お問い合わせ

NTTファシリティーズ

メールのアイコン

ビジネスコラム

来る2024年 ― 暦の不思議「閏(うるう)年

2023年12月20日

Tweet
Facebook

 地球が太陽の周りを公転する周期を暦上は365日としています。それは西洋でグレゴリオ暦が標準化されたことに由来します。しかし実際の公転周期は365.2422日と1日の1/4ほど長いので、4年に1度の補正が必要になります。そのため、2月に1日を加えて29日とするのが閏(うるう)年です。来る2024年は閏年になります。今回は、地球の運行と暦、そして必ずしも4年に1度ではない「閏年」について解説します。

暦のずれを解消するために設定された閏年

 私たちが使用している暦は、地球が自転により1回転するために必要な時間を平均24時間として、それを1日としています。そして1日が7回過ぎると1週間、1日が30回もしくは31回過ぎるとひと月となり、地球が自転しながら太陽の周りを公転し、一周する時間を1年としています。ではなぜ、30日と31日の月があるのでしょうか。これは明確な定義があるわけではなく、季節の変化に合わせて1年を12分割した際に最も調整しやすい日数であったからと考えられています。

 1年365日を12で割った場合、区切り良く考えると30日となり、5日余ってしまいます。それを調整するために、1月、3月、5月、7月、8月、10月、12月をそれぞれ31日とし、それ以外の2月は28日、4月と6月、9月、11月は30日として365日に合わせているわけです。ではどうして2月は28日なのか。これは古代ローマ時代の暦に起源があり、ローマでは3月が1年の始まりで、2月が最後の月としていたためだと言われています。当時は「29」と「31」が縁起の良い数字と信じられており、1か月を29日か31日で暦を作ったところ、最後の月である2月が28日になってしまったということです。

 時間の経過を日、週、月、年といった単位で表す暦は、もともと太陽や月、星など天体の動きに合わせて季節や日を区切り、便利に生活するために誕生しました。暦はその時々に合わせて臨機応変に活用してきたため、合理的なようでありながら実は曖昧な部分もあり、30日と31日の配置についても合理的には説明がつかないのです。

 現在、標準的に用いられている暦はグレゴリオ暦と呼ばれるものです。グレゴリオ暦は、1582年10月から用いられている太陽暦のひとつで、ローマ教皇グレゴリウス13世が、同じく太陽暦であるユリウス暦の改良を命じて作らせたものです。共和制ローマ・帝政ローマ時代から用いられてきたユリウス暦は、公転周期による暦のずれを解消するため、1年を365日として4年に1度の閏年を設定していました。しかしグレゴリウス13世の時代に、より正確に観測した結果、約128年で1日のずれしか生じないことがわかり、暦の修正を行ったとされるのが現在のグレゴリオ暦です。

 ユリウス暦が4年に1度の閏年を設定していたのに対し、さらに微妙なずれを調整したグレゴリオ暦では、400年で97回の閏年を設定し、閏年となるには次のような条件を定めました。まずは「西暦年が4で割り切れる」こと、そして「西暦年が100で割り切れる年は平年」とすること、さらに「西暦年が400で割り切れる年は閏年」とするというものです。そのため日本でグレゴリオ暦が採用されて以降の1900年、2100年は「西暦年が4で割り切れる」ことと「西暦年が100で割り切れる」ことに該当しますが「400」で割り切れないので、閏年ではなく平年ということになります。

必ずしも4年に1度ではない閏年

 400年の間に閏年が100回やってこないことは、4年に1度開催される夏季五輪や米大統領選挙の年は必ずしも閏年ではないということになります。そのため1896年に開催された第1回アテネ五輪は閏年でしたが、1900年に開催された第2回パリ五輪は平年開催となりました。ちなみに2024年のパリ五輪は閏年の開催ということになります。まだ開催地は決まっていませんが、2100年は閏年ではない五輪イヤーとなるわけです。

 世界標準となっているグレゴリオ暦も完璧ではないようです。グレゴリオ暦の1年の平均的な長さは365.2425日であり、1太陽年の365.2422日よりも微妙に長いのです。地球の運行と人が定めた暦は完全に一致するわけではなく、それのずれを修正する様々な方法が長年議論され、グレゴリオ暦より差の小さな置閏法(閏年の入れ方)も考案されていますが、閏年の置き方が簡単で覚えやすいことから、今でもグレゴリオ暦が広く使われています。

 日本でグレゴリオ暦の採用が決定されたのは1872年(明治5年)11月9日で、当時の日本はまだ旧暦が用いられていました。明治時代に入り、欧化政策の一貫としてグレゴリオ暦への改暦が行われ、その年の旧暦12月3日をグレゴリオ暦の1873年(明治6年)1月1日としたのです。法律の公布から、実際の改暦までの期間が1か月もないという慌ただしさでした。この改暦は、突然で十分な検討もされないまま施行されたため、多くの問題点を残しました。そこまでして政府が強行した理由には深刻な財政問題があったと言われています。

 閏月は、月の満ち欠けを基準とする太陰暦に由来しています。月は地球に対して約29.5日周期で公転しており、新月から上弦の月、満月、下弦の月、次の新月までを12回繰り返す期間を太陰暦では1年としました。この場合の1年は約354日となり、太陽暦に比べ11日短くなります。11日の差があれば3年で約1か月分のずれが生じます。それを補正するために、閏月を設け19年に7回は1年を13か月としていたのです。従来の旧暦では翌1873年(明治6年)は閏年で、閏月が入るため1年が13か月になります。前年に官公吏の俸給を年棒制から月給制に改めた後なので、政府は13月分の給料支払いたくないために、グレゴリオ暦に改暦することで1か月分のコストダウンを図ったのではないかと伝えられています。

希少な戸籍「弐月弐拾九日出生」、跳躍の日「Leap Day」

 実生活に目を向けてみると、4年に1度の閏年が誕生日となっている人が存在します。4年に1度しか誕生日が来ないので、戸籍上4年に1回しか歳をとらないことになり「実際は20歳なのに5歳」「80歳なのに20歳」ということではありません。実際には2月29日生まれの人は、翌年の2月28日で満1歳となることが明治時代の法律で決められています。現行の行政手続きなどもこれに倣っており、2月29日生まれの人は、閏年・平年を問わず2月28日24時が年齢の変わるタイミングとなります。 運転免許証に関して言えば、誕生日を基準に有効期限が決められており、誕生日前後の1か月が更新時期とされています。2月29日生まれの人は更新間隔が長い…のではなく、「2月28日生まれとみなす」ということが道路交通法で規定されています。つまり2月29日生まれの人にとっては、免許の有効期間が1日短くなってしまうことになります。

 このように手続き上、2月28日生まれとみなされるわけですが、戸籍上2月29日生まれと届けることまでは制限されていません。戸籍には「弐月弐拾九日出生」と記載されます。出生届は生まれて14日以内に届けることが決まっていますが、誕生日は届け出した日ではありません。昔はめでたいからと12月に生まれても、1月半ばに生まれても1月1日生まれとするケースがあったようですが、現在では届け出に必要な医師の出生届まで書き換えてもらうことは不可能となっています。

 ここまで説明してきたように、2月29日生まれであっても行政の手続きを行う上で不都合は生じません。日常生活で言えば、閏年の2月29日が誕生日だと、現状は4年に1度しかない特別な日に生まれたということで周りにも覚えてもらいやすく、盛大にお祝いしてもらえるというメリットもあるのではないでしょうか。戸籍上は毎年歳を重ねることになるので、誕生日を平年の2月28日で祝うか、それとも3月1日に祝うのかは、それぞれの判断ということになります。

 英語では、閏年を「Leap Year」、2月29日のことを「Leap Day」と言います。これは、平年はその前年の同じ日より1曜日ずれるが、閏年の翌年は2曜日ずれて平年より1つ飛び越える(leap)ことからそう呼ばれるそうです。来年2024年2月29日はまさに「Leap Day」です。新型コロナウイルス感染症で停滞していた社会生活もようやく復活の兆しを見せている中、それぞれの分野で“跳躍”をめざしたいものです。

関連する記事

最新のコラムや導入事例を
メールマガジンで配信いたします。
えふ・マガの購読はこちら

お問い合わせ・資料請求

PAGE TOP