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平成17年2月8日

日本初、品質別電力供給システム実証研究に着手
~新エネルギーを活用した高品質電力供給事業の実現に向けて~

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:布谷龍司)、株式会社NTT建築総合研究所(代表取締役社長:岩田英昭)、学校法人 栴檀学園 東北福祉大学(学長:萩野浩基)、仙台市(市長:藤井 黎)の4者は、独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構*1(NEDO)の委託研究事業として、日本初の品質別電力供給システム*2の実証研究に本年度から着手します。
 本実証研究は、平成16年3月に国の認定を受けた「杜の都新エネルギー創造活用特区計画*3」に基づく規制緩和を活用して、仙台市国見地区において実際の需要家*4を対象として、多様な高品質の電力を供給する実証試験を行うものです。
1 背景と狙い
 電力自由化の進展と、環境負荷の低減効果から、新エネルギーを主体とした分散型電源*5の導入が進められ、電力の供給形態の多様化が進展しています。また、IT機器の普及に伴い、電力品質に対する需要家ニーズの高度化も進んできております。このような状況に対応するためには、最適な電力供給形態を検討する必要があります。
 本実証研究においては、将来、新エネルギー等の分散型電源が大量に集中して導入される場合においても、電力品質に対する需要家ニーズに応えるため、系統電力*6と分散型電力の調和を図りつつ低コストで電力品質を維持する技術の進展を図ることを狙いとしています。
2 概要
 本実証研究では太陽光発電、天然ガスコージェネレーションシステム*7、燃料電池*8からなる多種の新エネルギーによる分散型電源(総発電出力940kW)と系統電力を相互補完的に活用します。
 現状では個々の需要家においてIT関連機器などを停電、瞬時電圧低下等から守るために設置されている無停電電源装置[UPS]*9による電力品質対策に代わるものとして、通信用電源システムで実績のある高信頼な直流と交流4種類(高品質A、B1、B2、B3)からなる多様な品質別(表1参照)の電力供給を集中して同時に行う高品質電力供給システムを開発するとともに、屋外配電網*10の品質維持技術を開発し、実証実験を平成19年度まで行うものです。
表1 電力品質分類について
 「新電力ネットワークシステム研究会、平成15年6月」(資源エネルギー庁)報告書より
電力品質分類 直流供給 高品質A 高品質B
B1 B2 B3
瞬断時間 無瞬断 無瞬断、
電圧波形補償
瞬断時間15msec以下
停電時の補償 △※ ×
主な使用用途例 汎用コンピュータ、
通信設備
汎用コンピュータ、
製造設備、
通信設備、
医療機器
小容量コンピュータ、
製造設備、
高圧放電ランプなど
 ※分散型電源が停止中は補償不可
3 システム構成等
 新エネルギー(太陽光発電、天然ガスコージェネレーションシステム、燃料電池)を用いたエネルギーセンターを東北福祉大学キャンパス内に設置し、屋外配電網により各需要家施設(大学施設、福祉施設、仙台市の施設[仙台高等学校、国見浄水場])に対して品質別の電力を供給します(図1参照)。
図1
システム全体構成および実証研究施設場所
※画像をクリックすると、拡大画像をご覧いただけます。
4 共同研究4者の役割
 (株)NTTファシリティーズ、(株)NTT建築総合研究所は高品質別電力供給システムや屋外配電網における品質維持技術等の開発、構築、評価を日本電信電話株式会社環境エネルギー研究所*11の協力を得て担当します。
 (学)栴檀学園 東北福祉大学、仙台市は需要家設備としての各関連施設の運転および実証研究データの収集を担当します。
5 実証研究終了後の展開
 共同研究4者は、本実証研究の実施に併せて、発電に伴う排熱の有効活用を図り、エネルギーの高効率利用による環境負荷低減効果や、エネルギーコスト低減効果についても検討を進め、実証研究終了後の事業化と,環境負荷の小さい、次世代のエネルギー利用システムの構築を目指していきます。
6 各者概要
(株)NTTファシリティーズについて
 NTTファシリティーズは、100年に及ぶわが国の電気通信の歩みをサポートしてきました。
NTTネットワークをささえるすべての建物、電源・空調システムなどの情報環境の企画・設計から施工、維持管理までを、一貫して手がけてきた実績から生まれた、「IT×エネルギー×建築」の融合技術で、最適なファシリティソリューションを提供し経営をサポートします。
 同社の詳しい情報は http://www.ntt-f.co.jp をご参照ください。
(株)NTT建築総合研究所について
 NTT建築総合研究所は、先進の建築・エネルギー・IT分野の技術やノウハウの体系化、高度化をはかり、お客さま一人ひとりのパートナーとして問題解決に取り組んできました。最先端の研究開発成果をベースに、さまざまなニーズに応えうる幅ひろい知識とソリューションを提供しています。
 同社の詳しい情報は http://www.ntt-bti.co.jp をご参照ください。
学校法人 栴檀(せんだん)学園 東北福祉大学について
 東北福祉大学は、1875年に曹洞宗専門支校として創立。以来「行学一如」を建学の精神に据え、わが国の正しい福祉社会創りをリードしてきました。現在は、すべての人が生涯元気に現役で暮らせる社会、すなわち「予防福祉型社会」の創造を提唱推進しています。人・社会・国家が持つ潜在的な可能性を“かたち”するための実践力を得る実学教育を展開しています。
 同学校法人の詳しい情報は http://www.tfu.ac.jp/ をご参照ください。
仙台市について
 仙台市では、「環境先進都市」を目指し、「杜の都環境プラン」に基づき、環境負荷の少ない循環型都市の実現のため、エネルギーの有効利用を推進しています。
 今回の、構造改革特区における規制緩和措置を活用した実証研究の受託を通じて、エネルギーの高効率利用による、環境に優しい太陽光発電や天然ガス等を利用した次世代のエネルギー利用システムの構築を目指しています。
 同市の詳しい情報は http://www.city.sendai.jp/ をご参照ください。
7 用語の解説
*1 独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
 「NEDO」とは、New Energy and Industrial Technology Development Organization(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の略。日本の産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発とその普及を推進する中核的実施機関。 http://www.nedo.go.jp/
*2 品質電力供給システム
 経済産業省資源エネルギー庁事業「新電力ネットワークシステム研究会」エネルギー総合工学研究所報告書IAE-CO239平成15年6月
http://www.iae.or.jp/PROJECT/nws/nws.htm)の検討内容を出発点としています。
*3 杜の都新エネルギー創造活用特区計画
(構造改革特別区域計画の認定)平成16年3月24日
(構造改革特別区域計画の作成主体)仙台市
(適用を受ける規制緩和の内容)
 項目名:1103 資本関係によらない密接な関係による電力の特定供給
 ・現行の電気事業法の規定では、電力会社以外の者が特定の他者に電力を供給しようとする場合、供給者と需要家に資本・生産工程・人的等の密接な関係が要求されている。
 ・特区による規制緩和措置により、供給者と需要家が組合契約を締結し、特定の需要家が不利益を受けない措置を講じた場合には、電力の供給が可能となる。
http://www.city.sendai.jp/kikaku/tyousei/tokku/nintei.html をご参照ください。
*4 需要家
 電力の消費者
*5 分散型電源
 従来の電力会社などから送配電線などのネットワークを介して受電する形態に対比して用いられるもので、ビルや工場の自家用発電設備のことです。
*6 系統電力
 電力会社の電力
*7 天然ガスコージェネレーションシステム
 都市ガス等の燃料を用いて発電するとともに、その際に発生する排熱を冷暖房や給湯、蒸気などの用途に有効利用するエネルギー高効率利用システムです。1つの一次エネルギーから2つ以上のエネルギーを発生させることから、「co(共同の)generation(発生)」という名称になりました。
*8 燃料電池
 水素と酸素の化学的な結合反応によって生じるエネルギーによって、電力を発生させる装置のこと。クリーンで高い発電効率が得られるため、地球環境に負担をかけない発電として期待されている。
*9 無停電電源装置[UPS]
 UPSとは、Uninterruptible Power Supply の略で、日本語では、無停電電源装置と呼びます。
 停電などによって突然電源が切れたとき、重要負荷に一定の時間電源を供給するものです。
*10 屋外配電網
 発電所で発電された電力は送電線路をとおり、消費地の変電所へ送られます。その後、所定の電圧に下げられた電力を、地中もしくは、架空布設により消費者まで電力を供給するための配電線路のことです。
*11 日本電信電話株式会社環境エネルギー研究所
 豊かで環境に優しい21世紀の情報流通社会の実現をめざして、ライフスタイルに革新をもたらす「生活環境情報技術(環境IT)」、環境に優しいエネルギーシステムの研究開発を行っています。
http://kankyo.lelab.ecl.ntt.co.jp/

【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
ニュースリリースに記載されている情報は、発表日時点の情報です。
予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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