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平成16年9月2日

日本初「最大開口面積0.75m2に対応した防火措置工法」を開発
~さまざまなIT機器のネットワークケーブルに対応~

 NTTグループの総合エンジニアリング・サービス企業、NTTファシリティーズ(代表取締役社長 布谷 龍司)は、さまざまなIT機器のネットワークケーブルに対応した防火措置工法*1を開発し、国土交通大臣認定を取得しました。
 この防火措置工法は、iDC(インターネット・データセンター)*2など大量かつ多様なケーブルが敷設される建物において非常に有効であり、従来の認定工法と比較すると6倍以上のケーブル量を通すことが可能になりました。
 なお、今回の国土交通大臣認定では、国内で初めて0.75m2まで対応できる防火措置工法の性能評価試験を実施しています。

1.開発の背景とねらい
 IT、ユビキタス社会の進展にともない、情報通信サービスの多機能化、高速化、大容量化、高信頼度化への要求がますます高まっています。情報通信のブロードバンド化に対応するためIT機器収容室においても、さまざまな機器が導入され、ケーブル量の増加・ケーブル種類の多様化が生じてきています。
 一般に、建物内部での火災に対しては、空間を小区画化することにより、延焼の可能性を限定し、万一火災が発生した場合でも被災範囲を最小限にとどめるようにしています。また、この区画をケーブルなどが貫通する場合には防火措置を行うことにより、区画貫通部からの延焼を防いでいます。特にIT機器収容室においては、一般の事務室と比べて大量のケーブルが敷設され、かつ頻繁に増設されるので、増設時に簡単に対応できる防火措置工法が必要となります。
 しかし、大量ケーブルに対する増設対応も考慮した防火措置工法が存在しないことから、NTTファシリティーズでは、ケーブル防火措置工法の開発を行い、建築基準法に適合した国土交通大臣認定を取得しました。

2.開発した工法の特徴
本工法の特徴は以下のとおりです。

(1) 大開口かつ大量ケーブルに対応
今までの一般的な工法では、最大開口面積が0.6m2であり、その開口面積に対して15%から20%程度までしかケーブルを通すことができませんでしたが、本工法では、最大0.75m2という大きな開口面積に対応しており、ケーブル量においても開口面積いっぱいまでケーブルを通すことができます。その結果、従来の6倍以上のケーブル量を通すことが可能*3になり、建物の床や壁に開ける開口数を大幅に削減することが可能です。

(2) 多種多様なネットワークケーブルに対応
さまざまなIT機器に対応させるため、LANケーブルや同軸ケーブル、そして光ファイバケーブルにも対応した工法です。

(3) 中空壁*4に適用可能
今後の工事としてリニューアルやコンバージョン*5など既存建物を改修する工事が、ますます増加すると予想されます。新たに間仕切りを設ける時には、鉄筋コンクリート造の壁をつくるのではなく、石こうボードなどを用いた中空壁で行う工事が主流になります。本工法は、鉄筋コンクリート造の壁だけでなく、ALCパネル*6や中空壁にも適用が可能な工法です。

(4) 容易な施工性
耐火遮へい板*7内にあるケーブルとのすき間に4種類の耐火スポンジ*8を組み合わせて詰めるだけで開口部を塞ぐことができるため、短時間で施工ができます。また、耐火遮へい板の固定は、ビスで固定するのではなく開閉が簡単にできる金物を使用しているため、耐火遮へい板の取付け/取外しが容易にできます。

(5) 環境負荷の軽減
耐火スポンジは、繰り返し使用できるのでケーブル増設時など再使用が可能です。そのため、廃材を減らすことができ環境負荷の軽減に貢献します。また、再使用することにより2回目以降の工事において材料費の削減が可能となります。

3.今後の展開
 本工法は、主として通信機械室やデータセンター機械室などのIT機器収容室用に開発したものですが、大量ケーブルが敷設されている建物や模様替えが頻繁に行われる建物においても非常に有効な工法であるため、IT機器収容建物に限らず、さまざまな用途の建物に幅広くご提供していく予定です。

4.用語説明
*1 防火措置工法
建物内部で発生した火災に対し、他室への延焼を防止するために耐火性能を有する区画(防火区画)を設けている。この防火区画をケーブルなどが貫通する場合には、この貫通部から他室への延焼を防止するために防火措置を施す必要がある。この貫通部に適用する工法を防火措置工法と呼ぶ。
*2 iDC(インターネット・データセンター)
インターネット時代のデータセンターのこと。WWWサーバやメールサーバ等EコマースやASPサービスに用いられるサーバ等の、設置場所を提供するハウジングサービス、サーバも貸与するホスティングサービス、サーバの運用・管理の代行サービス等を提供するインターネットインフラ設備のことである。高品質な回線と安全な場所、24時間体制の管理運営サービスを合わせた統合的なインターネット環境を提供する。
*3 中空壁
間柱の両側に石こうボードなどを貼付けた中空構造の間仕切壁。乾式間仕切壁の一種。
*4 従来の6倍以上のケーブル量を通すことが可能
6倍以上というのは認定上のケーブル量であり、実際に施工する場合には現場の状況によりケーブル量が制限されることがある。
*5 コンバージョン
建物の用途を変更すること。従来の用途を他に変えることにより、新たな利用価値を生み出す行為。
*6 ALC:Autoclaved Lightweight Concreteの略
軽量気泡コンクリートの一種であり、コンクリートに発泡材等を加えて、高温高圧蒸気下で養生し硬化させたもの。
*7 耐火遮へい板
防火措置工法の耐火性能を向上させる目的で設置する板。本工法では、繊維混入けい酸カルシウム板を使用している。
*8 耐火スポンジ
耐火スポンジは、熱が加わることで膨張する熱膨張性シートと難燃スポンジより構成されている。種類としては、L、M、S、SSの4種類がある。

 断面イメージ図(床に設置した場合の適用例)

断面イメージ図

 構成イメージ図

構成イメージ図

 (写真)上側の耐火遮へい板を取外した防火措置工法内部の状態

上側の耐火遮へい板を取外した防火措置工法内部の状態

【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
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予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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