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さまざまな産業で活用が進む「ドローン」の現在地

2019年8月21日

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 無人航空機「ドローン」の実用化がさまざまな形で急速に進んでいます。ドローンは私たちの社会に大きな変化をもたらすといわれていますが、一体どのような歴史を歩んできたのでしょうか。ドローンの過去と、現在、未来をたどり、その活用方法や社会へのインパクトについて探ります。

日本がパイオニアだった産業用ドローンの普及

 ドローンとは、パイロットが搭乗していない無人航空機の総称です。したがって飛行は遠隔操縦か、自律飛行によって行われます。

 ドローンの技術が進展したのは、1930年代に入ってからのことです。無線技術が発達し、それによって遠隔操縦で飛行機を操縦できるようになったのです。1935年には、イギリス軍が有人の航空機を無人機に改造し、飛行させることに成功。1940年代になると、アメリカでも無人航空機の開発に成功しました。

 産業用のドローンが本格的に普及するようになったのは、1980年代に入ってからです。それまでの無人航空機は、軍事用の無人航空機に代表されるように大型かつ高価格なものが主流でしたが、小型化や低価格化が進み、日本では農業で無人航空機を使った農薬散布が行われるようになりました。こうした産業面での無人航空機の活用は、日本が世界に先駆けて取り組んだもので、日本は無人航空機の民間利用のパイオニアともいわれます。

 現在、産業用途で主流になっているのは、複数のプロペラを備えたマルチコプターというタイプの無人航空機(ドローン)で、農薬散布の他に、空撮や点検など様々な用途で使用されています。

価格低下や高機能化で急成長するドローン市場

 産業用ドローンは、さらにその活躍の場を広げています。技術の進化によってさらに小型化が進みました。2010年代になると廉価な製品が次々に発売され、ドローンの活用が急速に進むようになりました。

 モバイル技術の進歩やバッテリーの小型化によって、ドローンにカメラを搭載できるようになるなど、高機能化も顕著です。従来は遠隔操作が主流だったドローンが、プログラミングにより自律航行できるようになったことも、産業分野での用途の拡大につながっています。

 ある調査によって、2018年度の国内のドローンビジネス市場規模は前年比85%増の931億円で、土木測量や設備点検、災害調査の用途で活用が進んでいることがわかりました。今後は、特に設備点検の用途が伸びると考えられています。

 産業の分野別にみると、農業や物流での活用にも期待が集まっています。農業分野では、作物の生育状況をドローンで空撮し、管理するといった活用方法も登場しています。

 物流分野では、過疎化の進行する全国の地方都市で、ドローンを使った配送の商用化に乗り出しています。今後、食料品などの日常の買い物が困難な住民に、ドローンを使って商品を届けるといったことが、日常的に行われるようになるかもしれません。

 ドローンは、2024年度に市場規模が5,073億円にまで成長するという予測もあり、ますます活躍の場が広がりそうです。それとともに、ビジネスへのインパクトも大きなものになると考えられます。

規制緩和やルール整備でさらなる普及に期待

 今後のドローンの普及には課題もあります。これまで日本では、ドローンの飛行に対する明確なルールがありませんでした。そのため安全面などで、さまざまな問題が起きる可能性がありました。同時に海外と比べて厳しいとされる規制が、産業利用の障壁になっていました。

 そこで、政府は2015年9月に「航空法」を改正して、基本的なルールを定めました。改正された航空法では、ドローンの飛行にあたって許可を必要とする空域を定め、飛行方法についても原則として、日中に飛行させること、周囲の状況を目視により常時監視すること、人や物件との間に距離を保って飛行させることなどを義務付けました。

 一方、ドローンの遠隔操作やドローンからの画像・データ伝送には電波が利用されます。現在市販されているドローンの多くはWi-Fi機器などが用いられていますが、より高画質で長距離の画像伝送を実現するには、使用可能周波数の拡大などが必要になります。そこでそのための制度の整備を進めています。

 政府の規制緩和やルールの整備に加え、今後も技術革新が進むことで、ドローンのさらなる普及拡大が期待されます。

 今後、最新のドローンはビジネスを具体的にどう変えるのでしょうか。次回で解説します。

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