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ハイパースケール化するデータセンターの未来

2020年5月13日

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 一般的なデータセンターと比べて、面積も設置されるICT機器の数も桁違いの規模を持つ「ハイパースケールデータセンター」の存在感が、ここ日本でも目立ってきています。大量のICT機器を設置できるハイパースケールデータセンターは、クラウドの利用拡大を進める上で必要不可欠な存在です。今回は、そうしたハイパースケールデータセンターの動向を追うとともに、その特徴と課題について解説します。

クラウドとともに急拡大するハイパースケールデータセンター

 ハイパースケールデータセンターとは、名前が示す通り非常に規模の大きいデータセンターのことです。広大な敷地を有するため、大量のサーバーなどのICT機器を設置することができます。日本で展開しているハイパースケールデータセンターの中には、約90,000平方メートルという広大な延床面積を持ち、設備収容が5,000ラックを超えるというものも存在しています。

 近年、ハイパースケールデータセンターの建設数が急激に増えています。ある調査では、同施設におけるサーバーラックの国内設置数は2019年で約40,000ラックでしたが、2024年には約100,000ラックと倍以上に増加すると予想しています。

 こうした盛り上がりを支えるのが、クラウドサービス市場の上位に位置する数社のメガクラウドベンダーの存在です。これらの企業は膨大なデーターを処理するため、広大な敷地の中に大量のICT機器を設置することができるハイパースケールデータセンターが欠かせないのです。

 今後は、クラウドサービスの普及に加え、動画・音声コンテンツの利用拡大、5Gの進展などにより、ハイパースケールデータセンターに対するニーズは増えていくものと見られています。

課題は増大する消費電力

 データセンターは、世界における全消費電力の約2%を占めているといわれています。これを日本の首都圏に限定すると、全消費電力のうちデータセンターが12%を占めているという調査結果もあります。

 通常データセンターは規模が大きくなるほど消費電力も増えていきます。さらに、特にハイパースケールデータセンターは、1ラック当たりの電力量も高くなっています。データセンターでは、1ラック当たり6kVA以上であれば超高電力と呼ばれていますが、クラウド事業者の利用するものは6~8kVAが水準となっています。

 こうした大量のサーバーラックを常時稼働するため、ハイパースケールデータセンターは一般的なデータセンターと比べて多くの電力が必要になります。しかし、消費電力が増えることは、コストと環境貢献という面で好ましくないものでしょう。そのため、省エネの推進や再生可能エネルギーの活用が重要になってきます。

消費電力量を削減するカギは「空調」に

 データセンターで消費される電力を機器別でみると、実はICT機器は6割程度にとどまっており、約3割を空調機器が占めているといわれています。

 特に近年は、サーバーが高性能化するのと引き換えに超高発熱装置化しており、いままで以上に空調の負荷が高まっています。そのため、省エネという点では、高発熱密度対応性に対応した空調システムの導入が進んでいます。例えば、壁吹出し方式空調によって天井を低くすることで空調効率を向上させるシステムや、これまでにはなかった空調システムを導入するなど、高発化に対応した新しい技術の導入が進んでいます。

 メガクラウドベンダーの中には、AIを活用して空調の高効率化に取り組んでいる例や、寒冷地の外気や雪を利用するケース、海中にデータセンターを設置する研究も進められています。

 再生可能エネルギーについては、メガクラウドベンダーは非常に積極的な姿勢を見せています。メガクラウドベンダーのうち2社は、すでにデータセンターで使用する電力のすべてを再生可能エネルギーで賄っています。また、他の企業も同様の計画を掲げています。すでに再生可能エネルギー100%でデータセンターを運営している企業は、その取り組みによって温室ガスの量を54%削減することができたと発表しています。

 このように、クラウドが普及とともに今後もハイパースケールデータセンターは増え続けていくことが予想されます。その中で、省エネや再生可能エネルギーの活用といった先進的な取り組みも今後さらに出てくることでしょう。クラウドサービスやデータセンターを利用する際には、そうした点にも注目してみてはいかがでしょうか。

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