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ビジネスコラム

企業が脱炭素化に向けて取り組むべき理由

2018年5月23日

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 脱炭素化は、世界のあらゆる企業にとって重要な課題になりつつあります。政府や自治体による施策をふまえて、すでに多くの企業が様々な取り組みを進めています。

 今回は、そんな脱炭素化の現状を明らかにするとともに、その中で見えてきた企業がいち早く取り組むべき理由を紹介します。

再生可能エネルギー100%で事業運営する企業たち

 前回紹介したように、2015年に地球温暖化防止の国際的な枠組み「パリ協定」が採択されたことをきっかけに、世界的に脱炭素化の動きが加速しています。

 地球温暖化は、温室効果ガスの排出が原因となって起こります。その中でも大きな割合を占める二酸化炭素(CO2)の排出量を、ゼロにしようという脱炭素化の動きが起きています。

 こうした動きは官民挙げてのもので、政府や自治体だけでなく、企業も積極的な取り組みが求められています。特に再生可能エネルギーの活用は、すでに様々な企業が実践しています。

 その中で国際的な動きとして注目されているのが「RE100」です。

 RE100は、2014年に発足したプロジェクトで、「Renewable Energy 100%」の頭文字をとって命名されました。RE100に加盟する企業は、自社の事業を再生可能エネルギー100%で運営していくことを宣言するだけでなく、実現に向けた具体的な目標を設定。その上で、目標達成へ向けた活動を報告書にまとめ、毎年事務局へ提出しなければいけません。

 2018年1月28日時点で、RE100には世界全体で122社が加盟しています。日本では、2017年4月に大手事務機器・光学機器メーカーが初めて加盟。今後参加企業が増えることで再生可能エネルギーの普及と、温室効果ガスの削減が進みそうです。

排出削減目標の新たなスタンダードとは

 企業の取り組みとしては、近年「Science Based Targets(SBT)」も注目を集めています。これを直訳すれば、「科学的根拠に基づく目標」となります。つまり、企業に対して科学的根拠に基づく温室効果ガスの排出量削減目標を設けることを求めるものです。

 SBTへ参加するためには、「2015年度に比べて2030年には30%削減、2050年にはゼロにする」といったように、自社の温室効果ガス排出量について具体的な削減目標を立てて認定を受ける必要があります。

 「RE100」とは違い、認定を受けた企業の取り組みは再生可能エネルギーの活用だけにとどまらず、省エネ活動なども含めて目標に取り組みます。

 日本の企業は、2015年に初めて認定を受けて以降、現在では15社が認定され、申請中の企業も多数あります(2018年3月時点)。認定企業の業種は、製薬、建設、流通、広告、機械などと多岐にわたっています。

あらゆる企業が取り組みを求められる時代が到来

 脱炭素化に取り組む企業が増えていく中で、その動きは企業規模の大小を問わずに広がっています。

 例えば、日本の大手自動車メーカーでは、CO2ゼロなどを目指す6つの長期チャレンジビジョンを発表しました。その中では、素材製造から部品・車両製造、走行、廃棄までのライフサイクル全体でCO2削減を目指すことを挙げており、それは部品を提供する企業などにも脱炭素化を求める内容になっています。

 アメリカの大手IT企業も、部品を提供する企業や協力工場に脱炭素化を求めています。この企業は、パソコンやスマートフォンなどを展開していますが、自社では製造設備を保有していません。そのため、取引先企業と協力しながら、製造から販売までのプロセス全体で使われる電力を、再生可能エネルギー由来のものへと転換していっています。

 このように、脱炭素は大企業や一部の先進的な企業だけの問題ではありません。現在のビジネスは各国単独ではなく世界的なつながりを持つだけに、国境も関係ありません。世界のあらゆる企業が、脱炭素化に向けた取り組みを求められる時代がもうそこまで来ているといえるでしょう。

脱炭素化はもはやコスト要因ではない

 脱炭素化に取り組むことは、企業にとって競争力を強化する絶好の機会になるかもしれません。

 パリ協定が採択されたことによって、脱炭素化に関する市場は今後ますます拡大することが予想されています。

 国際エネルギー機関(IEA)の試算によれば、パリ協定の目標に沿って地球の平均気温の上昇を抑制する前提で、電力部門を脱炭素化するには、2016年~2050年までに約990兆円が必要になります。また、建物、産業、運輸の3部門の省エネを達成するには、2016年~2050年に330兆円程度の追加投資が必要になるとも分析しています。

 こうした分野に企業が積極的な投資を行うことは、経済成長につながるという見方が有力になっています。脱炭素化に向けては、省エネ技術をはじめとする技術革新が重要な課題になります。イノベーションによって、例えば水素利用や藻類を活用したバイオジェット燃料、排気パルプなどの非可食原料を使った次世代バイオエタノールのような革新的な技術の実現や普及が進めば、新たな需要を生み出すことにもつながるでしょう。

 今回見てきたように、これからの企業活動において脱炭素化は重要な課題であり、あらゆる企業にとって避けて通れないテーマです。これまでの常識では、脱炭素化に取り組むことはコスト要因であり、企業にとって負担に思えたかもしれません。

 しかし、消費者の意識が脱炭素化へと傾く中で、企業はいち早く対応することでメリットを享受することができます。脱炭素化によるブランドイメージの向上が見込めますし、社会貢献も果たすこともできるのです。加えて新たなビジネススキームへとつながり、企業の体力を高めてくれるかもしれません。

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