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持続可能な社会の実現へ!「SDGs」で企業が果たす役割

2018年10月10日

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 「SDGs(エスディージーズ)」は、持続可能な社会を実現するために国連が策定した、17の目標のことです。この目標を巡って、新たな潮流が生まれようとしています。その波は、国、経済、金融をも動かし、大きなうねりになろうとしています。今後の企業経営にも影響をおよぼすと考えられる、SDGsとは一体どのようなものなのでしょうか。その成り立ちや日本での動向から、企業への影響について解説します。

持続可能な社会を実現する「17の目標」とは

 SDGsの正式な名称は、「Sustainable Development Goals」です。直訳すると「持続可能な開発目標」で、そこには、貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにするという意味があります。

 SDGsは、2015年9月に国連に加盟国する全193カ国が合意して採択されました。その前身には、2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」があります。

 MDGsは、途上国の問題を解決するために定められた目標で、一定の成果をあげました。しかし、時の経過とともに、環境汚染や気候変動の深刻化、自然災害の頻発など、新たな課題が注目されるようになります。こうした課題は、途上国だけではなく、先進国の国内でも取り組むべきものであるため、SDGsは全ての国が関わる普遍性を持った目標として策定されました。

 SDGsは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、MDGsの8つの目標を拡大。17つある目標の下に、より具体的な169の行動目標が立てられています。広範囲にわたる目標を達成するためには、国の力だけではなく民間の力も必要です。そこで、SDGsでは、課題解決に欠かせないキープレーヤーとして企業を求めています。

 17の目標に沿って幅広い分野で取り組みが進むことによって、新たな需要が生まれるという期待があります。2017年に開催された、世界各国の政治経済のリーダーが集うダボス会議では、SDGsを達成することで、2030年までに12兆ドルの経済価値が生まれ、最大で3億8千万人の雇用が創り出される可能性があるという予測が発表されました。

 このように、SDGsは、未来に対する企業の期待と責任を明確にするとともに、ビジネスチャンスをもたらす存在でもあります。

「SDGs」17の開発目標

(1)貧困 /(2)飢餓 /(3)保健 /(4)教育 /(5)ジェンダー /(6)水・衛生 /(7)エネルギー /(8)成長・雇用 /(9)イノベーション /(10)不平等 /(11)都市 /(12)生産・消費 /(13)気候変動 /(14)海洋資源 /(15)陸上資源 /(16)平和 /(17)実施手段

SDGsは企業の資金調達にも影響

 SDGsは、企業の資金調達にも影響を与えそうです。

 これまで、企業への投資は、業績や財務状況を基準に行われてきました。しかし、ここ数年で、従来の投資基準とは異なる、「ESG投資」の存在感が急速に増しています。このESG投資とSDGsの親和性が非常に高いのです。

 ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の頭文字を並べたもの。これらの取り組み状況をもとに、企業へ投資することをESG投資といいます。そこには、「持続可能な社会の実現」に資する行動が、企業の中長期的な成長を助け、リスクの排除にもつながるという考え方があります。

 ESG投資の運用額は、2016年の時点で世界の投資額の4分の1にあたる約2,500兆円に達しています。すでに、アメリカでは運用資産の21.6%を、ヨーロッパにいたっては52.6%をESG投資が占めているのです。

 日本では、SDGsが採択された2015年、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が機関投資家のESG投資行動を推進するPRI(国連責任投資原則)に署名。2017年から運用を開始しています。

 その背景には、投資によって企業のSDGsに対する取り組みを支援することで、企業価値が持続的に向上すれば、長期にわたって安定したリターンの獲得が見込めるという、GPIFの計算があります。

 GPIFは、日本の国民年金約150兆円を運用し、世界最大の機関投資家でもあるため、日本でSDGsやESG投資に対する関心が高まりました。この影響で、ほかの金融機関でもSDGsやESG投資を重視する動きが強まっています。そのため、SDGsは、企業が資金調達を考える上で無視できないキーワードとなりつつあります。

経済成長に向けて政財界が普及を後押し

 日本では、SDGsを経済成長につなげようという動きもあります。

 国の動きを追うと、2016年5月に、全閣僚が参加する「SDGs推進本部」を設置。同年12月には、「SDGs実施指針」を発表します。

 この指針では、SDGsの17ある目標を参考に、日本が取り組むべき8つの優先分野を「あらゆる人々の活躍の推進」「健康・長寿の達成」「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」「持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備」「省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会」「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」「平和と安全・安心社会の実現」「SDGs実施推進の体制と手段」とまとめました。

 2017年6月には「ジャパンSDGsアワード」を創設し、優れた取り組みを残した企業や団体、自治体などを表彰しています。同年12月には、「SDGsアクションプラン2018」を発表。そこでは、SDGsを科学技術とイノベーションにつなげようという「Society 5.0」や「地方創生」、「ダイバーシティ」と連携させることで、市場や雇用を活性化していく構想が描かれています。2018年中には、プランの内容をより具体化した日本の「SDGsモデル」を構築する予定となっています。

 こうした国の動きを受けて、経済界も敏感に反応しています。日本経済団体連合会は、企業が実践するべき指針をまとめた「企業行動憲章」を2017年11月に改訂し、Society 5.0の実現を通じ、SDGsを達成することを明記しました。

 国や経済界を挙げてSDGsの普及が進む中で、企業の取り組み姿勢がより一層問われることでしょう。また、先駆的に取り組めば、幅広い分野でビジネスチャンスを得ることができるはずです。この変化を前に、企業はどのようにSDGsと向き合えばいいのでしょうか。次回は、企業がSDGsに取り組むためのヒントを紹介します。

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