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2008年6月4日

株式会社NTTファシリティーズ

データセンターの省エネ性を追求するラック型空調機をリリース
~データセンター向け空調機において世界最高の空調効率を達成~

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 森 勇、以下、NTTファシリティーズ)は、グリーン化が求められているデータセンター向けの新たな空調ソリューションとして、ICT装置の十分な冷却と、世界最高の省エネルギーを実現するラック型空調機「FTASCL-RS/C」を2008年9月より提供開始いたします。
 ラック型空調機FTASCL-RS/Cは、ICT装置冷却専用に開発した高効率空冷パッケージ型空調機で、当社の提案するICT装置向けタスクアンビエント空調方式*1におけるタスク空調機「FTASCL(エフタスクル)」シリーズ*2の新製品です。室内機を、ICT装置を収容する19インチラックと同様の形状とすることで、ラック列内に設置することが可能となり、安定した冷却と省エネルギー、省スペースを実現します。
 データセンターの消費電力は今後5年間で2倍程度に増加すると予測されており、地球温暖化防止の観点から、データセンターで用いられる空調システムの高効率化が急務になっています。本空調機は、まさにその要求に応えるものです。

1.本製品の特長と導入のメリット
(1) 高度な省エネ性
   FTASCL-RS/Cは、低外気温時の運転効率を高める自社開発技術を搭載し、また、ラック型とすることで室内機ファンの動力を削減し、データセンターの冷却に要する消費エネルギーを大幅に削減します。圧縮機のみならず、室内機・室内機のファンや制御基板など空調システム全体の消費電力を考慮した、総合空調効率(s-COP)は年間で5.2*3となり、これはデータセンター向け空調機において世界最高の省エネ性能です。一般的なデータセンター向け空調機に比べ、約50%も省エネです。
 一般に、冷却に要する年間消費エネルギーは、ICT装置が年間に消費するエネルギーの1/2~1/3程度ですが、FTASCL-RS/Cを用いれば、これを1/5以下に低減できます。エネルギーコストが抑えられるだけでなく、CO2排出もカットして地球温暖化防止に貢献することになります。
(2) 貴重なスペースの有効利用
   室内機は19インチラックと同じ形状のため、既設のデータセンターでもラック列の端部や空ラックの置換えなどで設置スペースを確保しやすくなります。また、高発熱ラックの近傍に設置することで、高温部を確実に冷却でき、部屋全体の空調効率を高められます。
 FTASCL-RS/Cは冷却能力あたりの設置必要面積が、一般的なデータセンター用空調機の2/3程度*4で済むため、貴重なスペースをラック用途に最大限確保しスペースの稼働率を向上できます。
 また、FTASCL-RS/Cは冷媒配管長が最大160m、室内機-室外機間の高低差を最大40m(室外機が上の場合は最大70m)取れるため、これまで物理的な制約により導入できなかった、フロア面積が大きなデータセンターや、日本に多い中高層のデータセンターにも導入が可能です。
(3) 鍛えられた高い可用性
   FTASCL-RS/Cは、ラック型の全く新しい空調機ですが、当社が30年以上にわたり開発を続け、現在も日本全国で4万台以上稼動して日本の情報通信ネットワークを支えている、アンビエント空調機「FMACS(エフマックス)」シリーズの技術と実績のすべてを注いで開発しました。
 阪神大震災クラスの地震時でも冷却を継続する強靭な耐震性、さまざまなICT装置に対応する十分なEMC(電磁両立性)性能など、極めて高い可用性を確保するために実機試験により性能を担保しています。さらに、データセンター内に冷水を持ち込まないことによる漏水リスクの回避や、部品の長寿命化によるメンテナンスコストの低減など、経験に基づく様々な工夫を盛り込んでいます。

2.FTASCL-RS/Cの構成
 FTASCL-RS/Cは1対1で接続する室内機と室外機、それらを最大20台まで接続できる操作パネルで構成されます。室内機の冷却能力は、標準的な設置条件で34kWです。詳細は、仕様表と写真をご覧ください。

■仕様表(仕様は予告なく変更する場合があります)
項 目 仕様
冷却方式 直膨空冷パッケージ型
冷却能力 34kW(標準条件※),28kW(JIS条件※※)
室内機ファン風量 135m3/min
室内機気流方式 背面吸込み/前面吹出し
最大配管長 160m
配管高低差 40m(室外機が上の場合は70mに改造可)
使用冷媒 R410A
入力電源 AC三相200V(50/60Hz)
消費電力 10kW
外形寸法 室内機:W600×D1,017×H2,000mm
室外機:W1,350×D900×H1,940mm
質量 室内機:445kg
室外機:285kg
塗装色 室内機:ブラック
室外機:ベージュ
※標準条件: 室内機吸込み空気35.0℃DB/19.9℃WB,室外機吸込空気35.0℃DB,配管長5m
※※JIS条件: 室内機吸込み空気27.0℃DB/19.0℃WB,室外機吸込空気35.0℃DB,配管長5m


室内機

室外機

3.設計技術との連携
 NTTファシリティーズでは、FMACSシリーズ、FTASCLシリーズなどの空調機製品、気流設計技術、空調システム施工技術、空調監視・保守などを総合したデータセンター向け空調ソリューション「ACORDIS(アコーディス)」(2006年日本建築学会賞技術賞受賞)をお客様に提供しています。特に、空調システム全体の信頼性や可用性、保守性を確保するためには気流設計が非常に重要であると考えています。
 その気流設計でさらに、アイルキャッピング*5を併用すれば、タスク空調機の冗長設計が容易になると同時に、省エネ性を飛躍的に高度化することができます。

4.今後の展開
 2008年6月に開催されるInterop Tokyo 2008*6において、FTASCL-RS/Cを実機展示する予定です。NTTファシリティーズのブースにてご覧いただけます。 本製品のご提供は、2008年9月より開始できる見込みです。当社営業担当までご相談ください。
 なお、本製品は、日立アプライアンス株式会社(取締役社長 石津 尚澄)と共同で開発したもので、同社にて生産します。

5.構成概要図

6.開発の背景と狙い
 ユビキタス社会が生活の隅々まで広がりつつある中、社会インフラとしてのデータセンターはますます重要性を増しています。しかし、データセンターがICT機器の高速化・大容量化とともに大型化し、地球温暖化防止の観点からも、そのCO2排出量が無視できなくなってきました。このことはデータセンターの空調に関しても同じことがいえ、高密度・高発熱のICT機器を安定的に冷却する重要性が増すとともに、エネルギー消費効率の向上が重要な課題になっています。
 当社は、これまでICT機器の安定運用に向けた信頼性の高い空調システムの開発に取り組んできただけでなく、エネルギー消費量低減という観点からも空調システムを追及してきました。こうした取り組みは、時代とともに「省エネ」「コストダウン」と名前を変えてきましたが、現在は「CO2排出量削減」として改めて重要視しています。
 本空調機の開発は、空調機を冷却対象に近づけることで、高発熱ICT機器の安定した冷却と、同時に、これまで以上のエネルギー効率を実現することを目標に行ったものです。これにより、健康で快適な暮らしやすい社会の持続的な発展に貢献できると考えています。

用語説明
*1 ICT装置向けタスクアンビエント空調方式
NTTファシリティーズが提案しているデータセンター向けの空調方式。室内の発熱負荷をアンビエント(全体)空調とタスク(局所)空調に分けて処理することで、無理なく空調することができ、その結果として省エネルギーを図ることができます。
一般に、データセンターでは、ブレードサーバなどが設置されていて発熱負荷の大きい局所的なエリアと、そうでないエリアが混在しています。これらを一律に冷却しようとすると、発熱負荷の大きくないエリアでは冷やしすぎの状態となり、全体として無駄にエネルギーを消費することになります。本方式では、比較的発熱負荷の大きいエリアにタスク空調機を配置し、それ以外のエリアと比べて多い発熱分を負担させ、アンビエント空調機には局所エリアを除いた平均的な負荷を処理さます。これによって、冷やしすぎのエリアをなくし、全体として省エネになります。
  *2 タスク空調機FTASCLシリーズ
弊社では、ICT装置向けタスクアンビエント空調方式の構成要素として、アンビエント空調機「FMACS(エフマックス)」シリーズとタスク空調機「FTASCL(エフタスクル)」シリーズをラインナップしています。FTASCLシリーズは現在のところ、空冷パッケージ型空調機である天井マウント型クーラー「FTASCL-CM/C」(冷却能力10kW)を用意しています。
なお、タスク空調機はアンビエント空調機との併用ではなく、単独でご利用いただくことも可能です。
  *3 総合空調効率(s-COP)は年間で5.2
年間総合空調効率(年間s-COP)とは、空調機を1年間運用した場合の冷却出力[kWh]を、それに要する消費エネルギー[kWh](一般には消費電力量)で除した値で、この消費エネルギーには空調機の全ての構成要素(圧縮機、ファン、制御基板など)の消費エネルギーを含んでいます。
データセンター向けの空調機の年間s-COPは一般に1.5~4.5程度で、FTASCL-RS/Cの5.2は世界最高の性能です(当社調べ)。一般のデータセンター向け空調機のs-COPを2.5程度とした場合、FTASCL-RS/Cは約50%省エネです。
なお、冷房時の性能は夏季の条件で表示するため、外気温が35℃での値を表示するのが一般的ですが、データセンター場合は1年を通して冷房運転を行うため、年間での値を用いています。
また、ここでは東京の気候条件で計算を行っています。
  *4 冷却能力あたりの設置必要面積
室内機の定格冷却能力あたりの投影面積を比較
FTASCL-RS/C    (0.6m*1.017m)/28.0kW=0.0218m2/kW
FMACS-V(LL) (2.145m*0.9m)/56.0kW=0.0345m2/kW
0.0218/0.0345=約2/3
  *5 アイルキャッピング
近年のデータセンターでは、ホットアイルとコールドアイルを構成して気流混合を抑制する手法が取られていますが、こうした場合でも、ラック列の端部やラックの上部から高温排気がコールドアイルへ流れ込み、温度障害の原因となったり、空調に無駄なエネルギーが消費されたりします。
アイルキャッピングは、ホットアイルまたはコールドアイルのどちらかを壁や天井で区画(キャッピング)することで、供給冷気と高温排気の混合を防止し、ICT機器の吸込み空気環境を改善するとともに、省エネを図る気流設計手法です。
なお、「アイルキャッピング」は当社にて商標登録申請中です。
  *6 Interop Tokyo 2008
Interop(インターロップ)は世界5カ国で開催されている、ネットワークコンピューティングに特化したテクノロジーとビジネスのリーディングイベントです。ICTに携わる技術者や企業のリーダー、そしてそのリーダーの示す道標を具現化するICT部門の方々などが集い、出展各社のライブデモンストレーションやエデュケーションを通じて、「技術」と「ビジネス」の双方を検証できる場です。
Interop Tokyo 2008実行委員会の主催により、2008年6月11日(水)~2008年6月13日(金)(展示会)、幕張メッセにて開催されます。
詳細は主催者ホームページ(http://www.interop.jp/)をご覧ください。

【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

【一般のお客様からのお問い合わせ】
コンタクトセンタ TEL:0120-72-73-74
午前9時~午後5時まで(土・日・祝日はのぞきます)
ニュースリリースに記載されている情報は、発表日時点の情報です。
予告なしに変更する場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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