2015年3月24日
国内初、「超高層分譲マンション」への天文台構築について
~地上約150mに天体観測施設を構築し天文イベントも提供~
株式会社NTTファシリティーズ(代表取締役社長 筒井 清志、東京都港区、以下NTTファシリティーズ)は、三井不動産レジデンシャル株式会社など大手総合ディベロッパー6社が結集し、東京都江東区豊洲六丁目に建設した地上44階建て超高層分譲マンション「東京ワンダフルプロジェクト SKYZ TOWER&GARDEN」の屋上階に天文台を構築しました。
1.概要
国内において、マンション屋上階への天文台の設置は、低層階~中層階規模のリゾート型マンションにおいて数件散見されるものの、高層・超高層マンションへの設置例はありませんでした。
NTTファシリティーズでは、このたび国内初となる超高層階(地上約150m)への天文台構築にあたり、建物の微小な揺れや観望者からの振動を最小限に抑えるため、天体望遠鏡の基礎部分への防振対策や、上空を吹く強い風が天体機器に影響してしまうことの対処対策、夜空の星が見難くなる光害*1の著しい湾岸エリアでの使用を考慮した天体機器の選定と、簡単な操作による大型天体望遠鏡の取り扱いが可能となる最新の天文台総合制御システムと併せ、2015年1月に納入・設置しました。
今後は将来、宇宙飛行士や宇宙・天文分野で活躍する子どもたちの育つマンションを目指し、入居者向けに各種天文イベント(天体観望会や星空投影、講演会や工作教室、天体写真撮影会など)を、2015年7月より3カ年計画で開催する予定です。
有明方向から見た「SKYZ」
「SKYZ」
2.主な特徴
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(1)コンパクトに3分割できるフォーク式赤道儀本体
通常、大型の天体望遠鏡は、クレーン車を利用して天体ドーム内へ吊降ろして設置しますが、今回の超高層マンション屋上階への設置に際しては、3分割タイプの可搬型フォーク式赤道儀*2を特注し、入居者も使用する普通のエレベーターを利用した荷揚げを実現させました。「フォーク式赤道儀」と同架された天体望遠鏡 -
(2)簡単操作で初心者にも簡単に扱える大型天体望遠鏡
従来の大型天体望遠鏡の取扱操作には、専門用語の理解や取扱経験などが必要とされ、誰もが簡単に扱えるものではありませんでした。しかし、本天文台では天体観測する際の時刻から、観測に最適と思われる天体を自動的に選び出して一覧表示させる機能を備えました。これにより表示された一覧の中から任意の天体を選択するだけで、自動的に選択した天体を視野内まで導入させることができるほか、導入後は天体の日周運動に合わせて天体を自動追尾します。
そのため、利用者は、天体の名前やその場所が分からなくても観察したい天体を画面上で選択するだけで、利用可能です。「おすすめ天体」のメニュー表示例
3.今後の取組について
宇宙・天文好きのヒトを育てる天文イベントの開催
各種天文イベントを通じて入居者への宇宙・天文に関する啓蒙のほか、入居者自身が天文台の取扱操作ができるようになり、やがて自らが天文イベントを企画・実施してゆくことができる人材の養成、そして子どもたちが宇宙・天文分野や、サイエンス全般に関心を持つきっかけとなるよう、各種天文イベントを3ヵ年計画で開催します。
- ①天体観望会:
- 季節毎の星空に合わせた観望会を実施します。
- ②星空投影:
- 豊洲で観ることのできる星空を投映し、その解説を行います。
- ③講演会:
- 様々な天文現象や最新トピックなどを講演します。
- ④工作教室:
- 手作り望遠鏡等、子どもたちがサイエンスに触れる機会をつくります。
- ⑤天体写真撮影会:
- デジタルカメラと各種フィルターを駆使して、天体を撮影します。
用語説明
- *1 光害
- 環境省「光害対策ガイドライン」によれば(「良好な「照明環境」の形成が漏れ光によって阻害されている状況又はそれによる悪影響を「光(ひかり)害」と定義する。」)とあり、自動車のライトや街灯、スポーツ施設の照明や商業施設等からの人工光が夜空を明るくし、天体観測を阻害する要因となっています。
- *2 フォーク式赤道儀
- 天体の日周運動(地球の自転により、星が北極星を中心に回るように見える見かけの運動)に合わせて、天体自動追尾する赤道儀にはドイツ式赤道儀とフォーク式赤道儀などがあります。
ドイツ式赤道儀は天体が子午線(天文学における子午線とは、天の北極から天頂を通過して真南へ延びる線)を通過後は追尾してゆくことができません。それに対してフォーク式赤道儀は子午線通過後も継続して追尾してゆくことができます。
参考
納入した天体望遠鏡でテスト撮影した「木星」と「オリオン大星雲(M42)」です。
「木星」
「オリオン大星雲(M42)」
- 【本件に関する報道機関からのお問合せ先】
- NTTファシリティーズ 経営企画部広報室 MAIL:pr@ntt-f.co.jp