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2010年1月14日

広帯域対応大型3次元振動試験システムの開発導入について
~世界初 あらゆる揺れを再現できる世界最高性能3次元振動台~

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:沖田 章喜、所在地:東京都港区、以下「NTTファシリティーズ」)は、マグニチュード8クラスの巨大地震時における超高層ビル内部の揺れを忠実にシミュレートするため、揺れの振動変位(±110cm)・周期領域(0.01秒~20秒)ともに世界最大となる大型3次元振動試験システム(3軸6自由度振動台)を世界に先駆けて開発しました。本振動試験システムは、2010年3月にNTT武蔵野研究開発センタ内に設置します。

  • 広帯域対応大型3次元振動試験システム概要
広帯域対応大型3次元振動試験システム概要
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1.広帯域対応大型3次元振動試験システムの性能について

(1)背景
  2003年の十勝沖地震(M8.0)では、長周期地震動により苫小牧の石油タンクが大きく揺れ火災が発生し、2004年の新潟中越地震(M6.8)では、東京にある超高層ビルのエレベータが止まりました。マグニチュード8クラスの巨大地震が発生した場合、首都圏を含む大都市圏においては長周期地震動が発生しやすいと言われており、長周期地震動で揺れやすい超高層ビルや免震構造ビルなどでは大きな揺れ(大きな振動変位)により、ビル内に収容されている各種設備・建物構成部材さらには居住者などに対する被害が発生する危険性.2が指摘されています。
(2)特徴
    1. 世界最大の振動変位(±110cm)性能について
  •  NTTファシリティーズでは、超高層ビル等に設置された各種設備・重要機器及び建物構成部材等の長周期地震動に対する耐震対策及び設計技術の開発を推進するため、巨大地震時における超高層ビル内部の揺れを忠実にシミュレート可能な振動試験システムを開発しました。
     特に、マグニチュード8クラスの巨大地震による長周期地震動の振動試験実現のために、再現できる振動変位として世界最大となる±110cmを設定しました。
  • 3次元振動台性能比較図(速度-変位)
3次元振動台性能比較図(速度-変位)
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    2. 周期0.01秒~20秒の揺れを再現できる振動試験性能について
  •  世界で初めて、マグニチュード8クラスの巨大地震時における超高層ビル内部の長周期振動から、機器輸送時に発生する列車や自動車内部の小刻みに揺れる短周期振動まで対応可能な広帯域にわたる振動試験を、一つの大型3次元振動台で高精度にシミュレートできるシステムを開発しました。
     この広帯域にわたる振動試験を実現させるため、新たに電気油圧サーボ方式のデュアルモード・アクチュエータ(加振機)を開発しました。デュアルモード・アクチュエータは、周期範囲0.02秒~20秒の長周期用ロングモードアクチュエータと周期範囲0.01秒~10秒の短周期用ショートモードアクチュエータを同一の加振機に組み込んだ世界で初めての方式であり、モード切り替え機構の採用によりコンパクトでありながらも広帯域にわたる多様な振動試験の実現を可能にするものです。この加振機を有するシステムを活用することにより、長周期地震動への耐震対策や環境・輸送振動への対策までも含めた幅広い領域の振動対策技術に関し、実証による検証試験が可能となります。
  • デュアルモード・アクチュエータ
デュアルモード・アクチュエータ
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  • 試験可能な振動源の例
試験可能な振動源の例
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(3)性能・仕様
 この振動試験システムは、4m×3mの大型振動台上に最大重量7tの試験体を搭載して、最大変位土110cm、最大速度±200cm/s、最大加速度±2.0G、周期範囲0.02秒~20秒/0.01秒~10秒(長周期・短周期モード切替)の3軸6自由度加振が可能であり、マグニチュード8クラスの巨大地震や超高層ビル内で想定される長周期地震動に加え、振動障害の原因となる短周期の環境・輸送振動の両方を、高精度に再現できる世界最高性能を有した広帯域対応システムです。
 NTTファシリティーズは、この振動試験システムを利用して、ICT装置や重要設備等の耐震性能評価をはじめ、長周期地震動に対する制震・免震装置の性能評価・新デバイスの開発、および環境・輸送振動による機器の機能障害に対する除振技術の開発等を行い、様々な設備や建築物等の信頼性と安全性の確保に貢献したいと考えています。
  • 表:振動試験システムの性能・仕様
振動試験システムの性能・仕様
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2.今後の予定

 新しい振動試験システムは、2010年3月に完成の予定です。完成後は、このシステムを利用してNTTグループ及びデータセンター関連企業のICT装置を始めとする各種重要設備等の巨大地震に対する挙動や損傷要因を解明し、先進的な耐震対策技術の研究開発を進めていきます。さらに、機器機能に影響のある短周期領域の振動障害に関する研究開発についても振動試験システムの利用を進め、社会基盤の信頼性向上に幅広く貢献できるよう積極的な研究活動を展開していきます。

<参考>
  • 振動台の水平方向加振性能図(周期に対する無搭載時加振性能図)
振動台の水平方向加振性能図(周期に対する無搭載時加振性能図)
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4代目の振動試験システム
 振動試験システムによる耐震性能評価は、通信サービスに用いられるICT装置等の機器を振動台上にセットし、地震時の揺れを振動台にて再現することにより人工的に地震動を発生させて耐震性能を検証するものであり、高い信頼性が要求されるデータセンタービジネスにとっては極めて有効な評価手段です。NTTファシリティーズでは、電電公社時代の1971年に初代の振動台を導入し、1985年および1998年に加振性能を向上させた新たな振動台に更改し、より大きな巨大地震への対応を図ってきました。特に3代目の振動台は、1995年に発生した阪神・淡路大地震で記録された震度7クラスの地震動を精度よくシミュレートできる性能を有しており、BCPを支える技術として貢献してきました。
 しかし、近年注目されている東海地震・東南海地震のような連動型巨大地震により生じる長周期地震動は、超高層ビル内、特に上層階床に3代目の振動台では再現できない大きな振幅の水平方向の揺れを長時間にわたり発生させる危険性を有していることが指摘されており、超高層ビルに収容される設備に対する耐震性能の評価の重要性が高まっています。
 また、企業間の連携は、次世代ネットワーク(NEXT GENERATION NETWORK 以下NGN)に見られるように本格的なブロードバンド・ユビキタス時代を迎え、より緊密に、高度に、そして複雑になってきています。その結果、通信を支える高機能化・高密度化する機器類へのリスクマネジメントの重要性も向上し続けており、耐震性能ばかりでなく輸送時の振動や他設備等からの環境振動に対しても故障させないための信頼性評価が必要になってきています。
 このような従来とは比較にならないほどリスクマネジメントの重要性が増大している背景から、NTTファシリティーズはBCP(事業継続)を支える企業として、通信インフラをはじめとするICT装置や重要設備等を地震等の自然災害から守ることを目的に、4代目となる世界最高性能の新振動台の開発導入を進めてきました。

【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
   NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

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