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ビジネスコラム

新しい価値観「QOL」が注目される理由

2022年11月16日

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 QOLとは「Quality of Life =生活の質・人生の質」を表現する言葉です。多様化する価値観のなかQOLというキーワードが 働き方の観点からも注目を集めています。QOLが企業、そして私たちとどのように関連するのか、 その背景や取り組みなどについて解説します。

「働くこと」に対する意識が変わろうとしている

 新型コロナウイルス感染症拡大を起点として、いま「働き方」に対する意識が大きく変わろうとしています。そのなかで注目度が上がっているキーワードが「QOL」です。

 QOLとは「Quality of Life = 生活の質・人生の質」を表わす言葉で、もともとは、医療・介護の分野において、病気やけがなどで日常生活に制約を受ける患者が、「いかに満足して生活を送れるか」を問う概念として生まれ、使われています。

 現在QOLは、医療・介護分野に限らず、ビジネスやその他の分野で「自分らしい生活を送れているか」「物質的な尺度とは異なる、精神的な豊かさがあるか」「仕事と生活を含めた人生の各段階において、どの程度満足しているか」を推し量るための概念・指標として使われています。

 QOLと同じような意味合いの言葉に「ワークライフバランス」があります。内閣府の仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章では、「やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活」と表現されています。

 それらをまとめると、ワークライフバランスは「仕事と生活をどう調和させるか」という概念なのに対して、QOLは、その調和させた結果として得られる、精神的な豊かさや生活の質における満足度を表わすといえます。近年、働き方改革の推進よる法整備やコロナ禍の影響を受けて、多様で選択肢のある働き方ができるようになってきました。自分の時間を確保しながら、やりがい・充実感を得ながら働くこと」の実現に向け、自分と仕事との関わりをQOLの観点から見直すように意識が変わりつつあるのです。

「時間と場所を選択できる働き方」がQOL向上につながる

 QOLは、ワークライフバランスの改善と大きな関係性があるといえるでしょう。そのなかでも、働き方の多様性は大きな影響を与えます。仕事をする場所や時間を選択できれば、育児や介護、地域社会への積極的な参加などが行いやすくなり、結果的にQOLの向上につながります。たとえば、在宅やサテライトオフィスで業務を行うリモートワークの推進がひとつの例として挙げられます。

  リモートワークは、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけとして多くの企業に導入されました。東京都の調査によると、コロナ禍前に24.8%だったリモートワーク導入率は、緊急事態宣言時に65%、2022年8月時点でも58.6%の企業が導入していると報告されています。

  その他の働き方として、出勤時間・退勤時間を自分で選択できるフレックスタイム制度や、勤務時間を短縮して自分や家族のための時間を確保できる時短勤務制度などがあります。最近では、休暇とリモートワークをミックスしたワーケーションも、働き方における多様性のひとつとして広がりをみせています。

  また、男性の育児休業も働き方の多様性を担うひとつの要素です。厚生労働省の調査によると、男性の育児休業取得率は9年連続で上昇し、2021年には13.9%に達しています。さらに、80%を超える女性の取得率との隔たりを埋められるよう、既存の育児休業制度より取得の自由度が高い「産後パパ育休(出生時育児休業)」も2022年10月より施行されました。

  企業は、積極的にこのような制度を導入することで、ワークライフバランスの改善を図り、QOLの向上を模索しています。しかし、課題も残っています。厚生労働省によると、2022年現在、フレックスタイム制を採用している企業は日本全体の8.2%にしかすぎません。また、リモートワークの導入については、コミュニケーションや仕事とプライベートの区別、社内の情報共有などの点で現在も課題を抱えており、そもそもリモートワークができない業種・職種も数多く存在していることから、なんらかの方法で解消することがQOLの追求につながると考えられています。

QOL向上は企業の業績へも影響

 働き方の多様性の実現によってワークライフバランスを改善し、QOLが向上することは、企業にとっても大きなメリットがあります。やりがいや充実感を持って仕事に取り組み、人生に対しても満足感を抱ければ、その満足感は次の仕事への前向きな姿勢や、新たな知識を獲得する姿勢など、仕事に対するポジティブなスパイラルにつながるからです。働き手それぞれが、仕事に対して前向きに取り組むように変化すれば、結果的に企業の業績という形で現れるはずです。

 そのようなことから、将来のキャリアパスの選択肢を多く用意することも重要です。社会環境の変化に伴って、働き手へ求められる資質や能力は変わってきます。そういった変化に対応できるよう、社内教育制度を設けたり、新たに他分野のスキルを身に付ける「リスキリング」を行ったりすることで、業務を通じて成果を生み出せるようになり、仕事に対する肯定感が醸成され、QOL向上につながります。

 QOL向上のために企業ができることとしては、多様な働き方を可能にする環境整備以外に、働き手の肉体的・心理的健康を維持・向上させる取り組みも必要です。法律では健康診断の実施が義務付けられていますが、現在はそれに加えて、メンタル面でのサポートや、働きやすい職場づくりも重要視されるようになってきています。

 具体的には、産業医によるサポートが受けられる機会を定期的に設けたり、健康に寄与する社内活動を支援したり、不安を抱えた働き手が相談できる窓口を開設するなどの制度の整備が挙げられます。こうした取り組みは、政府も「健康経営優良法人」を認定するなどしてバックアップしています。

 働き方に対する意識が変わるなか、QOLを向上させることは、働き手、企業、双方にとって大きなメリットがあります。ワークライフバランスを改善し、働き方の多様性を実現する環境整備や働き手の健康維持という「QOL」の観点から自社の状況を一度見直してみてはいかがでしょうか。

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