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2010年8月4日

外気冷熱を活用して省エネ性を追求するデータセンター用空調機を開発
~一般電算室用空調機比45%の消費エネルギー削減を実現~

 株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 沖田章喜、以下、NTTファシリティーズ)は、株式会社日立アプライアンス(取締役社長 石津尚澄、以下、日立アプライアンス)と共同で、自然エネルギーの外気冷熱を積極的に活用し、世界最高水準の省エネルギー性能を達成するICT装置用空調機「間接外気冷房FMACS-Ⅴ hybrid(エフマックス・ファイブ・ハイブリッド)」を開発しました。
 本空調機の最大の特徴は、外気温度が低い冬期から中間期に圧縮機を停止させ、冷媒ポンプにて冷媒を循環させる外気冷房運転を行うことです。冷媒ポンプの消費電力は、通常の空調機で使用される圧縮機より極めて小さいため、運転効率が大幅に向上します。本空調機により、データセンター空調に関わる年間消費電力量および年間CO2発生量を、一般の電算室用空調機と比較して45%の削減*1を可能とします。

  • 図1 ICT装置用空調機「間接外気冷房FMACS-Ⅴ hybrid(エフマックス・ファイブ・ハイブリッド)」
室内ユニット
写真1 室内ユニット
室外ユニット
写真2 室外ユニット
ポンプユニット
写真3 ポンプユニット

1.開発の背景と狙い

 データセンターでは、収容するブレードサーバやネットワーク機器等から発生する発熱が非常に大きいことから、年間を通じて冷却(冷房)を行う必要があります。そのため、中間期から冬期の低温外気を上手に利用することが、データセンターの消費エネルギーを低減する上で重要となります。
 外気冷熱を利用する外気冷房方式には、外気を直接取り込む直接外気冷房方式*2(エアサイドエコノマイザ)がありますが、これは、塵埃や海塩粒子といった不純物による電気基板の腐食の回避や、外気導入量に応じて増加する湿度調整の必要があるため、運用コストや消費エネルギーが膨大となります。
 また、外壁に設ける空気を取り込むための大きな開口は、建築計画上の大きな制約条件となります。
 これらの理由から、国内における直接外気冷房方式の導入例は、他の空調方式と比較し、少ないのが現状です。
 NTTファシリティーズは、四半世紀の製品化の実績を持つ冷媒自然循環技術*3をさらに発展させ、冷媒ポンプによる冷媒強制循環技術を確立しました。本技術を、圧縮機を搭載する冷凍サイクルと複合させることで、世界最高水準の省エネルギー性と高い信頼性を併せ持つ空調機「間接外気冷房FMACS-Ⅴ hybrid」を開発しました。
 本空調機は冷媒自然循環技術を使った空調機に比べ、飛躍的に性能が向上します。

2.本製品の特徴と導入のメリット

(1)外気冷熱を活用した高い省エネルギー性

 本空調機は、圧縮機と冷媒ポンプを複合した世界初となるデータセンター用空調機です。外気温度が高い夏期から中間期は圧縮機を使用する圧縮サイクル(図1)、外気温度が低い冬期から中間期は冷媒ポンプを使用するポンプサイクル(図2)と、サイクルを切り替える機構を備えています。圧縮機に比べ1/10程度の低い消費電力で冷媒ポンプは駆動し、同程度の冷房能力を発揮します。
 図3に外気温度と空調機の総合COP*4の関係を示します。外気温度が約10℃より高いときは圧縮サイクル、約-5℃より低いときはポンプサイクル、その間は負荷状況に応じてどちらかのサイクルを選択して運転します。ポンプサイクル時は総合COPが非常に高くなります。各地域の消費電力削減効果は、それぞれの気象データより図4のように試算されます。

サイクルを切り替える機構
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
外気温度と空調機の総合COPの関係 地域別の消費電力比較
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。

(2)高い信頼性・可用性

 データセンターのICT装置を冷却する空調システムには高い信頼性、可用性が求められます。本空調機は、これまでNTTファシリティーズが培ってきたFMACS-Ⅴの信頼性技術(表1)を引き継ぎ、さらに能力不足時やポンプ故障時の圧縮サイクルへの自動切替機能を有し、空調機の信頼性を高めています。

  • 表1 FMACS-Ⅴの信頼性技術
FMACS-Ⅴの信頼性技術
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。

3.仕様

本空調機の仕様を表2に示します。

表2 間接外気冷房FMACS-Ⅴ hybridの仕様表
性能 *5 冷房能力(顕熱能力) [kW] 45.0
消費電力(圧縮/ポンプサイクル) [kW] 16.2/5.0
室内ユニット 吹き出し方式 下吹き
寸法(W×D×H) [mm] 1295×900×1950
送風量 [m3/min] 240
運転音 [dB(A)] 60
質量 [kg] 655
室外ユニット 寸法(W×D×H) [mm] 1350×900×1980
運転音 [dB(A)] 56(低騒音運転制御時51/48)
質量 [kg] 340
ポンプユニット 寸法(W×D×H) [mm] 1100×580×550
質量 [kg] 105
共通 冷媒 R410A
電源 AC 3相 200V 50/60Hz

4.今後の展開

 昨今のデータセンターにおける消費電力の増加を受け、消費エネルギーの削減や地球環境保護を重視するデータセンター事業者が増えています。NTTファシリティーズは、この度開発した間接外気冷房FMACS-Ⅴ hybridを通してデータセンターの省エネルギーに貢献します。今後の展開は2010年度に実環境下での評価を行い、2011年度に販売を開始する予定です。

用語説明

*1
札幌の標準気象データによる試算結果を示します。
*2 直接外気冷房方式と間接外気冷房方式

 直接外気冷房方式は、外気温度が室内温度よりも低いときに、直接外気を室内に導入してICT装置を冷却する空調方式です(図5)。一般に、外気に含まれる不純物の除去や湿度調整が必要なため運用コストが増加します。
 一方、間接外気冷房方式は外気の冷熱を空調機の熱交換器を介して取り込む空調方式で、ICT装置を間接的に外気で冷却するシステムと言えます(図6)。室内の空気清浄や湿度調整に関わる運用コストは直接外気冷房方式より少なくなります。

直接外気冷房方式と間接外気冷房方式
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
*3 冷媒自然循環サイクル

 冷媒自然循環サイクルは、圧縮機やポンプを使用せず、蒸発器と凝縮器の温度差により冷媒を循環させる空調システムです(図7)。圧縮機やポンプがないので空調機単体の消費電力は小さくなります。ただし、外気温度が高くなる夏期は温度差がとれなくなるためバックアップ熱源(チラー等)が必要となります。
 また、自然循環のため、冷媒配管の長さや高低差を大きくできない、または室外ユニットを室内ユニットよりも高い位置に設置しなければならない等、機器配置上の大きな制約があります。
 さらに、冷房能力が蒸発器と凝縮器の温度差により決まるため制御性が低く、室温を一定には圧縮を搭載する空調機を併用する必要があります。

冷媒自然循環サイクル
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
*4 総合COP
 総合COP(Coefficient of Performance)は室内ファン等の消費電力を含めた空調機の運転効率です。冷房能力を空調機全体の消費電力で除した値が総合COPとなります。
*5 性能は、以下の条件における値を示します。
圧縮サイクル :室内吸込空気27℃DB/19℃WB、室外吸込空気35℃DB、冷媒配管長5m
ポンプサイクル:室内吸込空気27℃DB/19℃WB、室外吸込空気-5℃DB、冷媒配管長5m
なお、表1の値は平成22年7月現在値、今後変更の可能性があります。
本件に関するお問い合わせ先
報道機関からのお問い合わせ
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
一般のお客様からのお問い合わせ
コンタクトセンタ 0120-72-73-74
午前9時~午後5時まで(土・日・祝日はのぞきます)

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