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ビジネスコラム

読んで涼をとる!「打ち水」の歴史

2019年8月14日

 暑い夏を涼しく過ごす方法は数々あります。その中でも、特に環境に優しい涼の取り方として知られているのが、「打ち水」です。打ち水の起源は、戦国から安土桃山時代を経て「茶の湯」が成立した時期にまでさかのぼるという説もあります。そんな打ち水の歴史や効用、最近の動向などを紹介します。これを読めば爽やかになれるかも!?

江戸時代には俳句や浮世絵にも取り上げられる

 本格的な夏を迎えた中で、エアコンを全開にして涼をとる方も多いのではないでしょうか。しかし、ここでぜひ注目していただきたい涼しくなる方法があります。それは「打ち水」です。打ち水は誰にでも簡単にできて、環境にも優しい方法であることから大きな注目を集めています。

 打ち水は長い歴史を持ちます。古代から中世にかけて編まれた『古今和歌集』『千載集』『草根集』には、川や滝の涼しさ、夕立の後の爽やかさを詠んだ歌がみられます。ただし、この中に打ち水はまだ登場していません。

 打ち水が初めて日本の歴史に登場したのは、「茶の湯」と大きなかかわりがあるとされています。茶の湯は、戦国から安土桃山時代を経て成立しました。その茶事の前に打ち水が行われていたというのです。しかし、あくまでも礼儀作法として行われたもので、一般に広く行われたものではありませんでした。

 打ち水が本格的に広まったのは江戸時代に入ってからです。江戸時代になると、俳諧師・宝井其角(たからい きかく)の「水うてや蝉も雀もぬるる程」という句のように、打ち水が俳句に詠まれるようになりました。また、打ち水の様子が描かれた浮世絵も残っています。

 こうしたことから、打ち水が江戸時代には涼をとる手段として、庶民の間でも親しまれていたとみられます。その目的は、涼をとることに加え、道の土埃が舞わないようにしたり、客を招く時に玄関先や道に水を撒くことで、お清めをする意味もあったようです。

環境問題対策として社会実験が始まる

 いったんは廃れた打ち水ですが、最近になって再び注目を集めるようになっています。政府も地球温暖化対策キャンペーンの一環として、打ち水を奨励するようになっています。

 その中でも特に話題を集めているのが「打ち水大作戦」と呼ばれる運動です。2003年に社会実験として始まったこの運動は、東京都などの都市を起点に全国に広がり、現在では推定500万人以上の人々が参加。今年も7月23日から8月23日までの間、運動が展開され、全国各地でさまざまなイベントなども行われます。

 こうした運動の背景には、地球温暖化をはじめとする環境問題への人々の関心の高まりがあります。水をまくだけの打ち水が、環境に優しい涼をとる方法として注目を集めるようになってきたわけです。

 打ち水で大量の水道水を使うのは、決して環境に優しくないのではないか。そう思う方もいるかもしれません。しかし、打ち水大作戦では、当初から水道水を使わないことと、雨水やお風呂の残り湯などの二次利用水を使うことを基本ルールにしています。こうした点からも、打ち水は環境に優しい方法だといえるでしょう。

気化熱によって地面の温度が大気中に逃げていく

 盛り上がりを見せる打ち水ですが、本当に効果があるのでしょうか。

 打ち水をすると、気化熱によって地面の熱が大気中に逃げていきます。気化熱とは、水が気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。入浴後に「濡れた体のままいると風邪をひいてしまう」というのは、この気化熱によって体から熱が奪われるせいです。

 ある調査によると、気温は変わらなくても打ち水をすることで、体感温度が約1.5℃涼しく感じられることが分かりました。実際に打ち水大作戦の会場で、晴れた日の12~13時台に一斉打ち水を実施したところ、概ね1~2℃の気温低下が観測されました。

 打ち水は風も発生させます。打ち水を行った場所は、水蒸気によって一時的に気圧が上がります。その一方で、打ち水を行っていない場所の気圧はそのままです。空気は、気圧の高い方から低い方に向かって流れていく性質があることから、この気圧の差によって自然なそよ風が発生するのです。

 体感的な涼しさを誘発するのも打ち水の効果です。水に触れることは人間の五感を刺激して、それだけで涼しい気持ちにさせてくれます。打ち水をするときに浴衣を着たり、風鈴を響かせたりすれば、なおさら涼しさが増します。実際に、打ち水大作戦の参加者からは、「気持ちがよかった」、「涼しく感じた」などの声が上がっています。

 最後に、打ち水をする際のコツを紹介しましょう。まずはバケツや洗面器などの容器に、雨水や風呂の残り湯などを入れます。そして、ひしゃくなどを使って、その水をまきます。ひしゃくがない時は手ですくってまいてもOK。また、じょうろやペットボトルに水を入れて直接まいてもかまいません。

 打ち水は路面だけでなく、屋上やベランダ、壁、室外機の周りなどでも効果があります。時間帯としては、暑い日中ではなく朝夕に行うのが良いといわれます。また、日向よりも日陰のほうが効果があるともいわれます。ただし、道路からの照り返しによる暑さ対策には、昼間や日向の打ち水も効果的とされます。

 手軽にできて、地球に優しい涼しくなるための工夫である打ち水。皆さんもこの夏に、試してみてはいかがでしょうか。

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