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NTTファシリティーズは、地球環境に優しく、利用者にも快適なスマートビルディングの構築に取り組んでいます。建築、エネルギー、オフィス環境など、 NTTファシリティーズが培ってきた多角的な技術を最大限に盛り込んでつくられたのが、 2014年7月にオープンした NTTファシリティーズイノベーションセンター(以下、イノベーションセンター)です。環境にも人にも優しい研究開発拠点は、どのように生まれ、どんな成果につながっているのか。 2名の社員が仕事に込めた想いを交えてご紹介します。
※インタビュー当時の部署
イノベーションセンターの設計にあたり、研究開発部からの要望の取りまとめを行う。現在は研究企画部門長として研究開発のマネジメントに取り組む。
プロジェクトチーフとして、イノベーションセンターの建築設計から現場監理までの業務を担当する。
EPISODE 01
イノベーションセンター(NTTファシリティーズ新大橋ビル)の設計が始まったのは2012年5月。それまで複数の拠点に分散していた研究開発部門を1カ所にまとめ、スマートビルディング事業で培ってきた技術を結集することで、イノベーションへ向けた取り組みを加速させることが大きな目的でした。建築設計を担当した松浦裕己は、イノベーションセンターの設計に大きなやりがいを感じていたといいます。
研究開発者に最適な環境を実現することはもちろん、会社設立20周年の記念事業という意味合いもあり、会社のプレゼンスを高めるような訴求性のある建築が求められていました。NTTファシリティーズという会社を背負う、これまでにない責任とやりがいを感じました。
(エンジニアリング&コンストラクション事業本部 プロジェクト設計部 松浦裕己)
本格的な設計を開始する前に、社内では設計アイデアの公募が行われました。松浦が考案したのが、イノベーションを創出するドミノシステム。各階の形状をあえて不均質にし、階段を縦横無尽に巡らせることで、偶発的なコミュニケーションを多発させるというアイデアです。この他にも寄せられた20以上のアイデアを参考にしつつ、施設を利用する研究開発部門の社員ともディスカッションを重ね、「自社技術の結集による高い省エネ性能」「実証実験施設としての高いフレキシビリティ」「快適性と知的生産性の両立」というコンセプトが生み出されました。11カ月にわたる設計を通じて、松浦は思い込みにとらわれない発想の大切さを学んだといいます。
北側が採光を確保しやすい敷地条件でしたので、当初はセオリー通りに北側にメインのワークスペース、南側に階段、エレベーター、トイレなどのコアを配置していましたが、どうも目指すコンセプトと空間構成が合っていない。違和感を覚えながら設計を進める中、ある先輩からのアドバイスをきっかけに、ワークスペースとコアを完全に反転させる現在の平面計画にたどり着きました。セオリーの逆をいく、このアイデアによりコンセプトと空間構成が完全に合致し、絡まった糸がほぐれるように一気に設計が進んでいきました。
EPISODE 02
「快適性と知的生産性の両立」を実現するため、イノベーションセンターには多くの工夫が凝らされています。ワークスペースには天井材を貼らず、鋼材を格子状に組み合わせた「ラボフレーム」を設置。通常は二重床下に設置する通信線・電源線をフレームの中に走らせることで、床を上げる必要がなくなり、天井の高い開放感のあるスペースを実現しました。また天井のフレームに繊維素材でつくられた膜放射パネルを市松状に設置し、膜から穏やかな気流がにじみ出る空調をつくることで、風が当たらない、「洞窟の中にいるような涼しさ」を実現しました。
施設内には、吹き抜け階段と一体化したコミュニケーションスペースや、隅田川に面するリバーテラス、緑化ガーデンテラスなども設置。社員がコミュニケーションを取りながら、自分に合ったスタイルで働ける環境を実現しています。建物の外部に設置したセンサーが「ちょうど良い気候」を感知すると、窓に近い社員のスマホにお知らせメールが届き、窓を開けて隅田川からの風を通すように促すシステムも導入されています。
使い勝手が良いですし、何よりも開放感があります。ちょっとした話し合いのスペースも多く、壁もホワイトボードになっているので、コミュニケーションが非常に取りやすいですね。テラスや屋上のスペースも人気です。
(研究開発部 研究企画部門長 横山健児)
こうした工夫が功を奏し、社員の生産性は大きく向上。特許出願件数が2.6倍、他部門とのミーティング時間が1.9倍に増加するなど、その成果はデータにも現れています。
EPISODE 03
社員が快適に働けるだけでなく、環境負荷を軽減するアイデアも多く用いられています。屋上に設置した太陽光発電パネルと地下室に設置した大容量の難燃性リチウムイオン電池で、複合型再生可能エネルギーシステムを構築。電力使用量を分析して自動制御するBEMS(Building Energy Management System)と連携し、建物全体の電力需要に応じたピークカット、ピークシフトを行っています。 未利用エネルギーを活用する工夫も凝らされています。隅田川に隣接した立地を活かし、川に向けて大きく開放できる換気窓を設置。外気を室内環境に合わせて取り込むことで、オフィスの快適性を保ちます。また地下水位が高い敷地を活かし、建物の基礎杭に採熱管を挿入。杭の中へ水を通すことで得られる冷水を、空調の熱源の一部に利用しています。さらにサーバールームの排熱も、オフィスの暖房に活用しています。
技術と空間が一体性を持ち、自然を感じながら過ごせる快適さと、先端技術を活用した地球環境への配慮を両立する施設を目指しました。
こうした工夫の積み重ねにより、平均的なオフィスビルと比べ、電力消費量を60%削減することに成功。社外からの評価も高く、日経ニューオフィス推進賞(ニューオフィス推進協会)、サステナブル建築賞(建築環境・省エネルギー機構)、優秀ファシリティマネジメント賞(日本ファシリティマネジメント協会)などを受賞しました。
日経ニューオフィス推進賞は、働きやすいイノベーティブなオフィスを評価する賞。一方、サステナブル建築賞は、省エネなどの環境面に優れた建築を評価する賞です。どちらか一方ではなく、こだわっていた両方のポイントで受賞できたことがうれしかったです。
EPISODE 04
2014年7月、イノベーションセンターの利用が本格的に始まりました。研究施設としての最大の特長は、開発した技術をその場で検証できる「実証実験型オフィス」であるということ。新しい技術やサービスを実験的に導入することで、社員がユーザーとなって効果を検証し、フィードバックすることができます。
研究開発部門の最大の役割は、当社が持っている技術の実用化。新しいサービスの実用化に適したオフィスはどんなものかを考える中で、技術をその場で検証できる『実証実験型オフィス』というコンセプトが生まれました。施設の各所にセンサーや計測器を設置し、さまざまなデータを取得できるようになっています。
このイノベーションセンターで実用化に取り組んでいるのが、AIやIoTなどの最先端ソリューションを活用したサービスです。代表的な例が、BIS(Building Information management System/建物情報連携システム)の改良。建物に設置される照明や空調などを連携させるシステムに、AIの分析技術を活用することで、「なんとなく寒い」「空気が良くない」などの曖昧な感覚にも応えられるサービスの構築に取り組んでいます。災害対策の分野では、超高層建物向け「アクティブ制振システム」の開発を行っています。従来の地震対策に用いられてきた「パッシブ制振」とは異なり、AIがダンパーの制御方法を学習して減衰力を調整することで、建物の揺れそのものを抑制。実証試験による検証では、建物の揺れを従来の半分程度に抑えることができました。
当社の研究開発部門は、いくつかの装置やサービスを組み合わせ、最適化し、システム化することを得意としています。メーカーのように製品単位で考えるのではなく、ビルやコミュニティなどの大きな単位で、課題解決に取り組めるのが魅力です。
EPISODE 05
NTTファシリティーズの研究開発部門には、NTTグループとしての高い品質が求められます。守らなければならない責任を果たしたうえで、研究企画部門長の横山はさらなる技術革新に意欲を見せます。
まずは現在開発している、IoT、AI、3次元技術を活用したソリューションの実用化が目標です。さらに太陽光・風力発電に代わる次世代再生可能エネルギー、ビル内業務のロボティクス化、設備の故障予知・自動修理などの次世代の技術開発も進めていきたいです。前例のない、ワクワクするような研究にも積極的に取り組んでいきたいですね。見た人が『面白い!』と感じるような成果をもっと上げたい。それが社員一人ひとりのやりがいにもつながると考えています。
建築設計を担当した松浦も自身の成長と社会への貢献に意欲を燃やしています。
一つひとつのプロジェクトを確実に進めていく中で、プロジェクトマネージャー・設計者として成長し続けたいと思っています。イノベーションセンターを設計する際にも、建物を利用される方々にとって豊かで過ごしやすい施設にするだけではなく、周辺の環境に対してもポジティブな影響を与えられる建築を提案できたら素晴らしいなと思っていました。そのためには、単に建築設計に関する技術だけではなく、社会・環境・都市など、あらゆる分野に興味を持って学び続けることが重要だと考えています。