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2010年2月1日

建築物の直撃雷被害を大幅減!「3D受雷部設計確認システム」を開発
~日本雷保護システム工業会(JLPA)技術認定第1号を取得~

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長:沖田 章喜)は、建築物の雷保護システム設計を効率的かつ経済的にサポートする「3D受雷部設計確認システム」を開発しました。
 近年、避雷針が設置されているにも関わらず、建築物が直撃雷を受けて外壁の一部が落下するといった雷被害が問題となっています。このため、2005年に建築基準法が改正され、JIS A 4201「建築物等の雷保護」が適用されました。このJIS A 4201「建築物等の雷保護」 は、旧JIS規格(保護角法)*1では不可能であった建築物の側壁への雷撃リスクを評価する回転球体法*2の考え方を取り入れたものです。
 このような背景から、NTTファシリティーズは、回転球体法に基づく設計手法を取り込んだ本システムを開発し、これまでの2次元図面による設計では困難であった、複雑な形状の建築物や屋上に多数の設備が設置されている場合の受雷部設計において、3次元モデルによる高精度な雷保護領域診断を可能としました。
 また、一般社団法人 日本雷保護システム工業会*3(JLPA: Japan Lightning Protection System Industrial Association)より、本システムがJIS規格に準拠した受雷部の設計確認システムであり、広く一般に適用可能な技術であるとして認められ、第1号の技術認定(認定番号:JLPA-AE1021)を取得しました。

1.開発の背景

 2005年に改正された建築基準法で採用された回転球体法は、雷電流値と雷撃距離の関係から論理的に雷保護領域を算定する手法であり、保護レベル*4に応じた大きさの球体を建物表面全体に沿って転がし、球体が接した部分を雷撃点(非保護領域)、接しない部分を保護領域と判定する手法です。しかし、平面図や立面図といった2次元図面では、回転球体法による正確な受雷部設計が困難であるため、建物全体を3次元で解析できるシステムが望まれていました。
 そこでNTTファシリティーズでは、建物全体をJIS A 4201に基づいて保護領域/非保護領域の診断を容易に行うことができる「3D受雷部設計確認システム」を開発し、NTTグループの通信ビルに運用してきました。今回、日本雷保護システム工業会の技術認定を取得したことで、あらゆる建築物の雷保護システム設計に広く利用することが可能となりました。

2.特徴

  1. (1)JIS A 4201に対応したアルゴリズムを搭載
    • 回転球体法、保護角法、メッシュ法*5すべてに対応しており、これらを組み合わせた受雷部設計確認ができます。また各手法のパラメータは、JIS A 4201で規定されている保護レベルから選択、あるいは任意の値を入力することが可能です。
  2. (2)解析結果の3D表示
    • 解析結果について、保護領域/非保護領域を3次元で可視化するとともに、任意の視点から確認することができるため、効率的な受雷部設計が可能です。
■図1:解析結果の3D表示
解析結果の3D表示
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
  1. (3)解析結果の図面出力
    • 解析結果は平面図および立面図で出力され、各図面にはJIS A 4201準拠の合否判定が自動で表示されます。また、指定した角度の平面図および立面図を出力することができるため、建築確認用申請図面が簡単に作成できます。
  2. (4)日本雷保護システム工業会技術認定を取得
    • 「3D受雷部設計確認システム」は、日本雷保護システム工業会の技術認定第1号(認定番号:JLPA-AE1021)を取得し、当システムがJIS A 4201に準拠したアルゴリズムであり、かつ広く一般に適用可能な技術であることが認められました。

3.今後の予定

 平成22年度のサービス提供開始を目指し、操作性向上及びBIM(Building Information Modeling)*6への対応などに取り組んでまいります。 

用語説明

*1 保護角法
受雷部の上端から、その上端を通る鉛直線に対して保護角を見込む稜(りょう)線の内側を保護範囲とする方法(図2参照)。受雷部の上端の高さによる保護角は表1による。
*2 回転球体法
2つ以上の受雷部、又は1つ以上の受雷部と大地とに同時に接するように球体を回転させたときに、球体の包絡面から被保護物側を保護範囲とする方法(図2参照)。球体半径は表1による。
*3 一般社団法人 日本雷保護システム工業会(http://www.jlpa.jp/
雷保護システムに関する技術調査、研究、規格化の提言・制定支援、設計・施工指針策定、啓発活動などを通して、年々増加する雷被害の低減を図り、ICT社会の安全維持、産業の発展への貢献を目的とする。会員企業数およそ60社。
*4 保護レベル
JIS規格の仕様規定から性能規定への移行に伴い、建築物の重要度や雷撃頻度を考慮して選定されるもので、雷保護システムの保護効率を決定する。保護レベルⅠが最も雷保護性能が高い。
*5 メッシュ法
メッシュ導体で覆われた内側を保護範囲とする方法。メッシュ幅は表1による。
*6 BIM
Building Information Modelingの略。コンピュータ上に作成した3次元の建物デジタルモデルに、建物の形状、部材の数量や特性、管理情報などの属性データを追加したモデル化手法の総称。
■図2:保護角法と回転球体法、メッシュ法による保護範囲
保護角法と回転球体法、メッシュ法による保護範囲
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
■表1:保護レベルに応じた受雷部のパラメータ
保護レベルに応じた受雷部のパラメータ
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
   NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

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