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ビジネスコラム

「脱炭素社会」がこれからのビジネスのキーワードに!

2019年5月22日

 2030年度に温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減し、さらに2050年までに80%削減する。その意欲的な目標を達成するため、政府は今後の方針を案ベースでまとめた「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)」を、2019年4月に発表しました。そこで強調されたのは、温室効果ガス“ゼロ”の実現。そのために、企業は何ができるのでしょうか。政府の戦略を読み解きながら、すでに各所ではじまっている脱炭素化に向けた企業や業界の取り組みについて紹介します。

温室効果ガス“ゼロ”に必要なものとは

 政府の長期戦略案では、温室効果ガスの排出量を2030年度に26%削減、2050年に80%削減するという目標の達成にとどまらず、最終的には温室効果ガス“ゼロ”の「脱炭素社会」を実現する、という攻めの姿勢が強調されています。しかし、どちらの実現も楽観視できるものではありません。

 環境省によると、2017 年度の温室効果ガス総排出量は、12 億9,200 万トンで、前年度の総排出量(13 億 800 万トン)と比べて1.2%と確かに前進していますが、このペースでは“2050年に80%削減”という目標の達成には今以上の努力が必要になりそうです。

 脱炭素社会を実現するためには、温室効果ガスの排出抑制につながる最先端技術の開発が必要だと政府は考えています。脱炭素に向けたイノベーションを起こすため、炭素資源を回収して再利用する「カーボンリサイクル」、電力の需給を柔軟に調整する「デマンドレスポンス」といった様々な実証研究が進められています。

 そうした、イノベーションに取り組む企業が資金を確保しやすくなるよう、環境問題の解決につながる企業に投資する「グリーン・ファイナンス」を推進することが重要だと長期戦略案の中では語られています。

 イノベーションと同様に、企業の積極的なコミットも欠かせません。企業が排出する二酸化炭素の量(エネルギー起源)は、日本全体で5割以上を占めています。その部分を削減していくことで、脱炭素社会の実現につながります。

 そのためのポイントとして、政府は「省エネルギー」と「電源の非化石化」をあげています。この2つについては、近年、企業や業界あげての先進的な取り組みが増えています。

建物や住宅で進む究極の省エネルギー化

 環境省の試算によると、省エネルギーを徹底することで、2013年度には約3.6億キロリットルあった最終エネルギー消費が、2030 年度には約3.3億キロリットルにまで減少するといいます。

 こうした数値を現実のものにする技術として注目したいのが、建築業界で取り組みが広がりつつある、エネルギー性能を極限まで追求した「 ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」という建物。さらに、住宅業界では、ZEBの住宅版ともいえる、「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及も始まっています。

 「ZEB」はエネルギーの需要を減らす「パッシブ技術」、エネルギーを無駄なく使用する「アクティブ技術」によって、省エネルギー化を図る建物です。さらに、そこに太陽光発電などによる「創エネ」を組み合わせ、消費エネルギーを正味でゼロにします。その導入企業の中には、ビル全体のエネルギー量を100%以上削減したというケースもあります。

 「ZEH」は「ZEB」の住宅版で、やはり住宅の消費エネルギーを正味でゼロにするものです。ZEH の新築等件数は、2012年度は400件程度でしたが、2016年度には約1.3万件まで拡大しています。

事業運営の100%を再生可能エネルギーで

 企業が電源の非化石化を図る上で、化石燃料から再生可能エネルギーへの移行が欠かせません。

 近年、100%再生可能エネルギーでの事業運営を目指す企業の集まり「RE100」への参加が日本でも増加。2019年5月16日現在で、日本企業は19社が参加しています。

 RE100に参加している外国企業の中には、すでに事業の100%を再生可能エネルギーで運営している企業もあります。米国のある銀行は、メガソーラーから購入した電気だけで事業を運営することに成功。IT系のグローバル企業の中にも、同様に再生可能エネルギーだけで大型のデータセンターを運営する計画を立てているところもあります。

 日本では、小売業のRE100参加企業が商業施設の屋根にメガソーラー設置。そこで作られた電気を使って施設を運営している事例があります。今後、RE100への参加が増えるととともに、太陽光発電の活用も進みそうです。

 今回紹介したように、脱炭素社会の実現に向け、さまざまな業界や企業で取り組みが進んでいます。そうした取り組みがコストと考えられた時代は終わりを告げました。最近では、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮した企業を重視して、投資を行う「ESG投資」が盛り上がりを見せています。

 企業にとって、省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用は、長期的に見れば気候変動のリスクを低減するため、短期的には消費者や投資家の賛同を得るため欠かせないものとなりつつあるのです。「脱炭素」というキーワードを念頭に、これからのビジネスについて考えてみてはいかがでしょうか。

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