2009年5月12日
データセンター向け空調気流制御製品「アイルキャッピング」に
ロールブラインド応用製品(サイドキャップ工法)を追加
~ラックの高さの違いによらず導入可能なアイルキャッピング サイドキャップ工法~
株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 森 勇、以下、NTTファシリティーズ)は、データセンター向け空調ソリューション「ACORDIS(R)(アコーディス)」*1(2006年日本建築学会賞技術賞受賞)の新ラインナップとして、ロールスクリーンのしくみを応用したアイルキャッピング*2サイドキャップ工法を追加し、2009年6月より設計・施工・販売を開始いたします。
近年、IT装置の高密度化及び高発熱化に伴い、データセンターの消費電力量は今後5年間で倍増すると予想されています。そして消費電力の半分程度を空調システムが占めるため、その省エネルギー化は極めて重要な課題といえます。
アイルキャッピングとは、ラック列間の通路を壁や屋根で区画し、IT装置への給気(低温)とIT装置からの排気(高温)を物理的に分離して効率的な空調環境を実現する気流制御技術で、省エネルギーと高信頼を両立する重要なソリューションです。
データセンターの室形状や大きさ、ラックの配置や高さ、空調方式などは物件ごとに異なります。このためNTTファシリティーズは2008年12月に販売を開始したヘッドキャップ工法に加え、今回販売を開始するサイドキャップ工法により、多様化するお客様のニーズに合わせた最適な気流制御環境を提供いたします。
なお、アイルキャッピング サイドキャップ工法は、株式会社ニチベイ(代表取締役 福岡 勇之輔)と共同で開発したもので、同社にて製造します。
NTTファシリティーズは2003年にアイルキャッピングの基本特許を出願し、2006年には同特許を取得しております。
アイルキャッピング サイドキャップ工法の特長
- (1)ラック高さが不揃いの架列でも支障無し
- データセンターでは高さの異なるIT装置収容ラックが並ぶ場合があります。このような架列に従来製品のアイルキャッピング ヘッドキャップ工法を設置するには、最も高いラックに高さを揃えるために低いラックの上に補助部材を設けて空隙を防ぎました。しかしラック高さの差が大きすぎるとこの方法も困難でした。一方、本製品は各ラック上にロールスクリーンボックスを設置し、ロールスクリーンを天井部に引き上げる構造のため、このようなラック高さが異なる場合でも、ロールスクリーンの引き上げ長さを調整するだけで空隙なしのアイルキャッピングを構築することができます。なお、ロールスクリーン同士はジッパーで接続する方式としています。
- (2)耐震性能を考慮した構造 (特許出願中)
- アイルキャッピングはIT装置収容ラックと物理的に接続されるため、地震が発生すると構成部材またはラックが変形・破損する危険があります。このため、本製品はアイルキャッピング出入口部分のロールスクリーン接合部に制振機能を設けて耐震性を考慮した構造にしました。また、製品化に先立ち、NTTファシリティーズが保有する3次元振動台において耐震試験を行い、阪神大震災クラスの地震時でも良好な空調環境を継続することを確認しております。
アイルキャッピング工法の適用範囲
サイドキャップ工法は架列内のラックの高さが大きく異なる場合、及びラックへの積載荷重を少しでも小さくしたい場合に最適です。なお建物天井部分の施工が必要なため、既存設備への導入は注意が必要です。一方、ヘッドキャップ工法は架列内のラック高さがほぼ揃っている場合に最適で、ラックへの積載荷重は大きくなるものの既存設備への導入が容易です。
サイドキャップ工法の写真
サイドキャップ工法の特長
- 架列内のラック高さが大きく異なる場合でも支障がない
- 全ての気流方式に対応可能(二重床吹出横吸込方式や二重床吹出天井吸込方式など)
- ラック上面にロールスクリーンBOX、天井面にロールスクリーン受け部を取り付けることで設置可能
- 3次元振動台において耐震試験を行い、阪神大震災クラスの地震時でも良好な空調環境を継続することを確認済み
- コールドアイルをキャッピングし、二重床パネル開口設計技術を用いることで空調機からの冷気を制御し、最小限のエネルギーで適正な温度環境が実現可能
各工法の特長と適用範囲
サイドキャップ工法 | ヘッドキャップ工法 | ||
概略図 | |||
特 長 |
省エネ性 | ◎ | ◎ |
停電時温度上昇抑制 | ◎ | ◎ | |
耐震性能 | ◎ | ◎ | |
メンテナンス性 | ◎ | ○ | |
ラック高低差対応 | ◎ | △※1 | |
構築費 | ○ | ◎ | |
適 用 範 囲 |
二重床吹出横吸込 空調方式への対応 |
△※2 | ○ |
二重床吹出天井吸込 空調方式への対応 |
○ | ○ | |
新設設備に導入 | ◎ | ○ | |
既存設備に導入 | △※3 | ◎ | |
ラックへの荷重負荷 | ○ | △ |
※1 | 高低差が大きい場合、別部材の追加で対応 |
※2 | ラックと天井面のクリアランスが大きい場合や建物の梁の影響がある場合は工夫が必要 |
※3 | 天井部分の加工が必要 |
アイルキャッピング 導入メリット
- (1)省エネルギー
- 現在のデータセンターの標準的な空調方式である、二重床吹出横吸込方式と比較して、アイルキャッピング設置により空調風量を必要最小限にできるため、空調機の消費電力を約20%削減*3することができます。 また、アイルキャッピングに加えてNTTファシリティーズ開発製品のFMACS(R)シリーズ(IT装置用床置型空調機)、FTASCLRシリーズ(IT装置用ラック型空調機)でタスクアンビエント空調*4を構築すれば、一般電算用空調機と比較して65%もの省エネルギー*5を実現することが可能です。
- (2)空調停止時の室温上昇抑制
- 近年、データセンター内の発熱密度が大きくなり、停電により空調機が停止した後の室温上昇が急激になり、数分後にはIT装置の運用温度の上限を超過するケースも見られるようになりました。
アイルキャッピングを採用した室内では、空調機が停止してもコールドアイル内が囲まれているため、IT装置の高温排気の急激な回り込みが抑制されます。これにより、高発熱密度のデータセンターであっても室温上昇が緩やかになり、その速度はアイルキャッピングを採用しないケースと比較して半分以下に低下させることができます。(実大規模実験により検証済み)
空調機停止時の温度上昇比較
実大規模実験による実験結果
発熱条件:約7kW/Rack (約4kW/m2)
用語説明
- *1 ACORDIS(R)
- NTTファシリティーズでは、FMACS(R)シリーズ、FTASCL(R)シリーズなどの空調機製品、耐震二重床開口パネル、アイルキャッピングなどの気流設計・制御技術、室内配管無火気工法などの空調システム施工技術、空調監視・保守などによるIT装置用空調総合ソリューション「ACORDIS(R)(アコーディス)」を提供しています。「ACORDIS(R)(アコーディス)」はNTTファシリティーズの登録商標です。
- *2 アイルキャッピング
- 「アイルキャッピング」は商標登録出願中です。
- *3 空調機の消費電力を約20%削減
- NTTファシリティーズ調べ。空調方式を二重床吹出横吸込空調方式とし、二重床開口パネル設計を実施していない場合に適正な温度環境を実現しようとした場合、空調機の風量を大幅に増加させる必要があります。しかし、同じ空調方式でアイルキャッピングを設置し、二重床開口パネル設計を実施した場合はIT装置の排気の回り込みが生じないため、最低限の風量で適正な温度環境を実現することができます。この試算結果は両者において適正な温度環境を実現するために必要な風量を比較した場合、アイルキャッピングを採用することで空調機の送風機動力を約50%削減することができます。送風機動力削減量を消費電力量として算出すると約20%削減となります。
- *4 タスクアンビエント空調
- NTTファシリティーズが提案しているデータセンター向けの空調方式です。室内の発熱負荷をアンビエント(全体)とタスク(局所)に分けて空調することにより、空調システムを高効率化し省エネルギーを実現することができます。一般に、データセンターでは、ブレードサーバなどが設置され発熱負荷の大きいエリアと、そうでないエリアが混在しています。これらを一律に冷却すると発熱負荷の大きいエリアに合わせて空調するため、そうでないエリアは過剰な冷却となり余分なエネルギーを消費します。本方式では、発熱負荷の大きいエリアにタスク空調機を配置し、その他のエリアはアンビエント空調機で処理させるため、消費エネルギーの無駄をなくすことができます。
- *5 一般電算用空調機と比較して65%もの省エネルギー
- NTTファシリティーズ調べ。
- 本件に関するお問い合わせ先
-
- 報道機関からのお問い合わせ
- (株)NTTファシリティーズ 総務人事部 広報室 TEL:03-5444-5112
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- コンタクトセンタ 0120-72-73-74
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