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1.開発のねらい |
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弊社では、NTTが保有するファシリティ(土地・建物及び電力設備等)の管理・運営業務をとおして「通信の信頼性向上と資産利活用、コストミニマム化」を大きな目的としたファシリティマネジメント(FM)業務を実施しています。
そのFM業務にあって最も重要なメニューとして、中長期や次年度の事業計画や施設整備計画の提案・支援を行う総合管理業務があり、様々な蓄積データを元に実施しています。その内、不動産に限ってもNTTの保有する土地の総面積は概ね4,000万平方mであり、また建物は3万棟、総面積2,000万平方mの規模に達しています。総合管理業務ではこのような大量なファシリティに関連するデータから必要なデータを抽出し、分析を行い、短期間に成果物を作成することが重要となります。
このようなことから弊社では、ファシリティ管理の基礎となる建築図面のCAD化を手始めにデータベース化を図り、さらに土地・建物合わせて5万件の固定資産管理情報のディジタル化を完了しています。
これらのデータベースを活用して各種不動産管理業務の効率化と即応化、業務の平準化、及び柔軟で積極的な提案等サービスの向上を図ることを目的にWindows95、同NT対応の「不動産総合管理システム」を開発しました。また、このことにより従来のMS-DOS環境下では比較的難しかったマルチメディアやネットワークの利用が容易に実現することになりました。 |
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2.
システムの特徴 |
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システムは、建築図面データ(CAD図)と固定資産管理やスペース管理のデータを関係づけて一元管理する「不動産データ管理システム」と、これらのデータベースを多角的に利用して建物賃貸借管理やビル清掃管理等の不動産管理業務を効率的に実施する「不動産管理OAシステム」から構成されています。 |
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「不動産データ管理システム」では、建築図面データ(CAD図)上に、固定資産管理データやスペース管理データを結合(データリンク)したシンボル図形(記号、文字等)を重ねてCRT表示します。更に固定資産管理データやスペース管理データを表形式でマルチウィンドウに表示します。これにより図面または表のどちらからでもデータベースの参照・検索が実行できます。 |
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また、全国に保有するNTTの膨大な不動産データベースの管理を迅速に実施するために、CAD化した日本地図や県域地図上のシンボル図に建築図面データを結合させて、地図上から対象敷地・建物を個別検索したり、範囲を指定して一括参照する等の工夫を行っています。 |
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システムをWindows95、同NTに対応させたことにより、操作性やプレゼンテーション機能が大幅に向上した他、敷地・建物の現況写真・ビデオ等のマルチメディア情報とCAD図とを結合して扱うマルチメディア化を実現しています。 |
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3.
システムの機能 |
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固定資産管理機能
土地・建物の管理責任者・所在地・面積・用途・貸付状況等の固定資産管理データを一般的な数字・文字の表形式で管理するほか、並行してこの固定資産管理データを結合(データリンク)したシンボル図形をCAD化した配置図や広告図(地図)に記入してデータの管理を行います。この図形シンボルを個別にあるいは領域で一括指定することにより、対象の土地・建物の所在を識別することができます。このようにCADとデータベースを一体化した検索・編集・集計機能を用いて、固定資産管理を確実にかつ能率よく実行します。 |
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スペース管理機能
建築図面データ(CAD図)の配置図、平面図の上で部屋単位に領域を設定し、利用者・清掃区分・税区分等のデータを属性として入力します。スペース管理では、「ビル清掃管理」、「地価税用面積管理」、「事業所税用面積管理」、「建物賃貸借管理」に必要なデータを管理しています。 |
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不動産管理OA機能
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「ビル清掃管理」や「防災設備保守管理」の仕様書の作成やコストの算出をスペース管理データと連動して行います。結果を年度事業計画に反映させるだけでなく、逆に予算に見合うコストに仕様変更するシミュレーション機能も備えています。 |
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「建物賃貸借管理」では、複数のNTT事業部が共用している土地・建物について、スペース管理データと連動して、NTT社内の事業部間の賃貸借取引額の計算、調書等の作成を実行します。この賃貸借社内取引の結果は通信事業等の原価に反映します。 |
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「地価税及び事業所税用面積管理」では、スペース管理データや固定資産管理データを用いて土地・建物を事業用途別に自動分類し、課税対象区分に応じて詳細な地価税及び事業所税算出用面積の計算を行います。 |
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4.
今後の予定 |
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CAFMシステムの課題として、「異なる業務機能ソフトウェア間でのデータ共用」の実現が重要です。CAD化した建築図面や固定資産情報などのデータベースは不動産管理のための基本的な情報ですが、設備投資計画のためのグランドデザインや財務会計の経営管理情報として、あるいは模様替え等発注図書や地震災害時の緊急確認情報として、部門を超えて広く情報通信によるEDI(電子データ交換)が要求されつつあります。
このようなことから今後は、さらにデータベースの多角的な利用のために、本社・支店間等のイントラネット(社内通信ネットワーク)やインターネットを導入したNTTや取引会社を含めた利用形態の構成を検討していく予定です。 |