お問い合わせ

NTTファシリティーズ

メールのアイコン

ビジネスコラム

従業員の働きがい、生きがいを生み出す「健康経営」とは

2022年4月13日

Tweet
Facebook

 昨今、「健康経営」という言葉を耳にするようになりました。少子高齢化に伴う人材不足を背景に、企業経営における従業員への健康配慮は、事業を推進・継続していくうえで、重要な要素になっています。ここでは、従業員の健康が経営に重視されるようになった背景や、実践することで得られるメリットなどについて解説します。

従業員の健康への配慮を戦略的に実践する経営手法

 現在の日本では、企業は従業員の健康に配慮する義務があります。一般的に知られているのが労働安全衛生法で定められている健康診断です。事業規模の大小にかかわらずすべての企業に義務づけられており、契約期間が一年以上となる従業員を対象に、受診機会を必ず設ける必要があります。また近年では、身体の健康だけでなく、メンタル面でのサポートも重要視されるようになり、従業員にとって快適な職場環境づくりを積極的に行うことも推奨しています。

 こうした「従業員への健康配慮」を経営的な視点で捉えて戦略的に実践し、企業の成果につなげる経営手法を「健康経営」と言います。

 健康経営は、それぞれの従業員が、働きやすい職場づくりを通じて「働きやすさ」を、働きがいのある業務を通じて「働きがい」を、仕事と生活の適切なバランスを通じて「生きがい」を獲得することに重点を置いています。それらが企業の成長を支え、社会の発展にも貢献するという考え方がベースになっています。

少子高齢化時代における重要性

 健康経営が注目されている背景には、少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少があります。

 日本の生産年齢人口(15~64歳)は、2020年の国勢調査によると7508万7865人でした。ピーク時だった1995年の8716万4721人と比較すると、1200万人以上減少しています。経済活動の中心となる生産年齢人口の減少は、企業にとって働き手となる人材の不足を意味し、限られた人的資源を有効活用するために、健康経営が注目されるようになりました。

 ある通信関連企業では、健康経営の一環として、健康増進につながる行動習慣と定期健康診断の結果をポイント化し、「健康マイレージ」として取得できる取り組みを行っています。健康マイレージでは、取得したポイントに応じて特別ボーナスが支給されるため、健康に対するモチベーション向上につながっています。さらに同社では、禁煙も全社的に支援しています。同僚や家族などのバックアップも含めて禁煙を後押しするプロジェクトを実施し、社内の喫煙率が約半減したという結果も得られています。

 また、ある住宅関連企業では、管理職全員にメンタルヘルス研修を義務づけるほか、社内に保健師や臨床心理士を配置して、従業員が相談しやすい環境を整えています。また、社内ネット環境を通じて、心の健康診断を定期的にセルフチェックできるような仕組みも設けました。相談内容やストレスチェックの結果は研修の内容や研修受講者の選定に生かされ、その結果、健康診断受診率100%を達成することができました。

認定制度で政府も後押し

 健康経営によるメリットを享受できるのは、企業と、そこで働く従業員だけではありません。健康で長く働ける環境を整備すれば、それだけ医療費の削減につながります。このため、政府も健康経営の取り組みを推進しています。

「健康経営優良法人」制度は、とくに優良な健康経営を実践している大手企業や中小企業などの法人を顕彰するもので、2022年には大規模法人部門で2,299法人、中小規模法人部門で12,255法人が認定されました。認定主体は、経済団体・医師会・自治体・大学・メディアなどで組織された「日本健康会議」です。認定を受けるには、各企業が加盟している健康保険制度を通じて、取り組みの申請をする必要があります。認定を受けた企業は、自治体や金融機関でさまざまな優遇措置が受けられます。

 このほか、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定した「健康経営銘柄」があります。これは、健康経営を実践している上場企業を魅力的な投資先として紹介する制度です。2022年3月には、32業種から50社が選定されました。

 従業員の健康増進につながる取り組みは、多くの企業で日常的に行われていますが、目に見える成果として現れる機会はなかなかありません。ここで紹介した認定制度は、取り組みをアピールするきっかけになります。従業員の健康管理・増進に積極的な企業姿勢は、離職率の低下にもつながるだけでなく、人材確保が有利になる可能性もあります。自社の取り組みや経営ビジョンを、「健康経営」という視点から改めて見直してみてはいかがでしょうか。

関連する記事

最新のコラムや導入事例を
メールマガジンで配信いたします。
えふ・マガの購読はこちら

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP