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ビジネスコラム

いま「木質バイオマス」が求められる理由とは

2019年7月31日

 前回はバイオマス発電の動向を紹介し、その中でも特に「木質バイオマス発電」の成長が著しいことについて触れました。背景には、地球温暖化の進行があります。木質バイオマス発電は、その解決に貢献するだけでなく、雇用の創出、森林整備と様々な分野に好影響を与えると考えられているのです。その普及のためには欠かせないものがあります。それが、「未利用間伐材」の活用。一体どういうことでしょうか。今回は、木質バイオマス発電の動向について解説します。

木質バイオマス発電が注目される理由とは

 木質バイオマスとは、「木材に由来する再生可能な資源」のことです。木材は3~4kgで灯油1リットルに匹敵する発熱量を持つ、熱エネルギーのかたまり。その熱のかたまりを熱源や発電に利用します。

 世界有数の森林国といわれる日本で、木質バイオマス発電に取り組むことは理にかなっていえるでしょう。それは、森林が国土面積の3分の2にあたる約2,500万haを占めていることからも分かります。しかも森林資源は増え続けており、年間の成長量は約1億立平方メートルにもなります。

 昔の日本では、この豊富な資源が暮らしの中に根付いており、薪や炭などが燃料として盛んに利用されていました。しかし、高度経済成長期を経て社会が移り変わる中で、石炭、石油といった化石燃料への依存が強まっていきました。それに合わせて増えていったのが二酸化炭素の排出量です。日本を含め世界で化石燃料の利用が進んだことで、大気中の二酸化炭素濃度は産業革命以前と比べ約40%も増加。現在では、地球温暖化が我々の生活を脅かすようになっています。

 この状況を打開するために、世界で脱炭素化に向けた取り組みが進んでいます。木質バイオマスは燃料として利用しても、トータルで見ると大気中の二酸化炭素濃度を増やすことがないため、注目を浴びるようになっているのです。

鍵となるのは「未利用間伐材」に

 木質バイオマスは、大きく「製材工場等残材」「建設発生木材」「未利用間伐材」という3つに分類することができます。特に未利用間伐材の利用拡大が、木質バイオマス発電の普及には欠かせません。

 製材工場等残材は、製材工場で発生する樹皮やのこ屑などの残材や製材端材。建設発生木材は、土木工事の建設現場や住宅などを解体する時に発生する廃材などです。実はこれらの活用は十分に進んでいます。製材工場等残材や建設発生木材の約95%は、燃料をはじめ、紙パルプ、家畜敷料などの原料として利用されているというデータもあります。

 一方で、未利用間伐材は年間800万トンも発生しながら、これまでほとんど利用されていませんでした。森を整備するために伐採した木々は、製材用材に適した部分だけが利用され、利用価値の低い部分は搬出費用などの問題から残置されてきました。その量は、年間で約2,000万立方メートルも発生しているといいます。

 その状況を変えたのがFIT(固定買取制度)の開始でした。未利用間伐材を使用した発電については、国が安定した電気の買取価格を保証したため、近年一気に普及が進みました。

地域の生まれる好循環の輪

 これまで大量に放置されてきた未利用間伐材が燃料として価値を持つことで、林業経営にも寄与します。それによって、適切な間伐がしやすくなると考えられています。

 健全な森林を育てる「森林整備」には、間伐の果たす役割は無視できません。適切に間伐を実施することで木々の間に適度に光が射し込み、草などが育ちやすくなります。それによって、大雨が降った時に森林が水を吸収したり、土砂流出を防止する機能が高くなるのです。

 さらに、間伐を実施した場合、実施しなかった森林と比べて二酸化炭素吸収量が1~2割程度多くなるという調査結果もあります。そのため、国は地球温暖化防止に向けた森林吸収源対策として、年平均52万haの間伐を目標に設定しています。

 温暖化対策などで注目されている木質バイオマス発電ですが、その普及は着実に進んでいます。FIT(固定買取制度)が開始した2012年から2017年までの5年間で、木質バイオマス使用量は乾燥後の重さで約200万トン増加しているのです。

 木質バイオマス発電の発電施設では、熱利用にも取り組むケースも多いといいます。例えば、木質バイオマスを燃やして発電する際に発生する熱を近隣の施設に循環させ、暖房や冷房に使用するのです。こうした取り組みは、エネルギーの地産地消を後押しするものでもあります。

 近年では、木質バイオマス発電の事業者として、商社やエネルギー会社といった新規参入事業者も相継いでおり、盛り上がりを見せています。木質バイオマス発電所が1つ新しく稼働することで、50人程度の雇用が生まれるという試算もあり、経済的という面でも期待が高まっています。

 実に様々な利点がある木質バイオマス発電。これからもますます目が離せなくなりそうです。

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