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ビジネスコラム

 

「XR」活用によるコミュニケーション活動の可能性

2021年12月15日

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 新型コロナウイルス感染症の拡大によって、人々の生活は大きく様変わりしました。人と人との接触を減らすことが推奨され、多くの企業がリモートワークを推進。日々の会議に加え、セミナー、イベントなどもオンラインで行われるようになりました。そうした中、現実世界と仮想世界を融合する技術であるXR(VR、MR、AR)が再び注目されています。

現実世界と仮想世界を融合するXR技術

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によって、生活様式は大きく変化しました。人々はマスクの着用が常識となり、企業ではリモートワークの推進、公共交通機関においては安全のために着席間隔の確保や入場数の制限など、感染防止に向けたさまざまな取り組みが行われています。

 また、大手ICT企業が2023年までに国内の既存オフィスを半減すると発表するなど、ウィズコロナ/アフターコロナにおける働き方も変化しつつあります。リモートワークの波が一気に押し寄せる中で、これまで大きな会場で開催されてきたセミナーや展示会などのイベント、エンターテインメントなども、オンラインでも開催されるようになっています。このように、バーチャルな空間を現実の代替として用いる動きが、コロナ禍の中で加速しているのです。

 そこで、注目を集めているのがXR(Extended Reality)です。XRとは現実世界と仮想世界を融合する技術を総称した言葉で、これを利用することによって、現実と同じ体験や不可能な体験が、仮想世界の中で実現できるようになるといわれています。そうした魅力を持つことから、今後、ビジネスシーンでも幅広い分野での活用が期待されています。

 XRは、具体的にはVR、AR、MRなどの技術に分かれます。仮想現実とも呼ばれるVR(Virtual Reality)は、コンピューターグラフィックスなどによって仮想世界を作り出します。AR(Augmented Reality)は、現実世界の情報にコンピュータで作り上げた画像や情報を重ね合わせる技術で、拡張現実と訳されます。また、MR(Mixed Reality)はARをさらに発展させた技術で、複合現実と呼ばれています。

コロナ禍によってXRのビジネス活用が拡大

 “XR元年”と呼ばれた2016年以降、XRのビジネス活用は、製造業や流通、医療といった分野で拡大を続けており、業務の効率化や生産性向上を目的に活用されています。ある製造メーカーでは、スマートグラスに作業手順を表示させることで、生産効率を高めたり、また、ある物流企業では、倉庫内にある商品の最短ルートをスマートグラスへ表示させて、スムーズなピッキングをサポートしています。

 一方、コロナ禍における生活様式の変化から、XRをコミュニケーションに活用しようという試みに注目が集まっています。VRを用いた遠隔会議システムを使って、参加者の表情をキャラクター(アバター)に反映したり、吹き出しにコメントを表したり、実際に隣に人がいるかのような臨場感のある会議空間を演出するシステムの導入が進められています。

 実際、こうしたXRなどの技術を使った職場環境のニーズは急激に増えており、ある調査では、日本における2020年度のバーチャルオフィス市場が3億2,000万円規模(前年度比6.4倍)に成長し、2025年には95億円規模にまで成長すると予想しています。

 これらは人との接触を制限しながら円滑なコミュニケーションを図りたいという、ニーズに応える活用例であり、新しい生活様式のなかで感じる不便や不安をどのように解消できるかが、この分野における今後のカギと言えそうです。

リモート時代に関連したビジネス活用例

 そうした人々のニーズに応えるヒントとして、オンラインでのイベントや展示会、接客などにおけるXRの活用例を紹介します。

あるICT関連企業では、よりリアルに近いイベント体験を実現するため、双方向のコミュニケーションを強化したプラットフォームを活用し、オンラインでの大規模なバーチャルイベントを開催しました。パソコンやスマートフォンから参加すると、まず自身のアバター(自分の分身として画面上に登場するキャラクター)を作成。アバターを操作して会場内を歩き、見たい講演や展示に参加することができます。さらに、音声/テキストチャットで会場内の説明員とインタラクティブなコミュニケーションを行うことも可能になっています。

 また、ある学校法人では、今年度、バーチャル空間でのオンライン形式と対面形式の両方を実施するハイブリッド学園祭を開催しました。当日は、各専門学校の合計約5,000名の学生が自ら作成したアバターで参加。リアル会場で行われた音楽ライブの配信や、グッズ販売、悩み相談などのブースが設けられました。現実の学園祭同様に、ブースを選んでコンテンツを楽しんだり買い物をしたり、グループでのトークやチャット機能でコミュニケーションを図ることが可能でした。

 リモートでの接客を可能にするサービスも出てきています。大手印刷会社は、バーチャルキャラクターによる接客支援サービスを開発しました。これは、VR技術でキャラクターと操作する人の動きを同期させて、オフィスや自宅などから実際の店舗での接客を可能にするというものになります。

 さらに美術館や博物館でもXRは活用されています。2020年4月、1回目の緊急事態宣言発出中に配信を開始した国立科学博物館の「おうちで体験!かはくVR」は、まるで博物館内に足を踏み入れたかのような高精細な360度全天周画像を通して、自宅にいながら展示を鑑賞することができるというコンテンツで話題を集めました。当時は休館で入館できなかった中、配信後1カ月で100万回を超える閲覧数を記録しました。(2021年12月現在、国立科学博物館では入館予約制が取られています)

 このように、コロナ禍によって現れた新しい生活様式の中、コミュニケーションや経済活動、エンターテインメントなどの分野において、人々の不便や不安を解消するXR技術はますます注目されていくのではないでしょうか。

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