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ビジネスコラム

太陽光発電の“構築”は後々のO&Mと一緒に考える

2019年3月6日

 前回は、自家消費型太陽光発電を構築する際のメリットを紹介しました。実際に、これから太陽光発電の構築を取り組むには、どのような視点が必要なのでしょうか。そのヒントは、「O&M」にあるといいます。今回は、太陽光発電設備の長期運用を実現するために必要なポイントを紹介します。

構築をめぐるFITの変化

 前回紹介した通り、FITでは国が再生可能エネルギーの買取価格を決定しており、その価格は年々下がり続けています。その額は制度開始当時と比べ、現在は半分程度になっています。

 その中で、太陽光発電は、FITの20年という契約期間に沿って運用される売電型のビジネスモデルから、自家消費型をはじめとした新しい活用方法へののシフトチェンジがはじまっています。

 自家消費型については、オフィスビルや商業施設、工場、データセンターなど、さまざまなシーンで取り入れられています。企業は、クリーンなエネルギーを使用し化石燃料への依存度を小さくできます。

 近年、海外では事業の100%を再生可能エネルギーでまかなう企業が増加。ここ日本でも、大学が再生可能エネルギー100%を達成するなどの事例が登場しています。

 売電型、自家消費型、いずれの活用方法においても、これからは太陽光発電設備をより長く稼働させ、運用することを目指さなければいけません。

構築時に検討したい長期的運用の基本とは

 2017年4月に、FIT法と呼ばれている「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が改正されました。そこでは、再生可能エネルギーを設置するための認定基準が厳格化されました。

 注目したいのは、発電設備を適切に保守点検、維持管理する、いわゆる「O&M(オペレーション&メンテナンス)」が義務付けられたという点です。

 適切かつ効率的なO&Mによって、太陽光発電設備を長期間、安全に使用することが可能となります。つまり、安定的な稼働が実現できるのです。

 これからの太陽光発電は、構築とO&Mの一体化を考慮しつつ長期的な運用を見据えなければなりません。しかし、構築へと進む前に洗い出しておきたいのが、長期的な運用を目指す上で基本となる「リスク」対策です。

 特に、災害のリスクは重要です。近年は大地震や記録的な豪雨など、これまで稀にしか発生しないと考えられていた災害が頻発するようになっています。土地探しに加え、構築する場所の地形や地盤、さらに気候など、その地域特有の潜在的リスクを考える必要があります。

 また、周辺環境のリスクについても同様です。周囲に民家などの配慮すべき建物がないか、高木などの障害物がないか、常に安定した運用を考えることが重要になります。そのため、万が一の時に備え、損害保険への加入も検討しておくべきしょう。

 さらに、早期対応ができるよう遠隔監視システムの導入や運用チームの駆け付け体制を確認しておくといった備えも必要になります。

構築とO&Mの一体化を考える

 太陽光発電設備の長期運用が前提になっている今、運用コストも課題になります。先述した災害などによって設備の故障や破損が起これば、想定外の修理が必要になり、運用コストをコントロールできなければ、収益性の確保さえも危うくなってしまうでしょう。

 これまで構築とO&Mは分けて考えられることが多く、実施する専門会社も異なるというのが一般的です。

 通常、構築の専門会社は、設備・工事の品質を向上し、建設にかかわる効率化を図ろうと努力します。しかし、構築が終わり、O&Mのフェーズへと進んだ際に、運用の観点から手直しが必要な場所が見つかり、その分の手間もコストも余計にかかってしまうことが多々ありました。

 それらの無駄をなくすためには、構築とO&Mの専門会社間でコミュニケーションを密にして進めることが重要です。構築の段階から、O&Mのスタッフがミーティングに参加し、情報交換することで、運用段階での無駄な作業やトラブルを減らし、運用コストの低減へとつながっていくはずです。

 また、一連の流れを1つの会社にお願いすることでも同じことがいえます。窓口を一元化でき、構築からO&Mへとフェーズが進む際に発生していた引継ぎ時の煩雑な手間を減らすことができます。

 構築とO&Mを一体化すると、初期費用のコストが増えるように見えます。しかし、今回紹介したように、長期運用という視点で考えるとトータルコストの削減につながることが多いのです。さらに、構築後に信頼性の高い運用も実現できることでしょう。次回からは、「運用」をテーマに、太陽光発電について考えます。

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