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1.開発の背景とねらい |
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昨今、社会の急速なIT化、ユビキタス化が進行する中、ネットワークサービスが多様化、高度化し、便利に利用できるようになってきました。同時に、それらを支える情報通信機器の高速化、大容量化、高密度化が急速に進んでいます。各社から発表されているブレードサーバー*1の登場はその一例といえます。
一方で、これらを収容するiDC*2やオフィスの一角にあるサーバールームでは、発熱の偏在や、それによる局所的な高温エリアが発生し、従来の空調システムでは適切に対応しきれない事例が多く発生しています。例えば、部屋のほとんどは良く冷えているのに最新のサーバーの周りだけが熱い、最新のサーバールームなのに扇風機が回っている、などといった光景は珍しくありません。
NTTファシリティーズでは、上記のような問題を解決するために、冷やしたいサーバーの直近に簡単に設置できる新しい空調装置を開発いたしました。サーバー等と同様に、19インチラックに搭載することができ、従来の空調機のような大掛かりな設置工事は必要ありません。
また、当社は従来から、近年のコンピュータルームに見られる発熱の偏在や局所高温エリアの発生を解決するため、iDC用タスクアンビエント空調システム*3を提案して参りました。コンピュータルーム全体を単位とした二重床方式のアンビエント(ベース)空調に、タスク(局所)空調として、数ラックを単位とした天井マウント型空調機、そして今回開発した、サーバーを単位としたラックマウント型空調装置をラインナップに加え、より高度なタスクアンビエント空調ソリューションをより柔軟にお客様にご提供できる体制が整います。
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2.システムの特徴 |
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発熱密度の高い環境では確実な温度維持のため、サーバー機器の近くに冷却装置を設置する必要が高まっています。また、従来は建物設備の一部として扱われてきた空調機や冷却装置が、サーバー等の情報処理装置の関連装置として同等に扱われるようになってきています。そういった中で本製品は、サーバー機器のすぐ隣などに自在にラックマウントでき、コンプレッサ搭載で十分な冷却能力が発揮できる、という世界初の冷却装置です。
(1) |
ラックマウント方式採用により、大切なサーバー機器を直近から簡単・確実に冷却 |
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本装置は、冷却ユニットを目的のサーバー機器の直近に搭載することにより、確実に冷却を行うことが可能です。冷却対象となるサーバーと冷却ユニットの位置関係により、冷風吹きだし方向(上向き/下向き)を容易に変更できる構造になっています。 |
(2) |
フレキシブル配管のワンタッチ接続により、簡単、スピーディな設置・移設が可能 |
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本装置は、通常のサーバー機器と同様に、19インチラックに搭載できます。また、電源はコンセントからAC100Vを供給するだけです。熱源ユニットから冷却ユニットまでの樹脂配管の接続には、特別な治具や工具を必要とせずワンタッチで脱着が可能となっており、通常の空調機増設時のような大掛かりな工事は発生しません。従って、必要なときに、素早く簡単に本装置を設置することができます。 |
(3) |
冷却時のノンドレン*4制御 |
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冷却ユニットでの機器近傍空気の冷却時にドレン(結露水)を発生させないように温度管理をしています。ドレンが漏れて事故に繋がる心配はありません。 |
(4) |
安全性に配慮した熱搬送媒体の採用 |
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本装置では、熱源ユニットから冷却ユニットへ熱を輸送する液体に、3M社のフッ素系不活性液体であるフロリナート(TM)*5を用いています。フロリナート(TM)は、人体に無害であるだけでなく、絶縁性が高く、万が一漏洩して周囲の機器にかかっても、全く問題を生じません。また、短時間で蒸発しますので、周囲を汚損することもありません。 |
(5) |
局所環境を改善し、省エネルギーを実現 |
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本装置により温度クリティカルなサーバー(アンビエント空調機の設定温度の決定要因となっているサーバー)の吸込温度を下げることにより、アンビエント(ベース)空調機の設定温度を上げることができます。ある程度の規模のコンピュータルームでは、全体として省エネルギーが図れます(お客様の環境によります)。 |
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3.システムの概要 |
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本装置は、冷熱を製造する熱源ユニットと、冷却対象機器の直近で冷風を作り出す冷却ユニットにより構成され、両ユニット間は自在に変形できる樹脂配管で接続します。また、1台の熱源ユニットに対し、最大3台までの冷却ユニットを接続できます。
■仕様概要
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項目 |
仕様 |
備考 |
冷却ユニット |
外形寸法 |
W440×D600×H88mm |
19インチラック2U相当(EIA規格) |
質 量 |
7kg |
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冷却能力 |
600/700W |
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電 源 |
- |
熱源ユニットより供給 |
熱源ユニット |
外形寸法 |
W450×D785×H264mm |
19インチラック6U相当(EIA規格) |
質 量 |
40kg |
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冷却能力 |
1,800/2,100W |
最大3台の冷却ユニットを接続可能 |
電 源 |
AC100V/13A |
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※冷却能力はそれぞれ50Hz/60Hzの場合です。
※上記仕様は予告なく変更する場合があります。 |
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4.今後の展開 |
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NTTファシリティーズでは現在、実際のサーバー機器を用いて、本装置の商品化に向けた最終検証を進めています。ヒアリングにご協力いただいたお客様からは高い関心をお持ちいただいており、準備を進めているところです。
なお、本装置の商品化については、平成17年4月を予定しています。 |
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5.用語の解説 |
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*1 |
ブレードサーバー |
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ラックマウント型サーバーよりも、ラックへの集積密度を高めたサーバー製品。一般に、19インチラックに搭載できる3Uから7U程度のエンクロージャに、縦方向に細長いサーバーを複数枚差し込むような構成となっています。なお、「U」とは、EIA規格に定められたラックの高さ方向の取り付けスペースの単位で、1U=44.45mmです。 |
*2 |
iDC(インターネットデータセンター) |
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サーバーを設置する堅牢かつ安全な施設(ファシリティ)を提供する施設。耐震や防火、信頼性の高い空調や電源、ネットワーク回線、入退室管理などの設備と運用スタッフを集約的に備えることで、サーバーを預けるアウトソース先として機能します。 |
*3 |
iDC用タスクアンビエント空調システム |
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オフィス用空調で採用されているタスクアンビエント空調というコンセプトを、人間ではなくコンピュータ向けに適用した、NTTファシリティーズが提案する空調コンセプトです。コンピュータルーム全体(アンビエント)の空調に加え、局所(タスク)に冷却ユニット(以下、局所冷却ユニット)を配置し、多様化する各装置の要求に応える局所環境をつくりだします。そしてタスクとアンビエントを、コントローラを介し連携制御することにより、最適な空調運用を実現することが可能です。
部屋全体を受け持つアンビエント空調には従来からの二重床空調方式を採用し、局所的にタスク空調を適用することで、局所的な高温エリアの改善や、省エネルギーとそれによる省コスト、機器増設への柔軟な対応、スペース効率の向上などの効果が期待できます。 |
*4 |
ノンドレン |
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一般的に冷房運転時の空調機は、室内空気を冷却する過程で湿気を凝縮させ、その凝縮水(ドレン)を屋外に排出します。本ユニットは、このドレンを発生させない(ノンドレン)制御技術を搭載し、安全性向上と高効率化を図っております。 |
*5 |
フロリナート(TM) |
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3M社が開発した、粘性が低く、無色透明で、熱的化学的に非常に安定した完全フッ素化液体で、冷媒などとして使用されています。なお、「フロリナート(TM)」は3M社の商標です。 |
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】 |
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NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp |
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