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2013年5月21日

データセンター向け空調ソリューションの学会賞ダブル受賞
~2013年度データセンター向け事業の拡大について~

株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 筒井清志 以下、NTTファシリティーズ)のデータセンター向け空調ソリューション「ACORDIS(アコーディス)」*1の中核であるIT装置用床置き型空調機「FMACS(エフマックス)*2」と、ラック型空調機「FTASCL(エフタスクル)」*3が、それぞれ2012年の「日本機械学会賞(技術)」*4と「日本冷凍空調学会賞・技術賞」*5を受賞しました。これらの受賞は、いずれも高い省エネルギー性が評価されたものです。当社は、データセンターの省エネルギーに関心が高い事業者を中心に、これら空調機の販売・設計・施工を拡大し、2013年度のデータセンター向け空調ソリューション事業の売上を、2012年度比30%増を目指します。

データセンター向け空調ソリューションの営業拡充について

当社は、データセンター向け空調ソリューション事業の売上を、2012年度比30%増とするため、営業戦略を強化します。

  1. データセンター構築・運用ノウハウの活用

    ・当社のデータセンター構築・運用のノウハウを活用し、空調システムの運転効率を評価します。これにより運転効率の低い空調機を明らかにし、効率の高い当社の空調機への更改を提案します。

  2. ラック型空調機FTASCL-RS/Cとアイルキャッピングのセット販売

    ・学会賞の受賞内容でもあるラック型空調機とアイルキャッピング*6のソリューションをセットで提案し、販売を強化します。

  3. 特約店による営業展開

    ・施工会社等と特約店のアライアンスを締結します。

    ・本学会賞受賞情報を積極的に活用し販売を強化します。

上記、営業展開により、今まで以上に多くのお客様へ省エネルギー性の高いデータセンター空調ソリューションをお届けします。

FMACS:日本機械学会賞(技術)受賞

FMACS-Ⅴについて

IT装置のための高品質・高機能な空冷式床置型空調機です。30年以上もの当社独自の技術開発により、一般電算空調機に比べて機能・性能、信頼性・保守性、施工性を大幅に向上させています。イニシャルコストだけでなく、ライフサイクルコスト及び環境性を重視する全てのお客様に満足いただける付加価値の高い製品です。

FMACS-Ⅴシリーズの冷房能力(顕熱)は、63kW(22HP)~9kW(3.2HP)の5パターンがあります。その中で、通常のシリーズの他に省スペース型のslimLおよびslimLL、間接外気冷房型のhybrid Lがあります。また、LLタイプにおける屋外への放熱方式は、高信頼でメンテナンス性に優れた「空冷」と、建物屋上等の設備スペース集約化を可能にする「冷却塔放熱(水冷)」があります。LタイプとMタイプの室内機は、最適な気流方式が選択できるよう、二重床空調方式用の「下吹型」、直吹出空調方式用の「上吹型」があります。以上、全10機種のラインナップにより、お客様の要求に最適なソリューションでお応えします。

表1 FMACS-Vシリーズのラインナップ
タイプ 冷房能力(顕熱) 放熱方式 吹き出し 主な用途・気流方式
slim LL 63kW
(22HP)
空冷 下吹き 都市型大規模DC・二重床空調方式
LL 56kW
(20HP)
空冷 下吹き 大規模DC・二重床空調方式
冷却塔放熱(水冷) 下吹き 大規模DC・二重床空調方式
L 45kW
(16HP)
空冷 下吹き 中規模DC・二重床空調方式
上吹き 電力室・中規模DC・直吹出空調方式
slim L 45kW
(16HP)
空冷 下吹き 都市型DC・二重床空調方式
hybrid L 45kW
(16HP)
空冷 下吹き 都市型DC・二重床空調方式
M 20kW
(7.5HP)
空冷 下吹き サーバルーム・二重床空調方式
上吹き サーバルーム・直吹出空調方式
S 9kW
(3.3HP)
空冷 上吹き 小規模サーバルーム・直吹出空調方式
※冷房能力はJIS基準による定格顕熱能力。HPは馬力(1HP=約2.8kW)。

間接外気冷房型FMACS-Ⅴhybrid(L)

FMACS-Ⅴhybrid(L)は、FMACS-Ⅴシリーズの中でも更に省エネルギー性を追求し、低温の外気を積極的に活用する空調機です。

データセンターでの空調は、24時間365日行われているため、冬期等の低温の外気を上手に使うことが、年間の消費電力量低減のためには重要です。低温の外気を使う方式としては、直接外気冷房方式と間接外気冷房方式に大別されます。直接外気冷房方式(図1)は、外気の塵埃や海塩粒子といった不純物による電気基板の腐食の恐れや外気導入量に応じて湿度調整が必要となる場合があります。また、外気取入用の開口が建物外壁部に必要になり、既存建物への導入には、制約がでてしまいます。一方で、間接外気冷房方式(図2)は、外気を直接室内に取り入れずに低温の外気を利用する方式のため、電気基板の腐食等のリスクは外気冷房を行わない方式と同等になります。また、外気取入用の開口も不要です。さらに、室内から室外までの熱の搬送は、空気ダクトに比べ非常に細い冷媒配管によるため、スペースに制約がある既存建物への導入が容易です。

FMACS-Ⅴhybrid(L)は、既存建物への導入が比較的容易な間接外気冷房方式を併用しています。間接外気冷房方式とは、圧縮機に比べ1/8程度の消費電力で駆動する冷媒ポンプにより、冷媒を循環させる方式です。外気温度が低い冬期から中間期は冷媒ポンプを使用するポンプサイクル(図3)、外気温度が高い夏期から中間期は圧縮機を使用する圧縮サイクル(図4)と、サイクルを自動で切り替えながら運転を行います。ポンプサイクルを併用することで、低外気温度時に圧縮機を運転することなく、消費電力の小さいポンプで冷房を行うことができ、消費電力の低減を実現できます。

図1 直接外気冷房方式
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
図2 間接外気冷房方式
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運転効率:
建物形状・気象条件によっては省電力となる
初期投資:
バックアップ熱源が不要であれば安価
室内空気質:
外気由来の腐食性物質等への対策が必要
設計自由度:
大風量に対応する外壁給気口、風路確保のため、平面・立面計画に制約が大きい
運転効率:
安定した効率運用を実現
初期投資:
ICT装置の導入に合わせた最適投資が可能
室内空気質:
外気量が少ないので空気質のコントロールが容易
設計自由度:
建物計画の自由度は高い
図1 直接外気冷房方式 図2 間接外気冷房方式
図3 冬期~中間期の状態(ポンプサイクル)
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
図3 冬期~中間期の状態(ポンプサイクル)
図4 夏期~中間期の状態(圧縮サイクル)
※図をクリックすると、拡大表示でご覧になれます。
図4 夏期~中間期の状態(圧縮サイクル)
写真1 室内ユニット
写真1 室内ユニット
(W1295×D900×H1950[mm])
写真2 室外ユニット
写真2 室外ユニット
(W1350×D900×H1980[mm])
写真3 ポンプユニット
写真3 ポンプユニット
(W1100×D580×H550[mm])
表2 FMACS-Ⅴ hybrid(L)の仕様表
冷房能力(顕熱能力) [kW] 45.0※(1),(2)
消費電力(圧縮/ポンプサイクル) [kW] 16.2※(1)/5.0※(2)
室内ユニット 吹き出し方式 下吹き
寸法(W×D×H)[mm] 1295×900×1950
送風量[m3/min] 240
質量[kg] 655
室外ユニット 寸法(W×D×H)[mm] 1350×900×1980
運転音[dB(A)] 56(低騒音運転制御時51もしくは48を選択可能)
質量[kg] 340
ポンプユニット 寸法(W×D×H)[mm] 1100×580×550
質量[kg] 105
冷媒 R410A
電源 AC 3相 200V 50/60Hz
※(1)室内ユニット吸込空気:27℃DB/19℃WB,室外ユニット吸込み空気35℃DB,配管長7.5m
※(2)室内ユニット吸込空気:27℃DB/19℃WB,室外ユニット吸込み空気-5℃DB,配管長7.5m

FMACS-Ⅴの受賞内容

FMACS-Ⅴシリーズの間接外気冷房型hybridが一般社団法人日本機械学会の日本機械学会賞(技術)を受賞しました。

  1. 受賞名

    「日本機械学会賞(技術)」

  2. 受賞対象となった技術名

    「50%の省エネルギを実現した革新的な情報通信用空調機器の開発」

  3. 受賞者

    株式会社NTTファシリティーズ、日立アプライアンス株式会社、早稲田大学(本空調機は、早稲田大学との共同研究成果を活用し、日立アプライアンスと共同で開発を行いました。)

  4. 受賞内容

    本空調機は、圧縮サイクルの改善に加え,外気冷熱を有効利用するポンプサイクルを併用したこれまでにない先進的な技術を取り入れています。ポンプサイクルとは、圧縮機の代わりに、圧縮機より消費エネルギーが小さい冷媒ポンプにて冷媒を循環させる熱搬送技術です。外気温度が低い冬期等に、圧縮機を停止し、消費電力の小さいポンプで運転することで、大幅な省エネルギーを実現します。これまで困難であったポンプによる空調機の冷媒循環を、ポンプの機構や制御を新規開発することで製品化に成功しました。本空調機により、データセンター空調に関わる年間消費電力量および年間CO2発生量を、一般の電算室用空調機と比較して、最大54%削減*7することができます。

  5. 受賞理由

    日本機械学会賞の特徴は、工学的・工業的に高いレベルを達成していることと同時に、産業や社会に対する寄与あるいはその可能性を重んじている点にあります。本技術は、審査の結果、極めて高いレベルに達していると認定されたことで受賞に至りました。(日本機械学会誌(P285、vol.116 No.1134、2013.5)より一部抜粋)

FTASCL:日本冷凍空調学会賞・技術賞受賞

FTASCL-RS/Cについて

一般にデータセンターで使用されているIT装置用19インチラックと同形状のラック型空調機です。データセンターやサーバルームの高発熱部分に設置するタスク・アンビエント空調方式、IT装置と組合わせて設置するモジュール空調方式により、高密度化するIT装置の発熱に対する極めて効果的な冷却を実現します。さらにアイルキャッピングの併用により、二重床を利用しない高効率な空調方式も実現可能です。

写真4 室内ユニット
写真4 室内ユニット
(W600×D1017×H2000[mm])
写真5 室外ユニット
写真5 室外ユニット
(W1350×D900×H1940[mm])
表3 FTASCL-RS/Cの仕様表
冷房能力(顕熱能力) [kW] 34(標準条件※(1)),28(JIS 条件※(2))
消費電力(圧縮) [kW] 7.9(標準条件※(1))
室内ユニット 吹き出し方式 背面吸込み/前面吹出し
寸法(W×D×H)[mm] 600×1017×2000
送風量[m3/min] 125
質量[kg] 445
室外ユニット 寸法(W×D×H)[mm] 1350×900×1940
運転音[dB(A)] 55(低騒音運転制御時53)
質量[kg] 285
冷媒 R410A
電源 AC 3相 200V 50/60Hz
※(1)標準条件:室内機吸込空気35.0℃DB/19.9℃WB,室外機吸込空気35.0℃DB,配管長5m
※(2)JIS条件:室内機吸込空気27.0℃DB/19.0℃WB,室外機吸込空気35.0℃DB,配管長5m

FTASCL-RS/Cの受賞内容

ラック型空調機FTASCL-RS/Cが公益社団法人日本冷凍空調学会の日本冷凍空調学会賞・技術賞を受賞しました。

  1. 受賞名

    「日本冷凍空調学会賞・技術賞」

  2. 受賞対象となった技術名

    「データセンター用ラック型空調システム」

  3. 受賞者

    株式会社NTTファシリティーズ、日立アプライアンス株式会社
    (本空調機は、日立アプライアンスと共同で開発を行いました。)

  4. 受賞内容

    ラック型空調機FTASCL-RS/Cは、IT機器を搭載するラックと同形状の空調機です。ラック列内に設置可能な構造により、送風距離を短縮し、従来の二重床空調より送風動力を大幅に削減できます。また、年間冷房・高顕熱性能といったデータセンター空調に最適化した制御技術も搭載しており、大幅な省エネルギーを実現します。
    さらに、ラック型空調機FTASCL-RS/Cの高効率構造・制御とアイルキャッピング併用の気流適正化を行うことにより、空調消費電力を58%削減することができます。

  5. 受賞理由

    優れた省エネルギー性に加え、信頼性・安全性・サービス性向上の技術についても、重要な社会インフラを支えるファシリティー技術として意義が大きいものと評価されました。

今後の展開

NTTファシリティーズでは、FMACSシリーズ、FTASCLシリーズなどの空調機製品、気流設計技術、空調システム施工技術、空調監視・保守などを総合したデータセンター向け空調ソリューション「ACORDIS(アコーディス)」(2006年日本建築学会賞技術賞受賞)をお客様に提供しています。今回の受賞は、高い省エネルギーが評価されたものです。イニシャルコストだけではなく、ライフサイクルコスト及び環境性を重視する全てのお客様に満足いただけるよう、今後も高品質な空調システムを提供し続けます。2013年度は、データセンターの省エネルギーに関心が高い事業者を中心に、これら空調機の販売・設計・施工を拡大し、データセンター向け事業の売上を、2012年度比30%増を目指します。

用語説明

*1
ACORDIS
「ACORDIS(アコーディス)」はNTTファシリティーズの登録商標です。2006年日本建築学会賞技術賞受賞。
*2
FMACS
「FMACS(エフマックス)」はNTTファシリティーズの登録商標です。
*3
FTASCL
「FTASCL(エフタスクル)」はNTTファシリティーズの登録商標です。
*4
日本機械学会賞
「日本機械学会賞」は、日本機会学会創立60周年(1957年)記念事業の一つとして「日本の機械工学・工業の発展を奨励する」ことを目的として1958(昭和33)年に設けられ,毎年一回表彰されており「日本機械学会賞(論文)」,「同(技術)」,「同(技術功績)」,「日本機械学会奨励賞(研究)」,「同(技術)」,「日本機械学会教育賞」があります。
当社が受賞した「日本機械学会賞(技術)」は、機械工業に対し、数年以内に完成した新技術、新製品等の中で、工学的・工業的に高いレベルを達成していることと同時に、産業や社会に対する寄与あるいはその可能性があるものに対して送られる賞です。2012年度は8件の受賞がありました。なお授賞式は、明治記念館で4月19日に行われました。
(参考:日本機械学会ホームページ(http://www.jsme.or.jp/news/News2013031.pdf)日本機械学会誌(P285、vol.116 No.1134、2013.5)
*5
日本冷凍空調学会賞
「日本冷凍空調学会賞」は、(社)日本冷凍空調学会が冷凍・空調技術とそれに関連する学術技術の発展と普及に貢献した団体及び個人に対して、毎年一回表彰するもので、「技術賞」、「学術賞」、「優秀講演賞」、「会長賞」の4つの賞があります。その中で、当社が受賞した「技術賞」は、その年の冷凍・空調分野における機器や設備、及び低温の食品・生物分野における製品・製造装置・製造技術を対象に、特に技術的に優れたものに対して贈られる賞です。
1980年(昭和55年)より表彰が開始され、今年は第40回目の表彰で、受賞式は、東京ガーデンパレスで5月14日に行われました。
(参考:日本冷凍空調学会ホームページ(http://www.jsrae.or.jp/info/uda.pdf
*6
アイルキャッピング
アイルキャッピングとは、ラック列間の通路を壁や屋根で区画し、IT装置への給気(低温)とIT装置からの排気(高温)を物理的に分離して効率的な空調環境を実現する気流制御技術です。コールド・アイルキャッピングを用いれば空調システムの効率とIT装置への給気環境の信頼性を一段と向上することができます。「AISLE CAPPING(アイルキャッピング)」はNTTファシリティーズの登録商標です。
*7
札幌の気象データに基づく試算
【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp

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