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2013年1月7日

世界最大級の難燃化した大容量リチウムイオン蓄電池システムを開発

株式会社NTTファシリティーズ
新神戸電機株式会社

株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 筒井清志、東京都港区)と新神戸電機株式会社(取締役社長 伊藤 繁、東京都中央区)は、このたび共同でデータセンタ向けのバックアップタイプ大型UPS用大容量リチウムイオン蓄電池システムを開発しました。これにより、これまで共同で開発した通信ビル向けの長時間(数時間)バックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムとスマートグリッド向けのサイクルタイプリチウムイオン蓄電池システムと合わせ、大容量のリチウムイオン蓄電池のラインアップ化を完了しました。

今回開発したデータセンタ向け大容量リチウムイオン蓄電池システムは、鉛蓄電池に比べ設置面積及び質量を約半分に削減でき、電気室等を省スペース化することで、空きスペースを活用したラック増設やファシリティの信頼性向上が可能です。また、独自の難燃化技術を用いることで高い安全性を実現しました。なお、「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」を活用すれば、鉛蓄電池システムと同等のコストで導入することが可能です。

1. 開発の背景

従来からデータセンタや通信ビルの停電対策用に大容量の鉛蓄電池が使用されてきましたが、システム規模の拡大により蓄電池の設置スペースの増大が課題となり、省スペース化と軽量化の期待と要望が強まりました。また、東日本大震災以降はBCP*1目的でデータセンタの地方分散化とクラウドサービスの拡大、電力不足に伴う停電リスク対策、防災機能強化やピーク電力の削減などを目的としたスマートグリッド分野などにおいても、蓄電池システムの需要が急速に伸びています。しかし、オフィス用や家庭用に適用可能な小容量リチウムイオン蓄電池はすでに製品化されていますが、このような用途に適用した大容量リチウムイオン蓄電池は、その可燃性への危惧等から製品化が遅れていました。

2. 開発の内容

NTTファシリティーズと新神戸電機は2009年にこのような用途への適用を目指した難燃性のリチウムイオン蓄電池を共同で開発、さらに2010年には同蓄電池を搭載した通信ビル向け長時間(数時間)バックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムを共同で開発しました。今回、電極の低抵抗化により、新たに短時間かつ大電流放電可能なリチウムイオン蓄電池の開発に成功し、大型UPS用大容量リチウムイオン蓄電池システムを共同で開発しました。

3. 今回開発したシステムの特徴

  1. セル大容量化とシステムの小型軽量化

    セルの大容量化により、小容量セルを多数組合せたシステムと比較して分割損が低減でき、システムの小型化が可能です。一例として、容量500kW、保持時間10分のUPSに適用する場合、従来の鉛蓄電池を使用したシステムと比較して、設置面積、質量とも約半分に削減することができます。

  2. 連続急速放電

    データセンタでは10分程度の短時間かつ大電流放電が必要であり、本開発品は5C*2連続放電でも安定した放電特性を有しています。

  3. 高安全性

    一般的なリチウムイオン蓄電池に使われる電解液は可燃物ですが、本開発品の電解液は難燃性*3を有しており、万が一の過充電や内部短絡事故の場合でも発火しません。そのため、建物の中に安心して設置することができます。また、各種安全規格*4に適合していますので国内はもとより、海外への輸送も容易です。

  4. 長寿命

    一般的に、リチウムイオン蓄電池は満充電の待機状態では劣化が進みやすいと言われていますが、本開発品は、材料の最適設計を行うことで満充電の待機状態でも、長寿命を達成しました。

  5. 蓄電池マネジメント

    蓄電池マネジメントシステムは、リチウムイオン蓄電池の監視・制御を行います。電圧や温度等の情報を常時モニタリングし、適切に電圧を維持するとともに、異常時には蓄電池を電源から切り離し、監視システムに報知することで安全性を高めています。これにより、バックアップ電源システムの信頼性を大幅に向上することができるとともに、メンテナンス作業を低減できます。

4. 市場展開

本開発により産業向けの3種類の大容量リチウムイオン蓄電池のラインアップが揃い、本格的に展開していきます。

バックアップタイプのリチウムイオン蓄電池システムはNTTグループをはじめ国内外のデータセンタや、バックアップ需要の多い放送局、金融業など高い信頼性と安全性を要求される用途へ順次導入してきます。サイクルタイプのリチウムイオン蓄電池は、避難所や道の駅等の防災機能強化や電力使用ピーク時の電力削減などを目的に導入を進めていきます。

また、開発したリチウムイオン蓄電池はいずれも国の助成制度の対象となります。経済産業省は「定置用リチウムイオン蓄電池導入促進対策事業費補助金」の制度を設けて、リチウムイオン蓄電池の収納函、電力変換装置、設置工事費も含めた設備費総額の1/3を助成しています。この制度を利用すれば、鉛蓄電池を搭載したUPSとほぼ同等の価格で、リチウムイオン蓄電池を搭載したコンパクトなUPSを導入することが可能です。

NTTファシリティーズと新神戸電機は、これらの大容量リチウムイオン蓄電池を利用してお客様の様々なご要望に対するソリューションを提供していきます。

用語説明

*1 BCP
事業継続計画(Business Continuity Plan)の略称。
災害や事故などの予期せぬ事象に見舞われても事業継続を維持するために事前に策定される計画のことを表し、本開発に関連しては停電対策として使用されます。
*2 5C放電
放電レートのこと。
C(Capacity)は蓄電池の定格容量を示し、単位はAhで表します。5Cとはその蓄電池の定格容量の5倍の電流で急速放電できる事を示します。本開発の100Ahのリチウムイオン蓄電池の5C放電電流は500A(100Ah×5)となります。
*3 難燃性
UL94-V0相当の難燃性を有しています。UL94-V0は米Underwriters Laboratories Inc.が定めた、樹脂の難燃性を規定する材料、製品の安全規格で「V0は炎を離した後10秒以内で自己消火性を有する」ことを示します。蓄電池は難燃規格が無いために樹脂の規格を引用して評価しました。
*4各種安全規格
  • JIS C 8715-2
    産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム-第2部:安全性要求事項
  • 国連危険物輸送に関する規制勧告
    危険物による輸送時の事故で人と財物への被害、また環境への悪影響を防止する目的で危険物に応じた輸送上の安全基準を国連が規定した勧告。
データセンタ向けバックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムの例
(500A-10分保持システム)
データセンタ向けバックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムの例(500A-10分保持システム)
通信ビル向け長時間バックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムの例
通信ビル向け長時間バックアップタイプリチウムイオン蓄電池システムの例
サイクルタイプリチウムイオン蓄電池システムの例
サイクルタイプリチウムイオン蓄電池システムの例
表:リチウムイオン蓄電池の特性比較 (当社調べ)
 データセンタ向けバックアップタイプ通信ビル向けバックアップタイプサイクルタイプA社B社C社D社
セル容量 100Ah 210Ah 75Ah 47.5Ah 50Ah 20Ah 1.4Ah
電圧 3.7V 3.7V 3.7V 3.7V 非公開 2.3V 3.7V
最大放電電流 500A
(5C)
210A
(1C)
300A
(4C)
300A
(6C)
非公開 非公開 1.4A
(1C)
フロート期待寿命 7年 10年 規定なし 非公開 非公開 非公開 非公開
サイクル期待寿命 規定なし 規定なし 4000回 非公開 3500回 6000回 2000回
難燃性 難燃性 難燃性 非難燃性 非難燃性 正極材を難燃化 非難燃性 非難燃性
電解液の難燃性
電解液の難燃性
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
   NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp
   新神戸電機(株) CSR環境安全本部 広報チーム 法務・コミュニケーショングループ TEL:03-6811-2360

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