズでは現在、情報通信装置収納建物において、本iDC用タスクアンビエント空調システムの導入効果の検証を進めています。
なお、本システムのソリューションによる提供および商品化については、平成16年度を予定しています。 |
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5.用語の解説 |
*1 |
二重床を利用した高効率年間冷房型空調システム
二重床上に設置した空調機より二重床内に冷気を吹き込み、冷気が必要とされる部分で吹き出すことにより、装置を冷却する空調システム。年間を通じて発熱するIT装置の高信頼性を維持するため、空調機には年間冷房運転、電磁ノイズ対策、漏水対策、耐震性能が要求されます。
NTTファシリティーズでは、これらの高信頼性に加え、年間運転効率が非常に高い空調機を開発し、提供しています。 |
*2 |
ノンドレン
一般的に空調機は、室内空気を冷却する過程で湿気を凝縮させ、その凝縮水(ドレン)を屋外に排出します。本ユニットは、このドレンそのものを発生させない(ノンドレン)技術を採用しております。 |
*3 |
顕熱比
IT装置からの発熱や照明器具、太陽からの日射などは、室内温度を上昇させます。このような熱を顕熱と呼びます。一方、水が液体から蒸発して水蒸気に変化するときは、熱は必要ですが温度計は変化しません。このような熱を潜熱と呼びます。顕熱を顕熱と潜熱との合計(全熱と呼びます)で割った値を顕熱比と呼びます。
IT装置の発熱は100%顕熱ですから、顕熱を処理する割合が大きい空調機(高顕熱型と呼びます)が有利となります。汎用空調機(店舗用エアコン)の顕熱比は0.7程度であり、IT装置を冷却する場合、無駄なエネルギーを使ってしまいます。 |
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【本件に関する報道機関からのお問合せ先】 |
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp |
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