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データセンター進化のカギは冷却方法の変革にあり

2018年4月25日

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 デジタルトランスフォーメーション時代の到来を前に、データセンターにおける冷却方法は進化を求められるようになっています。データセンターが、高発熱化や大規模化を遂げる中で、より効率的な冷却方法が模索されているのです。

 今回は、進化を遂げるデータセンターの冷却方法について紹介します。

データセンターの発熱量を飛躍的に増やした正体

 従来のデータセンターは、サーバールーム全体を冷却しようとする方法が主流でした。

 前回の記事でも紹介したとおり、サーバールーム内の温度は均一ではありません。その中で、全体冷却を行おうとすると、必然的に室内の温度の高い場所を基準にするため、室内が必要以上に冷えてしまう過冷却の状態になりがちでした。

 こうした非効率な冷却方法は、データセンター内の発熱量がそれほど高くない場合には、あまり問題視されていませんでした。

 それが、サーバーの高性能化や、小型化にともなう高集積化によって状況が変わります。高性能なサーバーが非常に密度の高い状態で設置されるようになり、データセンターの発熱量は飛躍的に増大。それに合わせて、冷却の効率性が求められるようになったのです。

空気の性質を利用した賢い冷却方法とは

 データセンターにおける冷却の効率化を進めるために、さまざまな方法が考え出されました。

 例えば、床からサーバーラックに冷気を送り込む「床吹出」という方法もその1つです。温かい空気は比重が小さいため、比重の大きい冷たい空気よりも上の方にいく性質があります。床吹出は、この空気の性質を利用した冷却方法です。

 冷気をサーバーラックごとに床下から送り込み、ICT機器の熱を奪います。熱は高温の空気となり、上昇気流によって天井面まで運ばれますので、そこで高温の空気を吸い込んでしまうのです。

 従来の中規模のデータセンターでは、この方法でもそれほど大きな問題はありませんでした。しかし、近年、データセンターは、大量のデータトラフィックに対応するため大規模化する傾向にあります。そうした施設で床吹出の方法を採用することは、建設コストなどの面から難しくなってきています。

 空気の性質ということでいけば、データセンター全体の高密度化に対応するため、「気流改善」というのも欠かせません。

 ICT機器は、基本的に前面から冷気を吸い込んで冷却を行い、後面から温かくなった空気を排出します。そのことを理解しないで配置すると、前列に設置したICT機器の温かい排気を後列のICT機器が吸気し、後列の冷却が一向に進まなくなってしまいます。

 そこで、サーバーラックに設置しているICT機器の前面同士と、後面同士を向かい合わせるように設置。さらに、冷気と排熱が流れるエリアをそれぞれ囲い込んで、空気が混ざり合わないようにすることで、効率的な冷却が可能になるのです。

 サーバーラック周辺に発生する熱だまりなど、局所的な対応にはまた別のアプローチが必要になります。集中管理型の冷却システムには、中央の機械で冷やした空気をサーバール内に設置された各ユニットに送り出しますが、その間に空気が温められてしまうという問題がありました。これを解決するために、高発熱なサーバーラックのそばに冷却装置を付ける「分散管理」という方法もあります。

大規模データセンターの登場で、冷却方法はさらにスマートへ

 デジタルトランスフォーメーション時代の到来により、従来と比べデータセンターの大規模化が進んでいます。

 データセンターが大規模であればあるほど、空冷式空調機では効率的な冷却が難しくなっています。その中で、冷却効率が高い水冷式が見直されるようになっています。

 水冷式空調は、水漏れの懸念などから一時は避けられていたのですが、近年では外気と熱交換器への水噴霧による気化熱を利用した、新しい水冷式空調機の登場も追い風になっています。

 データセンターにおける冷却方法の進化は、現在も続いています。

 これまでのデータセンターでは、ICT機器の運用と電源や空調などのファシリティーがそれぞれで最適な保守・運用をしていました。近年では、そこにAI技術やIoT、ビッグデータも活用し、全体最適化を図る取り組みもはじまっています。

 さらにデータセンターの排熱をただ外へ捨てるのではなく、他のビルの暖房に役立てる試みが海外でスタートしています。日本国内でもデータセンターの排熱をビニールハウス栽培に活用するといった事例があり、データセンターで消費されるエネルギーの一部を社会へ還元する試みも始まっています。

 今回紹介したような改善を積み重ねていくことで、データセンターの進化は着実に進んでいきます。そうしたデータセンターの進化が、これからのデータ活用を支え、さらには電力削減といった社会的な課題の解決にも貢献しているのです。そして、いずれデジタルトランスフォーメーションの進展にもつながることでしょう。

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