2012年9月18日
ロスアラモス郡のスマートグリッド実証サイトが始動
~ 米ニューメキシコ州で日米共同実証プロジェクト ~
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
株式会社東芝
京セラ株式会社
アクセンチュア株式会社
伊藤忠商事株式会社
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
株式会社NTTファシリティーズ
株式会社サイバーディフェンス研究所
シャープ株式会社
日本ガイシ株式会社
日本電気株式会社
株式会社日立製作所
NEDOが、米国ニューメキシコ州において同州政府等と共同で取組んでいる日米スマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡の実証サイトが完成、本格的な実証運転に入りました。同州におけるスマートグリッド実証プロジェクトは、NEDOが海外で実施するスマートコミュニティ事業の最初のケースで、アルバカーキ市の実証サイトが既に運転を開始しています。
ロスアラモス郡のサイトは、天候により発電出力が変動するPVを大量に配電線に連系(実証サイト内の電力使用に対し最大約75%のPV発電量)し、電力系統用大型蓄電池制御とデマンドレスポンス(需要家による電力消費の調整)を用いることにより、配電線の電気の流れを制御し、品質を確保するシステムを構築し、実証します。本実証の要素を組み入れたいわゆる需給制御は世界でも最先端なスマートグリッド実証です。
実証運転に先立ち、9月17日14:00(現地時間)に実証サイトで運転開始式を行ないました。
運転開始式には、NEDO古川一夫理事長およびロスアラモス郡でのスマートグリッド実証の委託先リーダー企業である株式会社東芝/佐々木則夫社長、スマートハウス実証の委託先リーダー企業である京セラ株式会社/前田辰巳副社長はじめ本事業に関係する委託先企業、ニューメキシコ州Susana Martinez知事、ロスアラモス国立研究所Charles F. McMillan所長らが出席いたしました。
1. 実証事業の概要
(1)ニューメキシコ州における日米スマートグリッド実証事業
本事業は、NEDOが米ニューメキシコ州政府および米連邦政府エネルギー省(DOE)傘下の国立研究所(ロスアラモスおよびサンディア)などと協力して行うスマートグリッドの共同プロジェクトです。
NEDOは、同州政府が州内5カ所で行うスマートグリッド実証プロジェクトのうち、ロスアラモス郡とアルバカーキ市の2カ所で連携、2009年度から2013年度まで予算額約48億円(ロスアラモスサイト約30億円、アルバカーキサイト約18億円)でスマートグリッド実証を展開。新エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進に向け、日本国内で培ってきた優位な技術(系統用大型蓄電池、エネルギーマネジメントシステム等)を実証し、世界各国で急速に概念整理が進むスマートグリッドの標準化活動へ参画すること、また日本のスマートグリッド関連技術の海外への展開を目的に、日米共同事業として本実証事業を進めています。
本事業は、出力が不安定な再生可能エネルギーが大量に配電系統へ導入された場合の課題を解決するために、(1)蓄電池とデマンドレスポンスを組み合わせた太陽光発電の導入比率が高い配電系統におけるスマートグリッドの実証、(2)デマンドレスポンスを行う都市の構成要素としてのスマートハウスの実証(太陽光発電の予測と電力系統側からのデマンドレスポンス信号を考慮した世界最高水準のシステム)、(3)スマートグリッドの中でデマンドレスポンスを行う構成要素としてのスマートビルの実証(太陽光発電による変動の吸収、また非常時(停電など)に自立運転が可能な、世界でも稀にみる低炭素・高品質電力供給システムを有する高機能ビル)を行います。
これにより、デマンドレスポンス効果の定量的な把握とともに、デマンドレスポンス効果を加味したうえで、太陽光発電の変動吸収に必要となる蓄電池容量を明らかとする等により、同環境における最適なスマートグリッドの構築が可能となります。また、本実証データを活用することによって、他地域へ新たに展開する際に最適なシステムの設計が可能となり、迅速な展開に繋げていくことが期待できます。
(2)ロスアラモス郡における実証内容
本年5月17日にアルバカーキ市の実証サイトが実証運転を開始したのに続き、ロスアラモス郡の実証サイトでは、NEDOから委託された11社※が、スマートグリッド実証とスマートハウス実証を行ないます。
スマートグリッド実証では、設置した1MW規模のPV由来の電力を、3つの配電線の接続を切り替えることによって導入比率を変化できる環境を構築します。本環境を最大限に活用し、地域エネルギーマネジメントシステム(μEMS)により、蓄電池1.8MW、スマートハウスを含む一般需要家へのデマンドレスポンスを用い、PVの出力の変動を吸収しつつ配電線の電力潮流を既存電力システムと協調し最適に制御するシステムを構築し、実証します。
また、スマートハウス実証では、3.4kWのPV、24kWhのリチウムイオン電池、ヒートポンプ給湯器といった蓄エネルギー機器、エアコンやLED照明などのスマート家電を導入し、μEMSから送られてくるデマンドレスポンス信号とPV発電予測量や宅内電力需要予測を考慮しつつ最適制御するホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)を構築し、実証します。
1MWPVシステム
0.8MW鉛蓄電池システム
1.0MWNAS電池システム
スマートハウス
- ※
- ロスアラモス郡における事業に関わる委託先: 11社(両事業に関わる会社を1社としてカウント)
- ◆スマートグリッド・スマートハウス実証に関わる委託先: 7社
- 株式会社東芝(スマートグリッド実証リーダー、μEMS、全体システム構築)、京セラ株式会社(メガソーラー構築、スマートハウス実証リーダー、HEMS)、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(PV発電予測)、シャープ株式会社(HEMS、スマート家電)、日本ガイシ株式会社(NAS電池システム)、日本電気株式会社(高速PLC、需給安定化装置)、株式会社日立製作所(電力系統用鉛蓄電池システム、メガソーラー用大容量PCS)
- ◆実証から得られるデータマネージメントおよびデータを活用した総括研究に関わる委託先: 8社
- アクセンチュア株式会社、伊藤忠商事株式会社、株式会社NTTファシリティーズ、京セラ株式会社、株式会社サイバーディフェンス研究所、株式会社東芝、日本電気株式会社、株式会社日立製作所
NEDOは、これまで再生可能エネルギーの開発や導入に向けた様々な課題解決に取り組んでいること、また、スマートコミュニティの構築が「まちづくり」といった公的機関の役割が期待される分野であること、海外政府機関との協力関係の構築が必要なことから、我が国企業の技術の海外展開をバックアップすべく海外における実証事業を進めるとともに、国が展開する国内4実証事業とも連携して、JSCA※を通じた国際標準化活動などを推進しています。
- ※
- JSCA(ジャパン・スマートコミュニティ・アライアンス)は、スマートコミュニティ構築に向けて業界の垣根を越えて経済界全体としての活動を企画・推進するとともに、行政ニーズの集約、障害や問題の克服等の共通課題に取り組むために平成22年4月に設立した団体。事務局はNEDOが務める。
2. 運転開始式出席者
(1)日本側の主な出席者
NEDO:古川理事長、株式会社東芝:佐々木社長、京セラ株式会社:前田副社長、アクセンチュア株式会社:宮脇公益事業部門統括パートナー、伊藤忠商事株式会社:高坂執行役員、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社:菊地社長、株式会社NTTファシリティーズ:渡辺副社長、株式会社サイバーディフェンス研究所:小林社長、シャープ株式会社:中川所長、日本ガイシ株式会社:大島常務執行役員、日本電気株式会社:國尾執行役員常務、株式会社日立製作所:苅田執行役常務
(2)米国側の主な出席者
ニューメキシコ州:Susana Martinez知事、Ben Ray Lujan下院議員、ロスアラモス郡:Sharon Stover郡理事会長、ロスアラモス国立研究所:Charles F. McMillan所長
- 【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
- NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
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