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ビジネスコラム

法改正で進む「ペーパーレス化」は、社会や企業活動にどんな変化をもたらすのか?

2022年8月3日

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 2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、日本でもペーパーレス化を推進する動きが活発化しています。電子政府の実現や、昨今のコロナ禍による多様な働き方への対応など、社会や企業活動にどのような変化をもたらすのでしょうか。ここでは、ペーパーレス化の現状や取り組みによるメリット、課題などについて紹介します。

ペーパーレス化を促進する法改正が進んでいる

 ビジネスシーンにおけるペーパーレス化とは、紙媒体で記録・保存されてきた文書や資料などを電子化し、業務効率と生産性を高めながら固定費の削減や環境保護に貢献することを言います。

 業種によっては、まだまだ紙の書類を扱っているケースもありますが、導入推進に向けた法改正によって、ペーパーレス化に取り組みやすい環境が整いつつあります。

 たとえば、2021年3月1日より施行された「改正会社法」では、株主総会関連資料の電子送付が義務化されています。さらに、2022年1月に改正された「電子帳簿保存法」は、紙で受領した書類のスキャナ保存(電子データによる保存)の制限を緩和。これまでは、どのような書類を電子保存するのか、事前に税務署に確認、申請しなければなりませんでしたが、申請が不要となりました。

 また、2022年5月18日に施行された「改正宅地建物取引業法」では、不動産取引の電子契約化が可能になり、宅地建物取引士による書類の押印義務が廃止され、重要事項説明書等の電子化が認められています。

 2023年10月1日から施行が予定されている「インボイス制度」でも、先に挙げた改正電子帳簿保存法に準じ、紙で受け取った適格請求書(インボイス)を電子保存できるようになります。

オフィス業務と環境問題の改善に貢献するペーパーレス化

 ペーパーレス化を進めることは、オフィスでの業務改善と環境問題の改善につながります。

 一般的なオフィスにおけるペーパーレス化は、プリンターの用紙やトナー代、キャビネットの管理費用、書類の送付費用などが削減できます。これまで紙でやりとりしていた書類を電子化することで、紙の書類を取り扱うために出社する、いわゆる「ハンコ出社」がなくなるなど、新しい働き方の推進にもつながります。

 また、書類収納による書庫の占有率が低減できるため、省スペース化にも貢献します。ある大手シンクタンクの企業では、社内に「ノンペーパー推進委員会」を設立して不要な書類の廃棄や整理整頓に取り組みました。それにより、1人あたりの文書保存量を61%削減することに成功したほか、事業所全体の共用キャビネット数を69%削減、個人用サイドキャビネット数においては56%削減を実現、その結果により新たにできた空間は、現在85席分のミーティングスペースとして利用されています。

 ペーパーレス化は、環境保護の観点から見ると、書類の廃棄や配送に伴うCO2排出量の削減が可能です。総務省が発表した「ICTによる環境負荷低減事例募集の評価結果」によると、ある企業が年間約9億通送付していた紙のダイレクトメールを電子メールで送るようにしたところ、CO2の排出量を従来の149,935トンから2,203トンに削減できたといいます。実に98.5%ものCO2削減効果が得られたことになります。

 このほか、ペーパーレス化には、書類の電子化によって情報の管理・運用性が高まるというメリットもあります。法的に重要な資料を紙で管理・保管する場合、監査時などに必要な情報を確認して提示するには多くの時間がかかりますが、電子化された書類は検索が容易に行え、また、タイムスタンプなど改ざん不可能な仕組みや社内のしかるべき承認のもとに正しく回覧されたことが保証できるワークフローを整備することで、ガバナンスの強化にも寄与します。

利便性とセキュリティのバランスが今後の課題

 ここまで挙げたように、ペーパーレスは多くのメリットをもたらしますが、一方でセキュリティ面に配慮する必要があります。さまざまな書類が電子化され、取り扱いやアクセスが容易になることは、意図しない形で社外に流出してしまう情報漏えいのリスクをはらんでいるからです。

 企業による大規模な情報漏えい事件がしばしばメディアで報道されるように、企業のセキュリティ対策の有無はブランドイメージを左右する大きな要因になっています。情報漏えいは外部からのサイバー攻撃によって起こることもあれば、誤送信メールのようなミスや業務用端末の紛失、または内部不正によって発生することもあり、広範囲な対策が必要です。

 こうした対策は、ペーパーレス化のメリットを損なわないよう、セキュリティと利便性のバランスをいかに維持するかという点を考慮して実施する必要があります

 セキュリティ対策に加えて、災害が発生した時の対策も必要になります。たとえば、大規模な停電が発生し、通信障害が発生した場合には、電子化した書類が閲覧できなくなってしまいます。万が一に備えて、紙ベースの書類もいくつかは残しておく必要があるでしょう。

 ペーパーレス化を推進することは、業務の効率化と生産性の向上、紙が占めていたスペースの有効活用、環境保護への貢献など、さまざまなメリットを生み出します。ただし、同時にセキュリティの強化や停電・通信障害が発生したときの対応など、デメリットになる要素をカバーする対策も必要になります。もし自社のペーパーレス化がまだ進んでいないのであれば、「自社にとってペーパーレス化が何をもたらし、何が課題となるか」を把握するところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

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