お問い合わせ

NTTファシリティーズ

メールのアイコン

ビジネスコラム

さまざまな業種で進む無人化・省人化の試み

2022年6月22日

Tweet
Facebook

 AIやIoT技術などを活用したデジタルデバイスの普及により、無人化・省人化された店舗や施設が増加しています。なかには店員がいなくても買い物ができる「無人店舗」も登場し、新しい店舗運営やサービス提供の形態として注目を集めています。今回は、店舗や施設の無人化・省人化が進んでいる背景や抱えている課題、将来の展望について解説します。

コロナ禍やデジタル化でニーズが高まる

 近年、コンビニエンスストアや食品スーパーで、顧客自身が会計・清算を行うセルフレジの設置が増加しています。小売業やサービス業を中心に、これまで対面で対応してきた業務を無人化・省人化する動きが加速し、一部の先進的な事例では、会計作業も必要なく、退店時に自動的に決済が行われる「無人店舗」も出現しています。

 以前から、無人化された販売形態は存在していました。食品・飲料の自動販売機や、農村の無人野菜販売所、コインパーキング、コインランドリーといった精算機つきのサービス設備などが当てはまります。ただし、無人化が行える業種や業態は一部に限られていて、主流ではありませんでした。

 ところが現在は、クレジットカードや電子マネーをはじめとする電子決済の一般化や、人流解析技術の高度化などによって、複雑な業務を、安全かつ利用者にとって利便性の高い形で無人化・省人化できるようになってきました。また、安価になったデジタルデバイスの普及も、設備導入しやすい状況へつなげています。

 さらにコロナ禍の影響によって、これまでになかった「感染防止のために、対面での接客対応を避けたい」というニーズが、企業、利用者の双方から生まれたことも後押しする要因となっています。無人化・省人化でも「高い利便性で安全に商品を購入してもらう」という、顧客体験の強化からも期待が寄せられています。

無人化・省人化がもたらす効果とその課題

 店舗や施設を無人化・省人化する効果としては、さまざまな効率化による事業の安定運営が挙げられます。

 日本では少子高齢化の進行によって労働人口が減少しており、厚生労働省が公表している統計データによると、有効求人倍率は2014年以降1.0倍以上で推移しています。これは求職者数より求人数のほうが多い、いわゆる売り手市場であることを示します。とくに人材不足が深刻なのは飲食・小売などのサービス業で、こういった業種で店舗の無人化が実現できれば、「人材不足」という課題を解決し、事業の安定的な運営に貢献できると言われています。

 一方で、違った観点からは、無人化・省人化による顧客の購買行動データの活用も重要視されています。会計や決済をキャッシュレスで行うことで、「誰が何を購入したか」というデータが取得可能となり、IoT機器や映像解析システムなどと併用することによって、顧客全体が「その商品を、何日おきに購入するのか」「どの商品棚の前で立ち止まって、どの商品を手に取ったのか」など、従来の店舗運営では得られなかった購買行動にまつわる詳細なデータを収集・分析できるようになりました。

 こうしたデータは、企業にとって顧客体験の強化やマーケティング活動の実践に役立つ重要な指標となります。「どのような人が購入したか」「いつ頃、購入するのか」「どの商品と比較・検討したのか」というようなデータによって、顧客にとっても購買パターンに合わせた情報を店舗のデジタルサイネージやスマートフォンの アプリなどから得られるようになり、購買体験の向上・改善が期待できます。

 しかし、無人化・省人化がすべての業務で可能になるわけではありません。商品の陳列や在庫管理、納品作業、システムエラー発生時の緊急対応など、現在の技術で無人化・省人化が困難な業務は、人が対応せざるを得ません。

 さらに「顧客が無人化・省人化を受け入れるかどうか」という点も考慮しなければなりません。導入にあたっては、自社の業種・業態や対象とする顧客層、立地などにも配慮して「無人化・省人化した店舗や施設に、顧客がどのようなイメージを抱くか」という点について検討する必要があります。

さまざまな業種・領域で無人化の試みが始まっている

 業種や業態、事業規模によっては、一部の業務から無人化・省人化の推進、導入を進めています。現在、もっとも定着した事例としては、顧客ニーズと低価格化を実現したセルフサービスのガソリンスタンドが挙げられます。前述のコンビニエンスストアやスーパーのセルフレジのような、有人対応業務を部分的に無人化・省人化するケースは今後も増加すると考えられており、少子高齢化社会における新たなサービス形態として定着していくのではないでしょうか。

 また、さらなるデジタルデバイスの発展によって、新たな無人化・省人化するソリューションやサービスが登場することも予想されます。たとえば、外食産業における配膳作業や、物流拠点での仕分け作業にロボットを導入し、無人化・省人化するような試みが既に一部の企業で始まっています。

 こうした取り組みは、小売業やサービス業だけでなく、さまざまな業種で試みられるのではないでしょうか。無人化・省人化がもたらす利点として、大きな期待を担っているのは「データを収集して活用できる点」です。データは「21世紀の石油」とも言われるように、その利活用は業務の改善をはじめとする企業の活動に大きな影響を与えることになります。データ活用が、店舗や施設に限らず、工場や物流拠点などを含めたサプライチェーン全体で推進できれば、これまでにない新たなサービスや業態が生まれてくるかもしれません。

関連する記事

最新のコラムや導入事例を
メールマガジンで配信いたします。
えふ・マガの購読はこちら

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP