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ビジネスコラム

選ばれる企業になるための「エシカル消費」入門

2019年8月7日

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 国連のSDGs(持続可能な開発目標)が注目を集める中で、地球環境や人権などに配慮した商品を買ったり利用する「エシカル消費」への関心が高まっています。エシカル消費はSDGsやESGにも関連するアクションであり、それをふまえて施策を打ち出す企業も登場しています。エシカル消費の現状はどのようになっているのでしょうか、そして企業にとってどのような意味を持つのかを解説します。

さまざまな問題の解決につながる倫理的な消費

 エシカル消費の「エシカル」とは、英語で「倫理的な」という意味です。つまりエシカル消費とは、人や社会、環境に配慮した製品やサービスを選んで買ったり、利用する消費行動のことを意味します。法律に定められたようなものではなく、あくまでも消費者による自発的な行動です。

 21世紀に入って、地球は温暖化による気候変動、森林資源の枯渇、水資源の不足、生物多様性の損失などの問題に直面しています。 また、経済優先の社会システムによって、世界的に格差が拡大し貧困問題が起きています。人権問題も大きな課題です。エシカル消費を進めることは、こうした地球上のさまざまな問題の解決につながると考えられています。

 エシカル消費は、身近なところから実行できるアクションです。例えば地元の商店で地元産の野菜や果物を購入する地産地消を心がけたり、食事を残さないように努めたり、外出の際に環境を考えて自転車や公共交通機関を利用します。オーガニック商品やエコ商品などの環境に優しい商品を選んで使うのも、エシカル消費の1つです。

 それ以外にも、障がい者支援につながる商品や伝統工芸品などを積極的に購入して使用するなど、エシカル消費には幅広い行動が含まれます。

消費者の60%はエシカル志向

 エシカル消費の歴史は、今から30年以上前にさかのぼります。1987 年にイギリスのマンチェスターで『ethical consumer』という雑誌が発刊されました。これは、消費者の行動によって国際的な企業にエシカルな経営と製品の生産、提供をさせようという目的で発刊された雑誌です。これが本格的なエシカル消費のアクションの始まりといわれます。

 2015年9月には、エシカル消費の普及を後押しするような出来事がありました。国連が「SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)」を採択したのです。そこでは2030 年までに達成すべき 17 の目標が掲げられていますが、そのうちの12番目の目標は「持続可能な生産消費形態を確保する(つくる責任、つかう責任)」というもの。エシカル消費は、この目標達成をはじめさまざまな形でSDGsに貢献すると考えられています。

 日本では、2011 年の東日本大震災以降に日本中で社会貢献の意識が強まったことも影響し、エシカル消費に対する認知度も高まりました。2015 年 5 月には消費者庁によって「倫理的消費」調査研究会が設置され、エシカル消費の枠組みづくりなど、エシカル消費に関するさまざまな検討が行われました。

 2017 年に消費者庁が行った消費者意識調査では、「エシカルな製品を購入したい」と考える消費者は、全体の 6 割にものぼっています。また、2018年度に徳島県が行った「エシカル消費に関する消費者意識調査」でも、約6割の消費者がエシカル消費を意識していることがわかりました。

エシカル消費は企業の持続的な成長の重要な指標

 消費者の間でエシカル消費に対する関心が高まる中で、企業もそれに対応する施策を打ち出すようになっています。顧客のニーズに応える商品・サービスを提供することはビジネスの基本だけに、こうした傾向は当然のことといえるでしょう。エシカル消費に対応した取り組みは、企業の業績向上にもつながるのです。

 企業がエシカル消費に取り組む意義は、まだあります。SDGsの目標達成に向けて企業にも大きな役割が期待されているのです。それに応えて多くの企業がSDGsに取り組むようになっています。エシカル消費はSDGsの目標達成に貢献するだけに、企業にとって大きなテーマであり、その取り組みは企業の社会的な評価を高め、企業価値を向上させます。

 近年、環境・社会・企業統治を重視した経営を行う企業に投資する「ESG投資」が盛んになっています。エシカル消費に取り組むことも、ESG投資の評価対象として大きな意味を持ちます。エシカル消費に積極的に対応する企業は投資を呼び込み、それによって企業価値の向上が期待できるわけです。

 すでに多くの企業が、それぞれに工夫を凝らした形でエシカル消費に対応しています。例えば、あるアパレルメーカーは、世界各地にある生産委託先の縫製工場のリストを公開しています。サプライチェーン(供給網)の透明性を高めて、適切な労働環境を実現するためです。

 また、洗剤、トイレタリー、化粧品などを製造する大手企業では、2030年までの長期戦略を策定し、環境負荷の少ないプラスチック製の包装容器を流通させ、工場を含めたすべての拠点でリサイクルできない廃棄物をなくす計画を進めています。

 小売企業では無料で配布していた買い物袋を有料化したり、ビニール製の買い物袋を紙製に切り替える企業も増えています。昨年、大手コーヒーチェーンも使い捨てのプラスチック製のストローを廃止することを制限し、大きな話題となりました。

 このような取り組み事例を見て分かるように、消費者をはじめ多くの人々の支持を得る上で、エシカル消費は無視できない存在になりつつあるのです。選ばられる企業になるためには、これからはエシカル消費が重要な指標の1つとなりそうです。

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