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ビジネスコラム

「エネルギー白書2019」が教えてくれる日本の現在地

2019年10月23日

 前回は、「エネルギー白書2019」を読み解きながら、脱炭素社会の実現に向けて取り組む各国動向と、その中における日本の進捗状況と課題について紹介しました。そこには、エネルギーに関連する課題を解決するために、日本が今まで取り組んできた施策もまとめられています。今回は、それらを参考に日本の取り組み状況を解説します。

「3E+S」に基づいて進む脱炭素化

 日本のエネルギー政策で基本となる方針が「3E+S」です。これは、Energy Security(エネルギーの安定供給)、Economic Efficiency(経済効率性の向上)、Environment(環境への適合)、そして、Safety(安全性)の頭文字をとったものです。

 パリ協定の発効後、各国で地球温暖化の解消に向けたチャレンジが進んでいます。日本も「3E+S」に基づいて脱炭素化の実現に取り組んでおり、それに加えて、震災による計画停電や大規模停電を経験し、エネルギーインフラが抱える脆弱性の解消も重要な焦点となっています。

 では、実際にどのような取り組みが進んでいるのでしょうか、「エネルギー白書2019」の情報をもとに解説します。

さらなる省エネを支える法と技術

 「エネルギー白書2019」にも記載されている通り、日本は1979年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」を制定するなど、早くから省エネに注力してきました。こうした努力により、実質GDPと最終エネルギー消費を比較したエネルギー消費効率を約4割改善するなど、世界最高水準の省エネを実現してきました。

 2018年12月には、さらなる省エネを推進するために省エネ法を改正しました。企業が連携して取り組みやすいよう、省エネの取り組みに関する評価制度などを改めています。さらに、2019年3月には、LEDの普及促進を目的に、省エネの目安を示す「トップランナー制度」で「照明器具・電球」カテゴリーの対象範囲を拡大しました。

 また、太陽光発電システムや家庭用燃料電池といったエネルギーリソースを最適に制御し、エネルギーシステム全体で効率化を図るための取り組みも「エネルギー白書2019」には記載されています。

 例えば、各所に分散して存在する太陽光発電設備などをあたかも一つの発電所(仮想発電所)のように機能させるバーチャルパワープラント(VPP)を構築するための実証試験もその1つです。分散型のエネルギーシステムが整備されることで、大規模発電所に頼っていた従来のエネルギーシステムよりも、環境負荷の軽減を推進することができるでしょう。

再生可能エネルギーの自立化を目指して

 再生可能エネルギーについては、2018年7月発表の「第5次エネルギー基本計画」で、初めて「主力電源化」していくものと位置づけられました。

 2012年7月には、固定価格買取制度(FIT制度)がスタートし、それを契機に再生可能エネルギーの導入は急速に拡大してきました。一方で、その発電コストは国際水準と比較して依然高い状況にあります。

 また、再生可能エネルギーは気象状況によって変動するため、既存の電力へ受け入れる際に調整が必要です。例えば、再生可能エネルギーが予定の発電量に届かない場合は、火力発電などによって不足分を補いますが、そうした部分で発生するコストも増加傾向にあります。

 こうした状況を前に、日本では、再生可能エネルギーのコストダウンとFIT制度からの自立化について議論されるようになっており、「エネルギー白書2019」では、政府の様々なアクションについて紹介されています。

 具体的には、「2030年までに事業用太陽光発電の発電コストを7円/kWh(キロワット時)まで引き下げる」という目標を、5年前倒ししています。加えて、2017年度から開始したFIT制度における事業用太陽光発電の入札制度を、当初の2,000kW以上という対象から2019年度は500kW以上にまで入札対象範囲を拡大するなど、コストダウンに向けた取り組みが進んでいます。

 さらに、再生可能エネルギーの自立化へと繋がる、非化石証書やエネルギーの地産地消といった幅広い活用方法が広がることで、普及に弾みがつきそうです。

 このように脱炭素社会の実現に向けて、日本は一歩ずつ前進しています。その中には、省エネ法の改正など多くの企業にも関係するような取り組みもあります。そうした状況を把握する上で、「エネルギー白書」は有用な情報源となります。省エネの促進や再生可能エネルギーの導入などを検討する際に、毎年発行される「エネルギー白書」を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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