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ビジネスコラム

eスポーツの躍進を支えるビジネスエコシステム

2020年3月18日

 「eスポーツ」が躍進を続けています。その市場が拡大する中で、これまでゲームとは関係のなかった業界からの参入が相次ぎ、盛り上がりを加速させています。今回は、ビジネスエコシステムから「eスポーツ」の今を読み解きます。

「eスポーツ」を支えるビジネスエコシステムとは

 ある調査結果によると、国内のeスポーツ市場は、2017年にはわずか3億円程度の規模でしたが、2018年に前年比13倍の48億円と一気に拡大しました。そのため、2018年は「eスポーツ元年」と呼ばれることもあります。2019年も国内eスポーツの市場規模は61.2億円と着実に拡大を続け、2023年には150億円を突破すると予想されています。

 その成長とともに、「eスポーツ」に参入する顔ぶれもバラエティー豊かになっています。「eスポーツ」の国内市場は当初、ゲーム関連企業やエンターテイメント関連企業を中心にスタートしましたが、近年、ゲームとあまり関わりのなかった大手企業も続々と参入。ビジネスエコシステムが形成される中で、市場の成長も加速しています。

 eスポーツ市場を支える企業は、ゲームの開発や販売を行う「ゲーム会社」、大会を開催する「興行会社」、選手やチームを管理する「チーム運営会社」、通信設備や会場施設を提供する「インフラ企業」、大会などに資金提供を行う「スポンサー企業」に分類することができます。

 ゲーム会社が提供するゲームタイトルにコミュティが生まれ、その輪を興行会社が大会やリーグを運営することでさらに広げています。競技の盛り上がりとともに、チーム運営会社に所属する選手やチームなどからスターが生まれ、新たなファン層を開拓。スポンサー企業は資金面で、インフラ提供企業技術面で興行会社やチーム運営会社を支えてているというのが、「eスポーツ」のビジネスエコシステムの概要です。

 それぞれの役割を読み解くことで、eスポーツ市場の成り立ちがより明確に見えてきます。

ゲーム会社がリードする米国のeスポーツ市場

 「eスポーツ」の競技種目は、アクションやシューティングといったゲームのジャンルごとに存在するわけではありません。ゲーム会社の開発・販売する固有のゲームタイトルが、そのまま競技種目になります。

 ゲーム会社は、「eスポーツ」の大会やリーグを主催する興行会社にゲームタイトルを提供し、その見返りとしてライセンス料を徴収します。また、「eスポーツ」として取り上げてもらうことでゲームタイトルの注目度を高め、販売数の増加へとつなげます。

 米国は世界で最も大きなeスポーツ市場を持ちますが、そこではゲーム会社が「eスポーツ」を前提としたタイトルを開発し、自ら公式大会を運営することで、市場が開拓されてきました。

 世界における「eスポーツ」の賞金総額をゲームタイトル順にみると、上位3つはいずれも基本無料で、アイテムなど購入する際に費用が発生する課金型を採用しています。この場合、大会などによってコミュニティーを活性化することは、ゲームの利用率を高め、売り上げへと結びつくため、ゲーム会社が積極的に関与するようになったと考えられます。

 なお、賞金総額上位3位のゲームタイトルは、いずれも米国の企業が開発し、その内、1位のゲームタイトルの大会賞金総額は2019年度に30億円を突破しています。

 米国では、プロスポーツを運営する団体が興行会社として、ゲーム会社と共同で「eスポーツ」のプロリーグを創設し、注目を集めています。米国のプロバスケットリーグを運営するNBA(National Basketball Association)は、バスケットを題材としたゲームタイトルのチャンピオンの座を争うプロリーグを、2018年に開幕させています。

 日本でも、2018年に日本プロサッカーリーグと日本野球機構が「eスポーツ」に参入し、大会やプロリーグの運営を開始しており、既存プロスポーツと「eスポーツ」の関係は急激に深まっています。

 これには、理由があります。野球やサッカーなどスポーツビジネスにおいては、ファンの高齢化が世界的な問題となっており、若年層に人気の「eスポーツ」の力を借りて市場を活性化したいという狙いが背景にあるようです。

スポンサー企業が支える国内市場

 若者に対する認知を高めるという同じ理由で、興行界会社やチーム運営会社を資金面でサポートしようとするスポンサー企業も増えています。特に、日本では、eスポーツ市場の収益構造の内約75%をスポンサー料が占めているのです。「eスポーツ」のスポンサー企業としては、IT企業や製造業など実に多種多様な業種の企業が名を連ねています。

 日本では、チーム運営会社も新規ファンの獲得に大きな役割を果たしています。実際にある調査結果では、選手をきっかけに「eスポーツ」に興味を持つファンが多いことが分かっています。

 また、近年は、チーム運営会社の働きかけなどにより、eスポーツ選手に対する社会による理解も進んでいます。例えば、海外選手が国内の大会に参加する際に、アスリートビザを取得できるようになっています。また、「eスポーツ」を部活動として認める中学や高校が増えており、今後の競技人口の伸びも期待できそうです。

 チームや選手が「eスポーツ」を表から支える存在だとすると、インフラ企業は陰から支える存在といえます。しかし、インフラ企業による会場設備や通信設備の進化が、「eスポーツ」の刺激的な視聴体験を支えているのです。

 日本では、「eスポーツ」の専用施設が次々とオープンしており、巨大スクリーンを備えたものやホテルを備えたものなどユニークなものもあります。中には、リアルの空間ではなく、VR空間で大会を開催する試みもあります。観戦者はアバターを使い、VR空間の仮想スタジアムへアクセスし、「eスポーツ」を観戦しようというものです。

 「eスポーツ」の会場設備には、高品質で安定した通信ネットワークが欠かせません。そこに通信系サービスを提供する企業も注目しているようです。ICT設備の構築・運用だけでなく、プラットフォーム運営、街の活性化など幅広いサービスを展開しようというプロジェクトも立ち上げられています。

 このように、各企業が互いを補完し合うことで「eスポーツ」は成り立っています。今後の「eスポーツ」の盛り上がりを占うためにも、ビジネスエコシステムに着目してみてはいかがでしょうか。

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