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ビジネスコラム

投資価値から考えるデータセンターのロケーション

2020年12月23日

 前回は、不動産投資家から熱視線を浴びるデータセンターの動向を紹介しました。データセンターを安定稼働させ、その価値を引き出す条件のひとつが「ロケーション」です。今回は、データセンターの投資価値を高めるために、どのような立地条件が求められているのかを明らかにしていきます。

データセンターに求められるロケーションとは

 前回は日本国内のデータトラフィックを紹介しましたが、世界全体のデータトラフィックも右肩上がりに増え続けています。ある調査によると、2017年から2020年にかけての世界全体のデータトラフィックは、約1.9倍に増加。この背景にあるのが、IoTデバイスの急増です。世界全体のIoTデバイスは、2017年の274.9億個から、2020年に403億個に増加しているという推計もあります。

 この増加に対応するため、データセンターの建設が続いています。ちなみに、日本国内におけるデータセンター内の稼働サーバー台数は、2019年の約160万台から2024年には約250万台に達するという推計もあります。前回もお伝えしたように、近年はメガクラウドサービスの基盤となるよう、データセンターが大規模化する傾向も見られます。

 このように拡大を続けるデータセンター市場ですが、投資対象としてデータセンターを考える場合に把握しておきたいのが「ロケーション」です。データセンターが価値を生み出すには、通信インフラとして安定稼働し、利用者に対して高品質な通信を提供する必要があります。ここからは、通信遅延・電力の確保・自然災害対策という3つの観点で、データセンターに適したロケーションについて解説します。

通信遅延の条件によって適したロケーションは異なる

 データセンターのロケーションは、どこまで通信遅延を許容できるかによって異なります。通信遅延は、データセンターの場所が利用者から離れるほど大きくなります。そのため、レスポンスの速さや膨大なデータのリアルタイム処理のような、高い通信品質が要求される場合には、利用者が多い都心部に建設し、通信遅延をできるだけ小さくすることが求められます。

 データセンターは、利用者がいつでも快適にアクセスできるよう、高い通信品質を保たなければいけません。頻繁にデータの送受信を行うシステムの場合、わずかな通信遅延が発生するだけでも、システム全体のパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性があります。

 通信遅延について優れているのは、大都市の中心部に位置する都市型データセンターですが、ウェブサービス事業者などには「通信遅延を一定以下に抑えつつ、広い敷地に大量のサーバーを設置して膨大なデータを処理したい」というニーズもあります。大都市の中心部ではそのような用地を確保することが難しいため、通信遅延の小ささと広い敷地を両立する場合は、大都市圏の郊外が有力なロケーションになります。こういった郊外型のデータセンターは、首都圏の西部や北部といったエリアに多く存在します。

 一般の企業が自社のデータをバックアップするためにデータセンターを利用する場合は、都心型や郊外型と比べると通信遅延の要件が厳しくありません。この場合、利用者から離れていてもそれほど大きな問題にならないため、都心から離れた地方が選ばれる場合もあります。

安定稼働には「電力確保」という観点が大切

 データセンターの投資価値を判断する基準には「十分な電力を確保できるか」という観点も入ってきます。

 データセンターでは、高性能なコンピューターを稼働させるために、大量の電力を消費します。多数のエンドユーザーを抱えるメガクラウド事業者が使うような大規模なデータセンターにもなると、ケースによっては消費する電力が同じ面積のオフィスビスの10倍以上に達することもあります。

 大量の電力を引き込むための工事は、場所によって費用や工期が異なります。変電所がすぐ近くに位置しているロケーションや、過去に大量の電力を使用していた工場の跡地などを見つけることができれば、短期間で受電を開始できる可能性もありますが、そのようなロケーションは数が限られています。

日本では特に「災害に強いロケーション」を重視

 さらに重要なのが、「自然災害に強いロケーションかどうか」という点です。日本は「地震大国」と呼ばれるほど、地震の発生が多い点が特徴です。また、台風の強風や大雨による河川の氾濫など、自然災害の影響を受けやすい国でもあります。

 データセンターは一般的な商業施設と比較して、こういった自然災害に対して堅牢に設計されていますが、都心、郊外、地方のいずれに建設する場合でも、台風や地震などの被害で稼働が停止しないような立地が、データセンターにとって望ましいロケーションであることに変わりはありません。

 例えば、関東地方のある地区は、「地盤が強固で地震に強い」という点が魅力の1つとなり、近年データセンターの建設が相次いでいます。ロケーションが自然災害の影響をどの程度受けるかを判断することが重要です。

 今回見てきたように、データセンターの投資価値を見極めるためには、ロケーションがひとつの目安になります。ポイントは、通信遅延と電力供給、そして自然災害に対する強さの3点です。データセンター事業への出資や参画を検討する際には、ぜひ「ロケーション」という点に注目してみてはいかがでしょうか。

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